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地域中小事業者の海外展開について―海外展開視点からの6次産業化のススメ―

1 6次産業化とは

「6次産業化」とは、農林漁業者(1次産業)が、農産物などの生産物の元々持っている価値をさらに高め、それにより、農林漁業者の所得を向上していくことです。「6次産業」という言葉の6は、2次産業(工業・製造業)・3次産業(販売業・サービス業)を取り込むことから、「1次産業の1」×「2次産業の2」×「3次産業の3」のかけ算の6を意味しています。

2 海外展開視点からの6次産業化

6次産業化は、これまで多くの事業者様が取り組んできた事業であり、これから参入するには、競合他社と差別化することが重要です。また、人口減少が予測される日本では、働き手とともに消費者の減少の懸念されます。
そこで、検討の視点の一つとして提案したいのが、海外展開(輸出)を見据えた製品開発です。
最近、日本の農林水産物・食品輸出額は、年々伸びており、2021年には1兆円を超えました。政府では、輸出額目標である2025年に2兆円、2030年に5兆円を達成するため、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を定めて支援政策を展開しています。
日本食品は海外でも人気を博しつつありますが、まだまだ販路開拓の余地があります。日本では定番化し、なかなか需要増が見込めない製品でも、海外では目新しいものと捉えられ、新たな利用方法や魅力が発見され需要が見込まれる可能性があります。
これを追い風と捉えて、新たな販路開拓として海外市場を目指して見てはいかがでしょうか。

3 まずどうしたらいいのか ―自社でできる情報収集―

まずは、自社の輸出対象商品と輸出対象国を想定してみましょう。
想定なので、漠然と輸出してみたい、その国に行ってみたいと言う理由でも構いません。
想定できたら、次は、情報収集と整理です。最近では、海外の情報は概ねインターネットで収集することができます。ただ、玉石混交なので、確かな情報発信源から収集したいものです。
一般的には、政府や公的機関は偏りがなく、信頼できる情報源と言えます。
・JETRO農林水産物・食品の輸出支援ポータル https://www.jetro.go.jp/agriportal/
・GFP(農林水産省が推進する日本の農林水産物の輸出プロジェクト) https://www.gfp1.maff.go.jp/
・農林水産省 輸出・国際 https://www.maff.go.jp/j/yusyutu_kokusai/index.html
 農水省 農林水産物・食品の輸出促進についてhttps://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/meguji.pdf

また、農産物での輸出展開事例はこちらが参考になります。
ジェトロ活用事例 | ジェトロ (jetro.go.jp)

収集した情報の整理は、SWOT分析により行うとよいと思います。
自社製品の強み弱みを競業他社との差別化の観点から分析するとともに、外部環境として、想定する輸出対象国の環境を機会脅威の観点で分析します。
SWOT分析などで情報整理を行ないながら、自社の輸出対象商品の改善や場合によっては輸出対象国の変更を行って行くとよいと思います。

4 支援機関を上手く活用しよう

主に中小企業や小規模事業者の輸出や海外展開を支援する機関や団体は多くあります。民間企業のコンサルタントに依頼するのも一つの手ですが、公的機関を使って貿易相談や市場調査、資金調達を行う方法もあります。
公的支援機関としては、JETROや中小機構、日本政策金融公庫などがあります。
公的機関の支援は費用が無料や安価なものが多いので、是非上手く活用していただきたいと思います。
現在、経済産業省、中小企業庁、ジェトロ、中小企業が連携して新たに輸出に取り組む事業者を支援する「新規輸出1万者支援プログラム」( https://www.jetro.go.jp/ichiman-export.html )が実施されています。
登録すると、サービス案内や商談会などの案内が届きますので、情報収集などに活用することができると思います。

5 まとめ

まずは、輸出したい自社製品と輸出対象国を想定することから始めて、情報収集しながらSWOT分析により情報整理を進めましょう。
わからないことや支援・補助制度のことを知りたいと思ったら、公的支援機関に相談してみましょう。
輸出に向けた商品開発や目標達成までは、今回書かせていただいた他にも様々な課題が出てくると思われます。
しかし、海外展開することで、自社製品の新たな魅力の発見やブランディング、働き手のモチベーションアップに繋がるとなどメリットも期待できます。
その中で重要なのは、やはり事業者様の根気強さと積極性と思われます。
「将来への種蒔き」と思い、気長にあきらめずに取り組んでいきましょう!

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