真夜中の間食

産院の夕食には、「間食としてお食べください」というメモと共にヨーグルトがついていた。

間食?
病院が夜の間食を推奨するの?

不思議な気分になりながら冷蔵庫にヨーグルトをしまった。

その日から母子同室がはじまって、さっそく夜泣きの洗礼を受けることになる。

あんなに昼間すやすや寝ていたのが嘘のように、ベッドに置いた途端泣き出す赤ちゃん。

授乳して、寝かしつけて、ベッドに置いて。
一息ついたらすぐに泣きだす。
そして授乳に戻る、無限ループ。

泣き止まなかったら呼んでくださいね。
って言ってた助産師さんすら、
ごめんなさい無理でした!って赤ちゃんを返してくる始末。

どうやら朝までの長期戦になりそうだ、と覚悟を決めたころ、夜中だっていうのにお腹がすいてることに気づいた。

体温の高い赤ちゃんを、ずっと抱っこしていると、クーラーが効いたはずの部屋でもほてってきて、のども乾く。

冷たいものがほしいなぁ、できれば甘いもの。

頭の中に、間食にお食べくださいの、あのヨーグルトが浮かぶ。

ああ、このときのために!

赤ちゃんがちょっと寝た隙に、そおっと冷蔵庫から取り出して、ペリッとフタをはがす。

スプーンにすくって口に運ぶと、爽やかな冷たさがするっと溶けた。

人生で一番おいしく感じたヨーグルトだった。

授乳中は、母乳のつまり防止のために脂肪分の多いお菓子は控えなきゃいけない。
だからさっぱりして体に優しいヨーグルトは、あと数ヶ月続く授乳期間のおやつにぴったり。
なんてったって、産院が出してたくらいだし。

それから、私の授乳のお供はヨーグルトになった。特に真夜中に、間食として食べるヨーグルトは、たまらなく美味しい。

赤ちゃんが寝なくてしんどいときも、ヨーグルト食べよ!と思うと乗り切れる。

あ、また赤ちゃんが泣いてる。

ヨーグルトで元気になったことだし、もう少し、ねんねまで付き合いますか。

#エッセイ #ヨーグルトのある食卓


もしも「いいな」と思われたら、ぜひサポートお願いします♩ZINE作成の資金にさせていただきます。