デジマプロジェクトをはじめる前に。

「デジタルマーケティング」を「デジマ」と略すことが定着しているのかどうか、中の住民からはよくわからないが、本稿では敢えてデジマで統一してみる。(なお筆者のデジマに関する考え方については前稿で触れている)

仕事柄、デジマ領域のプロジェクトに触れる機会が多いのだけれど、10年前の古き良き時代ならともかくとして、昨今のデジマプロジェクトが非常に質が悪いというか、率直に言って難易度最狂レベルだと思う。もちろん、全部が全部そういう訳ではない。

何が質が悪いかというと、今日のデジマプロジェクトは、最早、Webサイトだとかアプリだとかインフラだとか、あるいは広告だとか販促だとかマーケだとかユーザサポートだとか、はたまた事業戦略だUXだデータだブランディングだと、さまざまな要素が入り組み、相当なカオスになっているところである。別の表現をすると欲張りすぎである。

古き良き時代もいろんな要素は絡んではいた。でも「インターネット担当」という牧歌的でハートウォーミングな役割の担当者と膝を突き合わせて、あれこれモノゴトを考えて決めて行ける時代であった。翻って現代は、デジマというなんだか分からないけど、取り組まなければ取り残されてしまう恐怖のトレンドワードに背中を押されるどころか突かれまくっている方々がいろんな部門から押し寄せてくるため、ひとりどころか2ケタのステークホルダーに囲まれながら、右だ左だ上だ下だの大騒ぎになっている。

そもそもデジマというものにコアはない。あるとすれば、テクノロジーとしてのCMSだったりDSPだったりDMPだったり、メディアとしてWebサイトやアプリだったり、デザインとしてのUXやUI、あるいはSEOなんかもデザインの一種であり、そういうものを考えて考えて、繋いで繋いで、何かを生み出そうと四苦八苦しているのが昨今のデジマプロジェクトである。

ただ、それらは全部手段であって本質ではない。新しいテクノロジーは確かに興味深い。手段も洗練していくことに異論はない。ただ、本質的には何を目指して、何を得ようとしているのか。お金が欲しいのは構わない(僕も欲しい)。でも、それ以外で何を得ようとしているのか、そこが曖昧なケースが実はかなり多い。

デジマプロジェクトで何が難しいかというと、そこが曖昧だからだと思っている。アプリを作ったり、DMPを入れるのは良いのだけれど、その前にまず何がしたいのかを明確にしたいし、明確にすることを薦めたい。そこを掘り下げていくと、最早デジマの話ではなくなる。突き詰めれば概ね「モノを売りたい」に収斂するのだがそこに至る道として、自社サービスの認知度を上げたい、既存ユーザの継続率を上げたい、ユーザとの接点を増やしたい、価値観を共有したい、というような話が本質であり、そこを明確にしてから取るべき手段を考えて行ければ話はシンプルになる。あとはそこにテクノロジーを組み合わせてどこまで効率を上げられるかを考える。当然、無理には使わない。

デジタルという魔法の杖がまだキチンと認知されていない証左なのだとも思う。何でもしてくれそうだから、とりあえずやってみよう的なところから始めるのではなく、まずは「何を変えたいのか」というところから考えて行く。必要ならその段階から魔法の専門家を呼んで議論をする、そういうオーソドックスなやり方が最も賢く最も効率が良い。でもたまに意味もなく杖を使いたがりな魔法使いもいるので注意しましょう。

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齋藤健太郎

仕事自体をクリエイティブにするためのテキスト

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