犬を飼う①
12年前。犬を飼うという決心からノアに出会った頃を振り返ってみたいと思う。
12年前の1月。インコが欲しい!という息子のために行ったペットショップで、ものすごく可愛い犬を見つけた。トイプードルとマルチーズのハーフの男の子。子犬ってみんな可愛いけど、なんというかハンサムなのだ。もちろん、子犬の可愛さは持ち合わせつつ、目元がなんとも涼やか。目元が涼やかな子犬って!
しばらくその子の前にしゃがみ込んでいた。お店の人に「抱っこしてみますか?」「抱っこだけでも…」と何度話しかけられたことだろう。その度に頑なに固辞した。抱っこなんかしたら絶対惚れてしまうと思った。後ろ髪を引かれつつお店を後にした。
子供の頃から動物が好きで、犬も大好きだった。でも結婚するまでいた実家はペット不可の社宅で結婚して住んだアパートもペット不可。なのにプレーリードッグを飼い始め(すいません)そのうち子供も産まれてそれどころではなくなった。
私の弟も犬が好き。年末年始に実家で会った時も犬を飼いたいとずっと言っていたけど、みんなこのタイミングで犬を飼う事には否定的だった、というか「無理でしょう…」という空気が支配的だった。
ペット可とはいえ、決して広くはないマンション住まい。まだまだ手のかかる子どもたち。決して安くない初期費用+ランニングコスト。なにより、命を預かるという責任…。私が到底犬を飼うという選択ができ得ないそれらの条件は弟も同じだった。
だから、それから数日と経たないうちに犬を飼い始めたと聞いてちょっと衝撃を受けた。
なんていうか、目の前にデカい山があって、「絶対登れるはずがない」と見つめる私の横でその山をヒョイと跨いだ人がいた…みたいな感じ。「よく見なよ。そんなに高くないって。」と。
心からうらやましかった。
で、私にも「犬を飼う」という選択はできるはず!やればきっとできるよ!という気持ちが芽生えた。とはいえ、子育てや家事の毎日の中で心身の余力があるわけではない。
結局これは「出会い」なんだ。弟も今のあの子に出会わなければこの選択はなかったのだから。これから先、私にも「今だ」と思える出会いとかタイミングがくるんだと思えた。
そのころの家族の反応はというと…
インコが欲しいと言っていた息子は犬でもいい!と言い始めた。娘はその話になると犬になる(犬のマネをする)。ちなみに当時年少さん。
夫は、鼻息が荒くなった私を無言で、しかしさらに荒い鼻息で見つめている。主なお世話は私がすることになるわけで平日日中に在宅しておらず物理的に主導権を持って世話をできない彼は率先して「飼うぞ!」と言えないところだ。でもウズウズしているのは明らかだし、私がGo!の「ご」でも言おうもんならピューっとペットショップへ走り出しそうだった。
ここから犬を飼うということに向き合い始めた。
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