プロジェクト計画立案のための基本ガイド

本稿は以前に書いた「転ばぬ先の杖:プロジェクト計画書のススメ」に加筆したアップデート版であり、後半は有料版となっています。

前回版の基本構造はそのままに詳細化を行い、プロジェクト計画にまつわるポイントについて大幅に加筆を加えています。とはいえ、基本的な要素は前回書いていますし、目からうろこの新要素があるかというとそこまでではないので、無理に後半の有料版を購入する必要はないと思います。

プロジェクト計画とは何か?

前回も書いたことではありますが、改めて端的に説明すると「プロジェクトを成功させるための計画」です。もう少し詳しく書くと「プロジェクトゴールに到達するための道筋を示したもの」です。出発地から目的地(ゴール)にたどり着くまでをプロジェクトとした場合、そのルートは無数に存在します。険しい道もあれば、緩やかな道もあります。最短距離のルートが必ずしもベストの解とは言い切れません。というよりベストなルートをひとつに絞ることは不可能に近いので、さまざまな条件を踏まえて、よりベターなルートを決めて、歩みを進めていく必要があります。それを取りまとめたものが「プロジェクト計画」であり、ドキュメントとして編纂したものが「プロジェクト計画書」です。

プロジェクト計画の有用性

プロジェクトを進めていく上で、プロジェクト計画は非常に有用です。よほど小規模で、かつ、平易な内容でない限りは、プロジェクト計画なくして成功は成し遂げられないでしょう。ただ、それが「計画書」というカタチで明文化されているかどうかは、プロジェクトマネジャーなどのプロジェクト責任者の能力に懸かっています。極端な話、能力の高いプロジェクトマネジャーなら脳内で計画を描き、そのまままわりを巻き込みながら実行していくことで属人的に乗り切れるプロジェクトも少なくないと思います。

ただ、最近のデジタル化の影響で複合化・複雑化・長期化するプロジェクトでは、そういった属人的なプロジェクト運営が通用しなくなっていることもまた事実です。詳しく書くことは省きますが、もはや超人的な少数のキーパーソンだけでプロジェクトを運営できる時代は終わりました。いくら超人といえども、ひとりの人間が高い能力を持って対応できる領域には限界があります。こういう世界にこそ有用なのが、明文化されたプロジェクト計画です。超人の脳内で完結せず、プロジェクトメンバー全員が理解した上で協働してプロジェクト目的の達成ために行動するためには、誰もが共有できる計画書が必要です。

プロジェクト計画書はコミュニケーションツールである

たとえば、アジャイル型のプロジェクトであったとしても、プロジェクト計画はやはり有用と言えます。一見、ウォーターフォール型のプロジェクトと相性がよさそうなプロジェクト計画ですが、実際はあまり関係がありません。アジャイル型だからといって無秩序にプロジェクトを進める訳ではなく、むしろアジャイル型であるからこそ、守るべき秩序が存在します。なんにしても、ユニークで、有期性があるのがプロジェクトであり、つまりゴールがあるのがプロジェクトである以上、ゴールに向けてやるべきことを積み重ねていく必要があります。

プロジェクト計画書は1から10までプロジェクトの手順がすべて書かれたものではありません。そんなものを作っていたら日が暮れますし(日が暮れるくらいで済むならマシですが)、それを書き上げる時間があるなら前に向けて具体的に歩みを進めていくべきでしょう。

では何を書くべきかというと、プロジェクトメンバー全員の認識を合わせ、協働するために必要なことを書くのです。これがプロジェクト計画書のほぼすべての目的であり、効用と言ってよいと思います。言い換えると、コミュニケーションツールとしてプロジェクト計画書を作るのです。

「計画」と「計画書」の違い

本来的には「計画」が本質であり、「計画書」はそれを明文化したものに過ぎません。「計画」が空虚なのに、ハリボテの「計画書」だけあっても何の意味もありませんし、一見計画書に見えるだけ、むしろタチが悪いと言えます。ですが、「計画」がキチンとある上で、その具体である「計画書」の存在というのは非常に重要です。なぜなら「計画」は目に見えませんが、「計画書」は目に見えます。読めます。読めれば、理解しやすいですし、異なる意見があれば指摘もしやすい。つまり、コミュニケーションツールである以上、計画書としての存在に非常に価値があるのです。回りくどい書き方をしましたが、プロジェクト計画においては、計画書の形態がとても重要だということをぜひ理解しておいて欲しいと思います。

