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美しい島に流れ着いた、漂流物。

カヌーに乗って小さな冒険へ。

たどり着いた先はライレイビーチ。先日一度来たビーチだ。

「仕方ないな」と思いつつ、前回来た時と違うレクレーションをすることにした。

ちょうど現地でカヌーのレンタルをやっているお店がいくつかあったので、そこでカヌーを1時間ほどレンタルした。

借りたからには大海原を大冒険をしたい気分になり、どこを目的地にしようかと、海に視線を向ける。

すると、少し沖にでた所に周囲300mくらいの奇岩が岸から見えていたので、その周りをぐるっと回ることにした。

いざ海にボートを放ち、漕いでみると意外と疲れる。

波があるため思うように進まないし、力の入れ加減で行きたい方向とは逆にボートが進んでしまう。

「意外と難しいな、、、。」

試行錯誤しながらも目的地である奇岩にたどり着いた。

近づいてみるとなんともいえない迫力があり、ボートごと吸い込まれそうな異様な雰囲気がある。

その雰囲気に圧倒されてしまい、つい慎重になってしまう。

ただ、小さなカヌーのすぐ近くには、巨大な奇岩があり「漫画のような描写だな」と内心ワクワクしていた。

そんなこんなで1時間が経過し、カヌーの旅も終了した。

思いがけない漂流物に出くわす。

本島に帰る時間まで、少し時間があったので、近くのビーチで泳ぐことにした。

あまり綺麗とは言い難い、その海に入ることに多少抵抗はあったが、なんせ気温は37度。

いてもたってもいられなかったため、気づけば海に足をつけていた。

よく南の島で経験するのだが、泳いでいると謎の漂流物に出くわすことがある。

その大半は木ノ実だったり、果物だったり、はたまた魚の死骸だったりと、あまり喜べないものと出くわすこともある。

その海は少し汚かったので、今回も何か流れてくるのではないかと不安に感じていたのだが、その不安が見事に的中した。

しかし、今回はその予想の斜め、というよりも予想だにしない「ブツ」が流れてきた。

私は何度も目を疑った。ここは南国の海だ。

人々が日々のストレスから解放されるため、癒しを求めるためにやってくる。

またそこに住む現地の人々にとって、愛すべきその土地は今後も綺麗な景色のまま保たれるべきだ。

「なぜそんなものが流れてきたのか…」

私は誰が放ったのかわからない、自分の2m先に漂流する「人糞」を眺めながら身震いした。

人生で初めて、人糞に囲まれた

「誰かが我慢できなくなってやったのか」
「なんでまだバナナの形を維持できているんだ」
「きっと一度ズボンを脱いでクラビの海に放ったに違いない」

そんなことを考えていたら、そのウンチの母体から、小さな破片となった子機たちが自分の周りを囲っていた。

「に、逃げられない、、、!」

誰かが放ったかもわからないウンチに囲まれてしまった。

目の前にあるウンチは「浮くタイプ」だ。

だから少し潜って逃げようか考えたが、世の中には「沈むタイプ」も存在する。

もしかしたら足元にいるかもしれない。

絶体絶命のピンチだ。うんこに囲まれて死ぬ人生だけは嫌だ。絶対に嫌だ。

その強い願いが天に届いたのか、大きなボートが近くを通った。

すると、その際に生まれた波によって、ウンチが遠くへと漂流していったのだ。

漂流したその先にはまた別の旅行者がいた。

その存在に気づいていない旅行者が、思いっきりウンチ突進。

それは真っ二つになった。

「助かった、、、。」

ウンチから解放された自分は、水平線に沈む夕日を見ながら、ホッとため息をついた。

こうして、2泊3日の小さなクラビの旅は幕を閉じた。

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