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世界ミックスダブルスカーリング選手権2024

みなさんこんにちは、こんばんは。書き始めた時はこんにちはでしたが(昨日昼)、書き終わりはこんばんはになっていました(今晩)。

もう始まるよってタイミングですが、ギリギリ前日には間に合いました。今回は間に合うか怪しかったので、Xで自分で自分のケツ叩きにいきました。

いよいよシーズンも最終盤です。長いですね〜。
そして「世界ミックスダブルスカーリング選手権」も長いので、WMDCCと略すことにします。おそらく大会のハッシュタグもこれです。
World Mixed Doubles Curling Championshipの頭文字ですね。


WMDCC大会概要

出場国 20カ国(1国1チームです)
10チーム×2グループに分かれて予選9試合
予選の結果で各グループ上位3チームが決勝トーナメントに進出
グループ2位×3位同士で準々決勝、
準々決勝勝者とグループ1位で準決勝、
準決勝勝者同士出決勝、という流れです。

この他にも、予選下位では来季の世界選手権の出場枠をかけたRelegation gamesという試合もあるので、上も下も勝負があります。

Group A

デンマーク
世界選手権は3回目の出場。

スペイン
スペインといえばこのチーム。海外ツアーも出場しています。5回目の出場。

エストニア
4人制ではあまりイメージありませんが、ミックスダブルスでは強豪のエストニア。同じペアで7回目の出場。すごい。最高成績は5位。

フランス 
チームとしては初出場。

ドイツ
世界最終予選を勝ち上がって今大会に進んだドイツ。

イタリア
北京オリンピック金メダリストのコンスタンティーニ選手と新たに組むのはデザナ選手(読み方わからない)。これまで組んでいた男子選手はいずれもチームレトロナスのスイーパーのため、オリンピックを見据えて4人制とミックスダブルスの兼ね合いでの変更じゃないかと私は勝手に思っています。

日本
我らが代表、上野・山口ペア。こちらはのちほど詳しく。

ノルウェー 
ダブルスのメダルたくさんもってるペア。オリンピック銀・銅、世界選手権もです。チームで8回目の出場。これもすごい。
今季国内の若手とバチバチやって僅差で上がってきたペアで、経験・実績は十分。今大会の優勝候補筆頭でしょう。

スイス
4人制のエリート選手同士の夫婦ペア。昨年に引き続き代表で、惜しくも決勝トーナメント進出を逃しているので今年は狙っているでしょう。

トルコ
国全体で近年力を付けてきています。とにかく勝ち星が読めないのがここ。女子のユルディス選手は7回目の出場。

Group B

オーストラリア
ペアで5回目の出場。オーストラリアもダブルスといえばここ、というチーム。積極的にツアー大会にも出場しています。最高成績は4位。

カナダ
世界で1番チーム数が多いカナダ。大激戦区をカナダ選手権で勝ち抜いてきたのが今回の代表ペア。カナダ選手権の決勝では、ウォーカー/マイヤーズペアを僅差で破っての優勝。なんとラストエンドは計測で勝負がつく、珍しいケース。国際大会の経験が少ないチームなのがどうでるか。

中国
謎の国中国。どういう選考方法で代表ペアが決まったのかわかりませんが、今季はツアー大会にも参戦して3チームほど強化していました。その中の1チーム。地力はあるので中国のポジション取りがどうなるかは個人的に注目ポイントです。

チェコ
7回目の出場となる夫婦ペア。オリンピックでも代表になっています。

韓国
2年連続2回目の出場。昨年は地元韓国開催であまり結果はよくありませんでしたが、1年かけて強化してきているので今年はどうか、注目です。

オランダ
こちらも2年連続2回目。

ニュージーランド
前回出場2021年は12位だったペア。

スコットランド
ドッズ/マウアットのスーパースターコンビではなく、今回は新しいチームを派遣。

スウェーデン
めっちゃ上手い兄妹。この人たちを形容するのにそれ以外見当たらない、ヴラノー兄妹。ここも優勝候補の一角でしょう。

アメリカ
こちらもベッカとマットのハミルトン兄妹。組んでいる年数も経験もあるので中堅といったところでしょうか。


WMDCCではチームランキングはあまり意味がありません。というのも、4人制と違って、ミックスダブルスに「時間を割いていない、けど強い」というチームも出てくるからです。チームランキングはあくまでツアー大会と各国選手権の結果でのランキングで、選手権だけの出場ではランキングは上がりません。そのためあまりあてにならないということです。
ですが、出ているチーム同士ならある程度使えます。例えばノルウェーとエストニア、韓国、オーストラリア、チェコあたりは出場数も多いので比較に使えるでしょう。
逆にスコットランドやスウェーデン、日本なんかも実力をはかるには使えないものさしになります。

そのため優勝候補は?と聞かれると非常に難しいものです。

日本チームの対戦相手

ここらへんはXにめっちゃわかりやすくまとめてくださっている方々がいますので、そちらを見てみましょう。


最大の山場は初日。代表経験が多く、試合慣れもしているノルウェー、エストニアとあたるのはなかなか厳しめのスケジュールです。
でも初日はみんなショット荒れがちになりますし、日本のペアも強いです。チャンスは十分あると思います。ここを2勝出来たら嬉しい。私が。(おそらくみんなも)

大会3日目の2試合も大事です。きっと予選通過を実際に競う相手になってくると思います。直接対決で勝っておくのは大事です。

最後の最後にスイスが残っているのもなんとも言えないですね。4人制のエリート同士の対決になるので、ここはどっちがアイスに合わせられるかの勝負になると思います。

全体的な話でいうと、やはり同ブロックにヨーロッパ勢が多いのが気になります。時差によるコンディション不良はパフォーマンスに影響します。とはいえミックスダブルスに限らず4人制、ジュニア、ユニバーシアードなど代表歴が多い日本ペアですので、そのあたりはきっと対策しているでしょう。

