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希望の覚書。

ただ、ただ、
影を消し去ろうと
影だけを一途に見つめ
何年間も闘ってきました。

影は消えませんでした。

私が存在する限り
共に影も存在し続けたのです。

だからいつも
消えてしまいたかった。

自分が消えれば
影も消し去る事ができると
知っていたものですから。


ふと、太陽を見ました。

″あぁ、この光は消えないのだな″

私が在ろうと消えようと、
この光は全てを等しく照らし続けます。


一体どれだけの月日、
影を見つめ続けたでしょう。

太陽を見つめた事は、
あったでしょうか。

己が作り出した闇に絶望し
必死で抗っている時も、
変わらずこの背中を
照らし続けていた太陽を
私は感じていたでしょうか。


人間が生きる限り、
影も消えはしないのです。

影が消えるのは
人間が死にゆく時。

さしずめ影は、
″人間の生″そのものでしょう。


しかし太陽は
人間の死生に一切の関与なく
そこに在り続ける。

憎らしいほどあっけらかんと
私を照らし続けていました。

ーーさぁ。
もう、振り返りなさい。


その顔をいつも、
太陽の方に向けていなさい。

あなたは、影を見る必要などない人なのだから。


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