攻めるオウンドメディア

マス広告予算のデジタルシフトが語られるようになってだいぶ時間が経つ。その流れはもう変わらないとして、問題はその予算はどこに流れるのか。

主要な流入先のひとつは、当然ながらデジタル広告である。が、昨今のデジタル広告の不明朗な状況を嫌う企業が国内外で出始めており、一時的なマス広告への還流の気配もある。ただそれでもやっぱり大きなデジタルシフトの流れは変わらないと思う。(ただしマスがなくなることもないと思う)

広告以外のもうひとつの流入先としてあるのはオウンドメディアではないだろうか。オウンドメディアと言うと、トラディショナルなものとしてコーポレートサイトや公式サイトなどが想像されやすいが、これから伸びるのは拡張型のオウンドメディアだと思う。

これからのオウンドメディアは、企業がコントロール可能なエンドユーザとの貴重な接点の場であり、プロダクトやサービスを体験する場となる。広告は所詮他社メディアであり、完全な顧客体験を作ることは難しい。よくいわれる話だけれど、コモディティ化が進んだ分野の商品は、なかなか品質だけでは勝負することが難しくなっていくため、どういう文脈で触れて、見て、買うのか、ということが重要になっていく。同じ商品を買うなら、使い勝手が最悪のサイトで買うより、使い慣れたアマゾンで買う方が満足度が高い。もしくはストレスが低い。サイトを訪問して、商品を選んで、購入して、配送されて、梱包を解いて手で触れるまでがすべて体験であり、さらに言えば気に入らなくて返品するところも当然体験である。そういうものをキチンと計算して実行しようと思ったら、他社メディアでやるより、断然自社メディアの方が都合がよい。

ただし、従来型のオウンドメディアではいささか効率が悪いので、いくつか新しい要素を備えていることが望ましい。例えば、コンテンツを容易に更新するためのコンテンツ管理システムや、各種データをもとにコンテンツを出し分けするためのデータベースとオートメーションのシステムが統合されたプラットフォームなどである。必須ではないがあった方が実現できることは増える。

そういう基盤の上で、顧客とどういう関係性を描き、試行錯誤を行うのか。このデザインこそがこれからのオウンドメディアの価値であり、成長する要素だと思う。いまはまだ、プラットフォームのテクノロジーに偏重している傾向が強く、手段が先行しているが、そう遠くないうちに熟れてきて、技術に溺れず、どういう顧客体験を作るべきなのか?という本質的なところにより多くのリソースを投入することになるのだと思う。

また、拡張型のオウンドメディアは、マス広告との相性もよい。顧客との関係性はオウンドメディアで丁寧に育てるとして、最初の接点を作るためにマスを活用する。相乗させることで効果を高めることができる。

ということで、旧来の一方通行型のコーポレートサイトのカタチではなく、攻めるオウンドメディアがこれからトレンドになるのではないかと思っている。そこで求められるのは、テクノロジーとデザインとマネジメントだと思う。具体的な話はまたいずれ。



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齋藤健太郎

2000年頃からデジタル界隈で生計を立てている人。主な生息地は横浜と銀座。基本的に日々を楽しく過ごしたい人です。 2003年にビジネス・アーキテクツ社へ参画、2011年からネットイヤーグループ社に在籍。企業のビジネスをデジタルで何とかして盛り立てるお仕事。

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