上弦の月にはシロップを。下弦の月は冷凍に。

分かったようなことを書いておいて、実は何もまだ知らないのだと気が付いてしまった。

雨の日の午後にもたらされた電話。私はまだ本当の悲しさを知らないことを、優しくさとされる。
同時に、本当の喜びもまだ知らないんだなと思った。

みんな、強いなあ。誰だって悲しみを抱えて、それでも笑ってる。ねぇ、知らなかった。
大人だって、泣きたいこともある。
でも、まだ涙は出なかった。だって実感なんてなくて、まだ起こってないことで。

それに、どうあっても、これまでのことは消えたりしない。
大丈夫。

ホットケーキを焼くことにした。お腹はすいてないけど、甘いものはいい。

適当に粉と卵と牛乳を混ぜると、甘い匂いがキッチンにじわっと広がっていく。フライパンに流すと半円が二つできた。上弦の月と下弦の月。

今日はうまい具合に黄色に焼き上がる。ここ何回か、フライパンの調子がよくなくて失敗ばかりだったのに。フライパンもうまくやるときを心得ているのかもしれない。

上弦の月にはバターとシロップをたっぷりかける。

大人になるって、悲しさを知っていくってことなのかな。そして、喜びも。上弦の月を食べながら、もう一度シロップを足した。

生きてる限り、食べなきゃ。
たぶんまた甘いものがほしくなる。だから下弦の月はそのときのためにとっておこう。

下弦の月はラップをして冷凍庫に入れた。

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2.26 今日はいて座で下弦の月。

#エッセイ

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koala

エッセイ

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