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世界一、憎んで愛した人


〜家族構成👨‍👩‍👧‍👦〜
【父】亭主関白で厳格で仕事人間。医療関係に勤める。
【母】楽観的で天然の極み。精神科の看護師。
【兄】器量も頭もよくドライ。優等生の公務員。

外から見ればいわゆる、
優秀な一家であったと思う。

特に父が。

私が生まれた小さな町では大体の人が
「小林さんには世話になった」
と言うほど、人望のある人だった。

両親共働きで立派に勤め、
子どもは2人共、市内一の進学校に合格。

父の教育が厳しかったゆえ
私と兄は極めて常識的な価値観で育った。

しかしながら家庭内では…

父と母は異常なまでに不仲だった。
同じ空間に両親がいれば
怒声のケンカが始まる。

家の中はどこかいつも
緊張感が漂っていたの。

父の厳しさは度を超えていて。

癇癪を起こした時は毎回、
本当に殺される
と思った。

<叱られる態度は対照的>
【兄】➡︎黙っていれば終わる、と耐えるタイプ。
【私】➡︎わかってほしい、と食い下がるタイプ。

私は何故か、
父に否定されたり
父に理解されないこと
世界の終わりのように
怖く感じてた。

でも言うまでもなく
食い下がるほどに
聞く耳など持たれるわけもなく
より激しい否定を食らった。

一方、抑圧されてた
兄の怒りのはけ口も私の元へ。

殴る蹴るの暴力がひどく、
アザをしょっちゅうつくってた。

母は庇ってくれる事はなく、
「神経質で、言うことを
聞けないアンタが悪い」と
何かある度父に告げては私を叱らせた。

そんな環境で育った子ども時代。

家は、不安と恐怖の戦場⚔️🏡

叱られる時は、自我価値の剥奪
命がけで抗っていた感じ。

ーーでも、小学校の高学年あたりから
私は抗うことを辞めた

反抗も弁明もせず、
すぐ謝っては自室に引きこもり
自分を傷つける事で
怒りをやり過ごした。

そう。

「両親の言うことを聞けるいい子」

になったわけだ。

そして、17歳の春、
何故かその日の夜は
父が私の自室に来て。

2人で話していたの。
私は緊張し、
ソワソワしていたのを覚えてる。

何かの拍子に父が言ったセリフ。

お前、無理していい子やってないか?

この一言で私は、
人生初のパニック発作を起こした。


ーーーその日から続いた
心の病との闘いの中で私は、
私の人生を壊したであろう男を
”父親“と思うことなく、
心の底から憎み続けた。

それから23歳まで私は

"彼のようにはなるまい"

と、彼に付けられた傷の分だけ
人の心に寄り添うこと]に
全てを注いできたの。

それが、私にとって
[心理学]
[哲学]
[カウンセリング]
[コーチングスキル]

などだった。

ーー「本当の愛とはなんなのか

私が生きる上での興味は
それだけだった。

それを考えている時だけ
容易く呼吸ができた。

夢を追い、実家を出てから
ほとんど絶縁関係だった私と父が
向き合うことになったのは
今から2年半前。

ーーーー突然のことだった。

「急性骨髄性白血病です。」

父が緊急入院とのことで、
何日か分の着替えを病院に
持って行ったところ、
医師にそう説明された。

何も感じなかった。

いやむしろ、

「自分のことを”いい父親“と
勘違いして死ねるなんて幸せね」

と母に言っていた。

同じ頃私は摂食障害を抱え
165cm・35kgという具合に
骨と皮の状態。

血液検査では、生命維持すら
危うい数値だったらしく
父の入院の2ヶ月後に、
私も閉鎖病棟へ入った。

ーーその頃から、彼と私の関係性は
少しずつ変わっていったの。

私も父も、
【明日、自分は生きていられるのか】
という極めて本質的な日々の中、
墓場に持っていけるもの”を
必死で手繰り寄せていたように思う。

つまり、
【命の期限】が見えると人は
本当に大切なもの”に気付いていく。

そして私と父は
交換ノートを始めたの。

そこで、父に生まれて初めて謝られた。

[もしもう一度、お前が生まれた頃に
戻れるなら、嫌われるくらい溺愛する。

今まで寂しい思いをさせた分
これからは、ずっと一緒だ]

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十分だった。

この時やっと、
なぜ自分がこれほど命を削ってまで
彼を憎み続けてきたかが分かった。

ーーー心底、愛していたからなんだ。

ちゃんと、
【親子】だった。

お父ちゃんの心にも
私の心にも
お互いへの愛があったの。

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ーーそれから1年半の闘病生活を経て

お父ちゃんは
天国に行きました。

葬儀には、全国各地から
約500名の人が駆けつけ、
父の死を惜しんでくれた。

市内一の葬儀会場でも入りきらず
立って参加して下さる方もいて
とにかく、すごい景色だった。

ずっと毛嫌いしてきた
自分の中に流れる血。

その景色を見たとき初めて、
なにより尊く、誇らしく、
そして愛おしく思った。

ーー私とお父ちゃんは

人生をかけ、憎しみ合い、

命をかけ、愛し合ったんだ。


《人が心を病み、自傷行為をする時》

それは
隠された憎しみ」が
表面化しているのだ、と
様々な文献で見かける。

私の場合それは、
自分を傷付けることで
心の傷を表面化し
父に理解を求める術だったのだと思う。

だからね
伝えたいです。

ーーー自分を大切にすることが苦手なあなたへ

その憎しみに気付いてあげて。

傷ついた自分を癒してあげて。

求める自分を許してあげて。

「いい子」じゃなくても
あなたはちゃんと愛されます。

どうか、

「いい子」の仮面をして
自分の憎しみを隠してるなら、

“ちゃんと”戦って欲しい。

「本来のあなた」のために。


大丈夫。

その憎しみのすぐ裏に

真っ直ぐ過ぎる愛があるから。


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