コミュニケーション考

仕事におけるコミュニケーションが大切だということは、わざわざここで説明することでもないのだけれど、コミュニケーションが苦手だという人は多いのではないかと思う。一方で、コミュニケーションが得意と断言する人ほど実はコミュニケーションがあやしいと思っている。

そもそもコミュニケーションとは何なのだろうか。

といってコミュニケーションについて真面目に書いていくなら、世の中にたくさん文献があると思うので、端的に仕事をしていく上でのコミュニケーションについて書くと、大切なのは「自分の意見を伝えること」と「相手の意見を把握すること」ともうひとつ、「キチンと合意すること」だと思う。

コミュニケーションが得意だ、と言っている人を過去に何人も知っているけれど、それは口が達者だとか、誰とでも話ができる、という能力のことであり、それはそれで持っていて損はないスキルではあるものの、前述のモノとは別モノだと思う。むしろ、口が上手いことを利用して押し切ろうとすることが多く、それコミュニケーションじゃないですよ、と言いたい。というかコミュニケーション舐めるな。

前述の大切なこと3つは、口が上手くなくても、話し掛けるのが苦手であっても、それとは無関係にやり遂げることができる。

自分の意見を伝えること

アドリブで話すのが苦手であるなら、資料作成の話でも触れたように、自分が伝えたいことについて書き出して予め整理しておけばよい。何ならメモを見ながら話したって全く構わない。スラスラ話せなくても問題ない。大切なことは、つっかえてもどもってもよいから相手を見て、できるだけ誠実に話すこと。格好つけない。誇張しない。嘘をつかない。これでよい。

相手の意見を把握すること

意外とこちらの方が難しいのではないかと思っている。いわゆる傾聴というもので、話を聞くだけでなく、いったんは受け入れる必要がある。ここが難しかったりする。みな、自分の意見を持っているので、それが受け入れる際に邪魔をすることがある。ここは意識的に「反論する心」を封印して、まずはできるだけ穏やかな気持ちで聞くことを心掛ける。

キチンと合意すること

これが最難関で、自分の意見は伝えて、相手の意見を把握しただけでは、単に意見交換をしただけであり、仕事でなければ別にいいのかも知れないが、仕事上はこれだと困ることが多い。というか「意見交換をした」と認識しているなら問題ないけれど、この状態で「合意した」と認識しているなら間違いなく地獄行きである。こう書くとそんな極端なことはないと思うかも知れないが、ビジネスの場面においてこの勘違いは結構ふつうに起きていることだと思う。

仕事上と書いたけれど、プライベートでも大事な局面では同じで、例えば「きみのことが好き」「私も好き」という対話があった場合、果たしてこれはどういう合意がなされたのであろうか。好意的、且つ、楽観的に捉えれば、カップル成立、おめでとうございます!とも言えるが、仮に彼らが別々の国に住んでいたり、あるいは、既婚者だったりしたらどうであろうか。可能性としてそれでもカップル成立かも知れないが、「好きだけど付き合えない」という結果になる可能性も十分に考えられる。

という感じで、合意とは意見交換だけでは成立しないのである。言い換えると、コミュニケーションにおける意見交換は必要条件だけれど、十分条件ではないと言える。(合意しなくてよいコミュニケーションももちろんあるのだけど、今回はビジネス上でのコミュニケーションの話)

では合意するために何が必要なのだろうか。これが難しい。いちばん確実なのは、ハンコでもついてもらうことである。これができるなら迷わずオススメする。そうではないなら、いろいろと準備が必要なのだけど、それはまた別の機会に譲る。

とにかく大切なのは、コミュニケーションは口が上手いとかそういうことではないので、逆に言えば、「自分は話が上手くない」ということを言い訳にして、コミュニケーションを取るために努力することを放棄しないこと。話なんて上手くなくていいのである。これが書きたかった。


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齋藤健太郎

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