プロジェクト計画にまつわる真実を知る

さて、ここからはプロジェクト計画にまつわる、ありがちな誤解や思い込みについて例を挙げながら説明していきたいと思います。

プロジェクト計画書は会議資料ではない

よく見られる悪例として、プロジェクト計画書をキックオフミーティングなどの会議資料として作成するケースがあります。すでに書いたように、プロジェクト計画(書)は、プロジェクトの成功のために必要なことをまとめたものであり、プロジェクトチーム全員の合意形成と協働のためのコミュニケーションツールです。会議などの場を使って読み合わせを行い、認識を揃えるために計画書を使うのは問題ありません。しかしながら、計画書の目的がキックオフの会議資料になってしまうとまったく意味が変わってしまいます。一回だけ使ってハイお役御免!となってしまう、不憫な計画書をこれまでに何度も目撃してきました。繰り返しますが、会議で使うのはまったく問題ありません。しかし、プロジェクトはその時々で変数が変化していくものです。それなら計画も対応して変化していかねばなりません。また、仮に変化がないプロジェクトだったとしても、プロジェクトメンバー全員が一度や二度のコミュニケーションで完璧に計画を理解して行動することなど不可能です。一度限りの会議資料ではなく、プロジェクトが終結を迎えるその時まで、プロジェクトに寄り添い、計画書を活用し続ける必要があります。

プロジェクト計画書はプロジェクトの成功のために作る

「何を当たり前のことを書いているのだ」と思ったあなた、よい感じです。もしくはここまで読んで学んだ方だと思います。ただ、意外とこの真理を心の底から理解して、プロジェクト計画を立てている人は少ないのではないかと思っています。何となく会社のルールになっているから、誰かに依頼されたから、本に書いてあったから、そういう受け身な姿勢でプロジェクト計画書の作成に臨んでいる人が多いのではないでしょうか。結果、何となく惰性で作ってみたり、他人が作った別のプロジェクトの計画書を流用して作ってみたりと、体裁は「プロジェクト計画書」風ではあるけれど、中身は作っている本人自身がいちばんしっくり来ていないドキュメントになっていたら要注意です。プロジェクトの初っ端から炎上に足を踏み入れていると言っても過言ではないでしょう。でもまだ間に合います。プロジェクト計画(書)は、プロジェクトの成功のために作るのです。そのことを強く念頭において、そのために何が必要かを考えるところから始めましょう。

プロジェクト計画書はペラ1枚でもいい

プロジェクト計画書と言うと、重厚長大な分厚い資料を想像する人がいると思いますが、別に分厚ければよいというものではありません。そのプロジェクトを成功させるために必要な要素が少ないのであれば、ペラ1枚の計画書であっても何ら問題ありません。大事なのは量ではなく質です。あとで詳しく説明しますが、プロジェクトを構成する要素を書き出し、プロジェクトメンバー全員が正しく認識を合わせ、プロジェクトが無事に完結するまで協働するために必要な決めゴトが必要十分に書かれていればそれでいいのです。その意味で言えば、世の中に存在するすべてのプロジェクトは、社内社外、短期長期を問わず、プロジェクト計画書を作るべきだと言えます。メールでサクッとまとめるだけでも十分な効果があります。もちろん、必要なコトが多くあるプロジェクトは、枚数を惜しまず必要なだけ書きましょう。

プロジェクト計画書はわかりやすさが最も重要

プロジェクト計画書は、コミュニケーションツールだと書きました。そうであるなら、その前提としてプロジェクトメンバーの誰が読んでも理解できる必要があります。最近の複合型プロジェクトにはさまざまなバックグラウンドを持った人間が多く関わるので、自分は問題ないと思っていても、他人は理解できないかも知れない、誤解するかも知れない、という視点を忘れず、「わかりやすさ」を強く意識して作成するようにしましょう。誤解の個数と誤解する人数が増える毎にプロジェクトの成功確率が下がっていくと思って間違いありません。なぜだかわかりませんが、プロジェクト計画書は難しく書いた方がカッコイイだとか、箔がつく、みたいな謎な論理を持った人がたまにいますが、自殺行為に近いので今すぐその意識は捨てましょう。むしろ絵本を書くような感じで(極端)、丁寧にわかりやすく書く、それがいちばん大切だと思います。みんなが計画を理解できないのに、ゴールにたどり着ける訳がないのです。

