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VRChatの映像作品を「見たい」と思って実際に見てくれる人

※この記事内での「映像作品」は「映画」「ムービー」「作品」と銘打ってるものとする。


「見たい」と思えるだろうか

「(VRChatの映像作品は)役者もカメラマンも全員リモートなのは面白いし未来を感じるけど、見たいとは思わないかな」

といったようなことを映画好きの友人(VRChatをやらない)から言われ以来、そのことについてずっと考えていた。

──そもそも個人制作の映像作品を、映画館で見る作品と同じように「見たい」と思えるだろうか。

──更にその個人制作の中でも、フル3DCGのアニメ作品というジャンルを、「見たい」と思えるだろうか。

──更にその個人制作のフル3Dアニメ作品の中でも、VRChatという"ゲーム"で撮られた作品というジャンルを、最新の3DCGの技術を駆使して作られた個人制作のアニメ作品と同じように「見たい」と思えるだろうか。

──「見たい」と思って実際に見てくれる人はどれだけ居るんだろうか。

──更に見てくれた人が「面白い」「好きだ」と思ってくれるのは、どれだけの確率なんだろうか。

VRChatの映像作品は、VRChatをやらない人からすれば、アバターのポリゴン数が少なくてショボく見えることや、アバターの見た目の統一感が無いことや、アバターが背景と馴染まないことや、アバターの動きや表情の固さが「映像として未完成の状態」に感じられ、どうしてもそれが気になって面白さが半減することがあると思う。
(友人に言われるまで気付かなかったんですが、私はこの5年VRCをしていたことで感覚が若干麻痺しているみたいです。だってVRで目の前に居るアバターがリアルタイムで動いて喋ってるんですから、違和感なんてアバターの向こうに居る人間の圧倒的な実在感にかき消される訳です。言われたら確かに分かるんですけど、これがもう日常的に見る光景なものだから「これが普通」になっちゃうんですよね。人間の順応性の高さは素晴らしいけど恐ろしいです。)

逆に、VRChatをやっている人にとっては、"VRChatで撮られた作品"という、ただそれだけの事実が面白さに拍車をかけることがある。
日頃自分が目にしているVRChatの光景が、ちゃんと作品にまで昇華されていることが分かると最高に楽しい。
これはきっと全てのジャンルでもそうだろう。
好きな俳優が出ていたり、好きな作家やアニメーターが関わっている映画というものは、それだけで自分にとっては100満点、100億点の価値があるものではないだろうか。

同じように、自分の住む街が取り上げられた作品はどんなものでも「あ〜ここ知ってる」「わかるわ〜」というあるあるネタだったり、「それは無いわ」「分かってねぇな〜」というツッコミを入れることで楽しめたりする。VRChatはきっとこれに近いし、ユーザーならではの「そんなことできるんだ??」という驚きもあったりする。

定点カメラアーカイブの可能性(劇団コメディアス『うたかたのひび』)

因みに冒頭の友人が見た中で一番反応が良かったのは、劇団コメディアスの
VR演劇『3:うたかたのひび』Drama Hall × コメディアス 生配信アーカイブだった。

音質に関しては気になったようで残念がっていたが、完全版ではなく生配信アーカイブならではの定点カメラで他の観客の声も入っているのが「そこに居て見てる感があって良い」とのことだった。(分かる。私もアーカイブ版の方が好き。)
あと、「単純にストーリーが面白くて演技も良い」と。(分かる。最初は07番の独特な喋り方がちょっと気になるんだけど、ストーリー進むごとにクセになるし何なら最後は愛しくなる。私は初めて見た時にラストで普通に泣いた。)

上記のものは映像作品ではなく、実際にVRChatで行われた舞台の映像記録なので少し違うが、VRChatをやらない人からするとやはり体感できるものの方が楽しめる可能性は上がるのかもしれない、という一つの例である。

まとめと自作品について

そしてここまで色々と考えて思うのは、
「VRChatをやってる人/やらない人が楽しめるものとかより、私が楽しめるものを突き詰めて作れば良いや」
ということだった。
「創作でどうしたら良いか悩んだ人間が悩み抜いた末に初心を取り戻す」という実に安易な展開だ。


そうして作ったのが「ラブ・バター・ラブ 〜私を見つけて〜」である。

《予告》


《本編》


《上映後イベントの様子》

Q:上映後のイベント、何で燃えてんの??
A:説明長くなるから本編見た方が早いです。本編と同じようなことが起きました。

上映後のイベントも含めて非常に楽しかった。
多分デスゲームの主催者ってこんな気持ちなんだと思う。

そう、個人制作は楽しんだもん勝ちである。


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