見出し画像

「だまし絵」の不思議な世界。驚きの写真とともに紹介します

目の錯覚を利用した「だまし絵」。「トリックアート」とも呼ばれ、紙面に掲載された写真に「???」と驚くことがあります。播州人3号が写真をふんだんに使って、その魅力を紹介します。

市を挙げてトリックアートに取り組む自治体があります。
兵庫県のほぼ中央部にある加東市です。

街のあちこちに トリックアート
撮影して楽しんで 日本酒でサーフィン!?
あの名画の少女のターバンが…

 目の錯覚を利用して、現実にはあり得ない不思議な世界を味わえるアート作品が、加東市内の街頭や公共施設で新たに公開された。扉の向こうから巨大な足で飛び出すゾウや、日本酒が変化した激流を滑るサーフィンなど6作品。いずれも作品の前でポーズを決めて撮影すると、絵の中に入り込んだような写真になり、道行く人の人気を集めている。
 同市が昨年度から取り組む「まちなかトリックアート事業」。AR(拡張現実)技術を使っただまし絵や3Dアートを展示する「加東アート館」(同市下滝野)のPRを狙い、昨年度は3カ所に設置した。今年は4月の同館リニューアルに伴い、館内展示していた作品の図柄を再活用する形で、5カ所に設けた。
 酒蔵「神結酒造」(同)の外壁に描かれたのは、同社の日本酒「闘竜灘」「たましずく」の酒瓶からあふれ出す激流。サーフボードの絵に乗ると、さっそうと波乗りする場面が完成する。
 同市東古瀬の社児童館「やしろこどものいえ」の壁には、高さ2メートルを超すゾウや小鳥の作品を展示。子どもが興味深そうに眺め、「(絵から)出てきそうでちょっと怖い。鳥はかわいいね」と母親の手を握った。
 他にも、首を伸ばして手紙を差し出すキリンや、穴から見つめる大きな深海魚らしき生き物を描いた作品などがある。昨年度設置分を含め、他の作品設置場所は次の通り。
 加東市役所1階、2階(社)▽やしろショッピングパークBio2階(社)▽JR滝野駅(上滝野)▽播磨中央公園内「ふじいでんこうさいくるらんど」(下滝野)▽道の駅とうじょう(南山)▽南山活性化支援施設ミナクル(同)

(2022年6月12日付朝刊より)

展示場所を見ると、文字通り「まちなか」です。

その拠点「加東アート館」のオープン時の記事です。

加東アート館21日オープン
AR駆使の3D作品など25点
絵の中に入りませんか?
専用アプリ使えば 恐竜が動き、口から火

 21日にオープンする加東アート館(加東市下滝野)が6日、報道陣に公開された。目の錯覚を利用しただまし絵や日本最大級の最新AR(拡張現実)技術を使った3Dアートの作品など計25点が並ぶ館内は摩訶(まか)不思議な空間が広がる。
 同館は旧滝野庁舎を改修し1階がメイン会場となる。壁には恐竜、キングコングなどの迫力ある巨大なアート作品を展示。絵の前に人が立ちスマホやカメラを向けると、人がその世界に入り込んだような立体的な光景を撮影することができる。
 さらにARを備えた専用アプリをダウンロードすれば、スマホの画面の中で恐竜が動きだし、口から火を噴くなど臨場感たっぷりの映像が再生され音楽も流れる。その様子を写真と動画で撮ることも可能だ。
 作品の多くが「未知なる深海の世界」をテーマにしており、深海魚の専門家で水族館のプロデュースもする鈴木香里武さんが監修した。館を運営、だまし絵の作品を手掛けるアートレス(姫路市)の川上澄架社長は「アートを体感しながら楽しみ、また魚の生態も学ぶことができる。ぜひ足を運んで」と話している。

(2021年3月7日付朝刊より)

AR技術を使った驚きの世界も楽しめるようです。
アート館をPRする看板もユニークです。

来月オープン 加東アート館
壁面にドッキリ だまし絵の看板
「深海」テーマ 参加・体験型

 加東市が同市下滝野の旧滝野庁舎を改修し、開設を予定している「加東アート館」に、目の錯覚を利用しただまし絵の看板がお目見えした。建物の壁面から恐竜やキリンなど3点のアート作品が飛び出すように見え、ユニークで迫力ある光景に足を止める人も。館内の整備もほぼ完了し、同館は3月21日にオープンする。
 旧滝野庁舎は鉄筋コンクリート3階建てで、1984年に完成した。アート館は1階がメイン会場で、参加、体験型の25作品を展示。スマートフォンで撮影すれば立体的に見え、さらにAR(拡張現実)の機能を備えた専用アプリをダウンロードすると、画像が動きだすなど臨場感ある写真と映像が撮影できる。
 作品の多くが「未知なる深海の世界」をテーマにしており、深海魚の専門家で水族館のプロデュースもする鈴木香里武さんが監修。市は年間3万人の入場を見込んでおり、だまし絵の制作・販売会社アートレス(姫路市)が指定管理者として運営する。
 看板が設置されてから、会員制交流サイト(SNS)で話題に。市は壁面にだまし絵をもう1点と、入り口付近にオブジェを設置する予定だ。担当者は「ユニークな仕掛けがたくさんあるので、オープンを楽しみにしてほしい」と話す。

(2021年2月24日付朝刊より)