プロジェクト計画書は責任者が情熱を持って書く脚本

実際にプロジェクト計画書を作成するのはプロジェクトマネジャーが多いと思いますが、なかにはプロジェクトの中心メンバーではない役割の人間が作成するケースもあると思います。プロジェクトの責任者が、その責任を背負った上で誰かに委任しているのならそれでも構いませんが、何となく面倒だから、みたいな理由で作らせているなら即刻止めて、自分で作りましょう。もしくは、自分が責任を全うできるやり方で誰かと協働するか、委任しましょう。いずれにしても、プロジェクト計画は、プロジェクト責任者の意思そのものである必要があります。ゴーストライターでもよいのですが、それなら自分の意思をキチンと書き起こしてくれるライターを見つけましょう。何度も書きますが、プロジェクト計画(書)はプロジェクトを成功させるために必要なコトが漏れなく書かれたものでなければいけません。本来であれば、責任者自らが最も情熱を注いで書き上げる脚本であるべきです。逆説的には、責任者の意識が込められていない計画には価値がありませんし、成功はほど遠いです。また、成功のための意思が込められないなら責任者の資格がないとも言えます。

プロジェクト計画を舐めていると死は刻々と近づいてくる

もういい加減、理解いただけたのではないかと思いますが、プロジェクト計画はどんなプロジェクトであったとしても、有用であり必要不可欠なものです。量は重要ではなく、必要なものだけが簡潔にまとめられていれば十分であり、かつ、それらができるだけわかりやすくドキュメント化され、それをツールとして、プロジェクトメンバー全員の認識を揃え、協働できる状況を作るために存在しています。もし、プロジェクト計画書を単なる一時的な会議資料だと思っていたり、目的とスコープと成果物と体制図とスケジュールが書いてあればそれでいい、みたいな見た目重視の本質をまるで理解していない感じでいたりすると、そのプロジェクトは日々刻々と死に近づいているのだ、ということを知っておいてください。知っているだけでだいぶよい感じです。

プロジェクト計画の立て方

さて、ここからが本編です。
そしてここから有料となります。

ここで再度、前作の「転ばぬ先の杖:プロジェクト計画書のススメ」を紹介しておきます。ここから先の基本構成は前作と基本的には同じものです。前作との違いは、以下の通りです。

前作との違い
・基本構成は大きく変わりませんが、全体的に書き直しています。
・一部項目を加筆しています。(詳細は下記の目次参照)
・計画を立てる際に気をつけておくべきポイントを加筆しています。
・今後も必要なコトがあれば加筆修正していきます。
・ご購入いただいた方へは個別のご質問にお答えする特典が付きます。※

※万が一、質問が殺到したら考えますが、2018年6月現在では無制限にお答えします。

続いて、有料部分の目次を挙げておきます。(2018/5/6時点)

基本編 (書き下ろし)
 ・どのフォーマットで書くか?
 ・成功に至る筋書きを考える
 ・計画書の目次を作る
 ・あとは計画書として書き上げるだけ!
詳細編 (全面改稿)
 ・プロジェクト目的
 ・プロジェクトゴール
 ・成功要因と失敗要因
 ・プロジェクト概略
 ・スコープ
 ・前提条件と制約条件
 ・成果物
 ・タスクの構造化
 ・期間と予算
 ・役割定義
 ・体制
 ・プロジェクト運営上のルール
 ・コミュニケーション
 ・リスク管理
 ・その他
成功確率を上げるためのポイント (書き下ろし)
 ・プロジェクト計画は直線では描けない
 ・チームで考える・チームで作る
 ・計画内容へのツッコミを受け止める
 ・関係者全員で読み合わせる
 ・初期段階でのプロジェクト見直しはむしろラッキー
 ・プロジェクト計画に沿ってプロジェクトを運営する
 ・プロジェクト計画は終結まで更新し続ける
さいごに

こんな感じです。興味があればご購入の上でご覧ください。

ご購入いただいた方への特典 (というほどでもない)
掲載内容に限らず、プロジェクト計画に関連する事項であれば、個別のお問い合わせにもお答えさせていただきます。文末に連絡先のメールアドレスを記載していますので、そちらをご利用ください。

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プロジェクト計画立案のための基本ガイド

齋藤健太郎

500円

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齋藤健太郎

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