各国代表選考方法

まあまあ長くなりますので、興味無い方はぜひすっ飛ばしてください。

日本は日本選手権で勝ったチームが世界選手権に出場する、という至ってシンプルな手法で代表が派遣されています。日本では4人制・ミックスダブルス共通です。

日本と近いのはカナダ、アメリカ、韓国などで、現時点で多くの国が採用しています。国によって時期が違い、1月~3月に行っている国がほとんどですが、韓国などはシーズン終わりに選手権をして来季の代表を決める形をとっているので前者とは少し強化方法が違います。

ここでいう協会の強化方法は、主に
・資金を配分して遠征に行かせる
・人員を割いて競技環境を整える
・大会の出場機会を与えて経験を得る機会を与える
などを指しています。

直前選手権による代表選考

直前期の国内選手権で1番強いチームを出すことの特徴は、国内選手権までの間に準備を済ませているという点です。その準備の成果を国内選手権ではかり、強いチームを決めます。
大体の場合が1~3ヶ月前に実施されていますので、国内選手権から世界選手権の間に強化することはスケジュール的に難しいです。

最大のメリットは、そのシーズン、その時期に1番強いチームを出せるという点です。そして「勝ったチームが行く」という、誰が見てもわかる明瞭な仕組みでもあるため、公平であると言えます。国内選手権に合わせるというピーキング能力も問われます。世界選手権に対してもそれは必要になるため、大事な要素です。

メリットでもありデメリットでもあるのは、国内選手権では調子が良かったが、強化をしていなかったり経験不足であるチームが代表になる場合もあるという点です。1つ強いチームがいると2つ目のチームが出てこられないこともありますが、とにかく勝てば出れるので新しいチームが出てきやすい仕組みでもあります。そのためメリットでもありデメリットでもあるわけです。

このあたりをフォローするためのナショナルコーチというのもあると思います。この大会がどういうものなのか、という経験値が0か1は全然違います。日本は小笠原歩コーチがその立場にいて、ご本人もミックスダブルスで世界選手権を経験している他、ここ数年の代表に帯同もしています。



前季国内選手権での代表選考

韓国はシーズン終わりに国内選手権を行い、1シーズン強化期間を設けて世界選手権を迎えています。この場合まず1シーズンは計画的に強化することができます。そして強化するチームを絞ることができます。これによって強化スタッフの人員や費用などを効率良く使うことも可能です。この2点はメリットになると思います。
この場合のデメリットは、勝ったチームに遠征させたが、想定よりチームが強化出来なかった場合や、直前期に調子を落とした場合の代表替えが容易ではないという点です。


これは時期に限らず選手権勝者が行く場合のデメリットとしては、協会の意向や強化方法を反映しづらい点です。協会が強化費をかけて強化したチームが出られない、または中長期計画で強化するという手法が取りづらいためです。

国によっては4人制とミックスダブルスで選考方法が違う場合もあります。似ている状況はあっても、同じ状況というのはほぼありえないので、自国に合わせた強化方法が必要であることは間違いありません。

年間チームポイントを利用して代表選考

ノルウェー、スウェーデンなどが採用しています。ノルウェーは国内で独自のポイントシステムを設定して、それを元に代表を決定しています。ざっくり説明すると、今季で上位4大会分の成績のポイントの合計値で順位付けしています。(World Team Rankingは上位6大会) シーズン前半と後半で積算がかわっていて、後半に良い成績をおさめたチームが有利になるように設定されています。

スウェーデンはそこまでではなくて、シーズン中に明らかに他チームよりツアー成績が優れている場合、そのまま代表になり、該当しなければスウェーデン選手権を行う、というものでした。

年間ポイントを代表選考に採用する最大のメリットは、シーズンを通して強かったチームを派遣できるという点です。ポイントをたくさん獲得しているということは、単に勝っていただけではなく、そのシーズン実戦経験が多かった裏付けであるため、ある程度経験値が保証されます。
世界選手権の代表という点でいうと、オリンピックポイントを獲得するという側面もあるため、例えばメダルが絶対に取れる!というチームでなくとも、2大会連続でプレーオフに進んでいればかなり可能性が高くなります。
経験値が保証されている分、いわゆる大コケする可能性をつぶしやすくもあります。

デメリットは、完全に年間ポイントで選考すると、ミックスダブルスに時間を割いているチーム以外に強いチームがいた場合、そのチームを代表にできないという点です。
そのためスウェーデンなどは2段階になっているのかなと推測します。スーパースター選手、沢山いますからね。

はあ長かった。お付き合いいただきありがとうございました。

複数の強化方法がありますが、1つ言えるのは完璧な方法はないということです。きっと各国がその時点でベストだと思う方法を決めて実行しています。時が変われば方法が変わることもあるでしょう。

観る方の、試合の勝敗以外の楽しみ方が増えたら嬉しいです。


さて、大事なお知らせです。
予選3試合がNHKBSで放送されます。今回そちらの解説をすることになりました。

4月21日 1:00~ エストニア戦
4月23日 1:00~ スペイン戦
4月25日 1:00~ フランス戦

日常に支障のない範囲で、ぜひご覧ください!

昨年の写真です


私はいざ東京へ!1週間滞在予定です。まだ荷物用意できていません。
がんばれわたし!note書き終わったんだもの、あとひと息。(こんなに書くはずじゃなかった)


大会中は保証できませんが、また書くかもしれません。(書けないかもしれません)
いろんな方に読んでいただけたら嬉しいです。

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