アート館では趣向を凝らした企画展が開催されています。
紙面で取り上げられた写真です。

巨大なサンタが扉を開けて「プレゼントをどうぞ」(2021年12月)
雪だるまも「床穴」からにっこり(2021年12月)
上空を走る新幹線。はしごを登っているポーズで記念撮影できる(2022年5月)

神戸市の新神戸駅近くにある観光地、異人館街にもトリックアートの施設があります。

中央区 トリックアート館が再開
異人館街 コロナ対策徹底で1年ぶり

 新型コロナウイルス感染症拡大により休館していた、神戸・北野の異人館街にある旧パナマ領事館「神戸トリックアート不思議な領事館」が、約1年ぶりに営業を再開した。明治後期建築の建物を使った体験型施設で、来館者は例年の1割程度の日もあるが、グループや家族連れが訪れ、休日のひとときを楽しんでいる。
 同館は昨年3月、新型コロナの感染拡大に伴い休館。窓の開閉ができず、換気が十分にできない点が課題だった。同館は北野地区の伝統的建築物に指定されているため、市の許可を得て、空気清浄機や館内4カ所にダクトを設置して再開にこぎ着けた。
 コロナ禍までは、館内のだまし絵の前で撮影を楽しむ来館者でにぎわっていた同館。だが再開後は、従業員の解説を案内板に替え、手指消毒やマスクの常時着用の徹底を呼び掛けるほか、室内は1~2グループでの入れ替え制とし、都度、壁を拭くなどの対策を取っている。
 同館の担当者は「観光客の姿はめっきり少なくなったが、問い合わせの多かった館。やっと再開できてほっとしている」とする。親戚の小学生らを連れてきた明石市の女性(65)は「春休みにどこも行けないのはかわいそうと思って。対策もしっかりしていて、安心して遊びに来れました」と話していた。

(2021年4月7日付朝刊より)

思わぬ場所で「トリックアート」に出合うことがあります。
西宮市にある取材拠点、阪神総局のデスクが出勤途中に見つけたのは駅名案内でした。

立体的な駅名のトリックアート

 写真は、通勤途中に見掛けるJRさくら夙川駅(西宮市)の看板です。よく見ると、駅名が立体的に飛び出すように見えるトリックアートになっています。
 実は全国的にも珍しく、2007年の開業時、JR西日本が初めて導入したものです。そこには手探りの物語がありました。
 JR西の職員に聞いた話。開業前、駅の場所に決まったのは、国道2号交差点から県道を北へ100メートルほど先に架かる線路橋の周辺です。ただ「改札口」は西側の住宅地に入り込んだ高架下に造ることになり、県道から見えにくくなってしまいました。
 「ドライバーから駅の存在に気付いてもらえないのでは…」。関係者たちは悩みました。そこで線路橋の側面に電照看板を取り付けようとしますが、電車が走る振動で県道に落ちかねません。車にぶつかれば大事故です。結果的に、採用されませんでした。
 それならば、と頭を切り替えることにしました。
 「光ったように見えるシートを貼れないか」
 しかし、そんなシートはどこにあるのやら。何を目立つようにしたらいいのか。そもそも雨風で剝がれてしまわないか…。先例がないのでデザイン、素材、耐久性の実験を繰り返し、その末にできたのが、このトリックアートだそうです。
 さらに、橋の下部分にJR神戸線のラインカラー「青色」を引いているのは、ドライバーに「もっと知らせたい」と、強調の一手。
 今、阪神・北摂総局でも紙面作りだけでなく、記者たちが見つけたちょっとした光景や日常をSNSに積極的に出す実験をしています。さくら夙川駅の看板を見て歩き、試行錯誤を楽しめる職場でありたいなあ。そう思いながら、阪神総局へ向かっています。

(2021年10月2日付朝刊より)

だまそうとして描かれたものではありませんが、こちらのイノシシたちはどう見ても芝生の上にいるとしか思えません。

芝生を歩く?イノシシ行列 神戸大

 神戸市灘区の神戸大六甲台第2キャンパスで見つけたイノシシ親子。実際は芝生の上にいません。どこにいるでしょう?
 正解は、理学部と工学部をつなぐ通路のガラス窓。そこに描かれたイラストが、見る角度によってはまるで芝生上を散策しているみたいに見えるのだ。
 イノシシが数多い六甲山麓にキャンパスがあり、公式キャラクターに「神大うりぼー」も有する同大。イノシシ愛から出た粋な〝仕掛け〟なのかと思ったが、そうとも言えないらしい。
 窓にイラストを描いた狙いは「鳥の衝突防止」で、角度による仕掛けが意図したものかどうかは「分からないんです」と同大広報課。まあ、せっかくの年だし、積極的にアピールしてみても面白いかも。

(2019年2月14日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。30年ほど前に流行した「ステレオグラム」を覚えていますか。2枚の写真や、連続する図柄をじっくりと見ていると、ある瞬間に平面のものが立体的に浮かび上がります。グラウンドなどにある網目のフェンスを眺めていると、急に奥行きを持って見えるのと同じ原理です。確か、寄り目にする「交差法」と、対象の奧に視線を向ける「平行法」があったと記憶しています。最近は「脳トレ」の課題としても見かけますが、2枚並んだ絵の「間違い探し」に活用できます。異なる部分が点滅するように浮かび、すぐに見つけられます。

#だまし絵 #トリックアート #加東市 #不思議 #加東アート館 #異人館街 #さくら夙川駅 #神戸大 #ステレオグラム