「カラダの成長」と野球肘
9月に入り、学生野球では上級生が引退し、新チームの新人戦をむかえるところも多いのではないでしょうか。
新チームの強化期間となる7.8月の約1か月の夏休み期間
強化に向け、多くの練習をしていたチームも多いと思います。
しかし、
練習時間の増加に比例するように起こるケガ
この夏休み期間、同じ練習をしていても
「なぜ、うちの子だけこのケガになるのか」
と嘆く保護者の方とお話することもありました。
そこで今回は子供のカラダの成長についてnoteでまとめたいと思います。
こどもに関わる上で知っておきたいカラダの成長・発達として、
ということをテーマにお話を進めていきたいと思います。
成長するにあたって体は成熟していきますが、
こどものからだは成長途中です。
大人のケガと同じように考えてしまうと、
痛みの部分にさらに負担(ストレス)をかけてしまうことになり、
重症なケガ(故障)につながることも珍しくありません。
やや専門的な内容もありますが、
ケガを理解するためにはとても重要なことであると思います。
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■子供の骨の特徴を知る
(画像:VISIBLE BODY)
大人が子どものケガを理解する上で、
「成長過程」を知ることはとても大事なことです。
子どもの骨は大人の骨と違い、
「弱く・傷つきやすいこと」
が特徴です。
子どもの骨には
骨端という骨を製造する「工場」があります。
成長期の骨は、骨端核を中心に新しい骨を作りつづけています。
本来、弱く傷ついたものは修復力が高いために治りやすいですが、 強いダメージを受けたり、オーバーユースなど慢性的な故障を起こすと、 骨をつくる「工場」の機能は止まり、新しい骨を作らなくなってしまいます。
そのため、
成長期でのケガには注意が必要になります。
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■骨の成長過程を知るには「骨年齢」を知る
「まわりの同級生と比べてケガが多い」
というようなケガをした選手の保護者のかたより、よく相談を受けます。
はじめにお伝えすると、
「骨の成長は年齢だけで判断してはいけない」ということがあります。
これは「骨端線」による問題があります。
骨端線は成長にしたがって、骨が癒合しみえなくなってきます。
これを骨端線が閉鎖するといいます。
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|骨端線の閉鎖
骨端線の閉鎖には
場所によってそれぞれ推定されるおおよその年齢があります。
上の図をよく見ると、
閉鎖する年齢にバラつきのあることがわかります。
ここが大事なポイントです。
上の図の骨の成長の違いでわかるように、
カラダ(骨)の成長には同年齢の中でも
「早熟型」
「晩熟型」が生まれることになります。
特に
11‐12歳(小学校5・6年‐中学校1年)くらいでは
成長の「早い」・「遅い」の差は4年くらいの
開きがあるといわれています。
つまり、成長の開きがある子供が同じ学年でプレーをしているという実際を忘れてはいけません。
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■子どもと大人の野球肘の違い
工学の分野でこのような原則がありますが、
野球肘を含めカラダの障害も同じ考えが当てはまります。
人のカラダと違う点は、
「成長にしたがって最も弱いところが変化すること」
にあります。
この図からも分かるように、
骨ができあがるまでは骨が最も弱く、
骨ができあがってからは筋肉・腱・靭帯などが弱く、
ケガを起こしやすい部分となってきます。
大人の投球障害で
「骨」のケガが少ないのはこのためです。
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|こども特有の野球肘
子どもの投球肘の中で、
骨端の成長に関わるケガとして
「上腕骨骨端線離開」というものがあります。
上腕骨骨端線離開
骨端線離開は軟骨の骨折です。
つまり、
骨端線が修復されるまで投球動作を中止し、
キャッチボールもできません。
復帰まで6か月~1年以上かかるといわれています。
よって、成長期の野球肘は、この時期特有の骨端症を生じることで復帰に時間を要することを理解しておく必要があります。
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■投球の管理とからだのセルフチェック
このようなケースに至らないようにするためには、
日頃からの徹底した「投球管理」と
肘を含めたカラダに異常がないかを
「セルフチェック」をしておく必要があります。
|投球管理
からだのセルフチェックは動画を参考にしてみてください。
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|しゃがみ動作チェック
踵を地面につけたまま、しゃがんでみましょう!
このようにしゃがめない選手のうち、
75%がケガをしているデータがあります。(スポ・ラボ)
この動作ができない選手は足首や股関節、背中の硬いと思われます!
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|足の柔軟性チェック
踵がおしりにつくように曲げてみましょう!
踵とおしりの間が10cm以上あいてしまうと、
投球障害の発症率が高くなると言われています。
10cmの目安
=例)はがきの横軸
はがきを使ってチェックしてみましょう!
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|背中の柔軟性チェック
肘をつけたまま、腕をあげてみましょう!
肘が鼻まで上がらない選手は、
できる選手に比べて、4倍以上危険度が高くなります。
(スポ・ラボ)
姿勢の悪い選手や
肩から背中の硬い選手がなりやすい印象があります!
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|肘のセルフチェック
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■まとめ
カラダの構造を知る上でやや専門的なお話も交えた内容になりましたが、子どもの成長・発達に関わる大人には知っておきたい内容です。
投球動作も長期間制限され、
復帰までの時間も半年から1年を要する骨端症によるケガ
カラダの成長の個人差(個体差)があることを把握したうえで、
選手にかかわることで未然に防げるケガもあると思います。
ぜひ現場での取り組みの一つとして参考にしていただけたらと思います。
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|引用文献
1)子どものスポーツ障害 こう防ぐ、こう治す
2)よくわかる野球肘 離断性骨軟骨炎
3)新しい少年野球の教科書
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