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パイプオルガンと兵庫

楽器の中で最も大きく、「楽器の女王」とも呼ばれるパイプオルガンです。ドイツの作曲家バッハの曲などが有名で、教会のほか、結婚式場に設置されていることもあります。紙面を繰ると、神戸・阪神間を中心に兵庫には立派なオルガンが数多くあり、荘厳な写真とともに播州人3号が紹介します。

大学などの記事が多いような気がします。

ホール満たす荘厳な響き
125周年の関学大
パイプオルガンお披露目

 関西学院創立125周年を記念する「パイプオルガン奉献式」が28日、西宮市上ケ原一番町の関学大西宮上ケ原キャンパスであった。パイプオルガンは昨年建て替えられた中央講堂に設置。真新しいホールに美しい音色を響かせた。
 パイプオルガンの世界的なメーカー、オーストリアのリーガー社製で、幅6メートル、高さ7メートル、奥行き3・5メートル。パイプ数は2122本で、前面に関西学院の校章「三日月」が描かれている。
 式典にはOB、OGら約300人が出席。パイプオルガンの演奏に合わせて賛美歌を合唱し、新たなシンボルの誕生を祝福した。奉献演奏では、バッハ「われ心より切に願う」などが奏でられた。
 今後、入学式などで披露され、一般向け演奏会も開催する予定。

(2015年3月29日付朝刊より)

神戸市灘区の松蔭女子大学にも立派なパイプオルガンがあります。

1983年の完成で、日本初のフランス式古典パイプオルガン(高さ約11メートル、幅約4メートル)です。オルガン設置を前提に建てられたチャペルの豊かな残響は、欧州の約90の教会の測定値から設計され、低音が響き過ぎないよう壁面上部の短い隙間に音を吸収する砂が入れられた、と過去記事にありました。

ほかの大学や学校のオルガンも写真で紹介しましょう。

甲南女子大(神戸市東灘区)
神戸国際大(神戸市東灘区)
仁川学院(西宮市)

当然のことながら、教会にも設置されています。
歴史のある神戸の教会での演奏会の記事です。

 神戸市中央区の兵庫県庁前にある神戸栄光教会が創立125周年を迎え、18日、大礼拝堂でパイプオルガンのコンサートが開かれた。教会員ら400人が、2階奥から響く荘厳な音色に耳を澄ませた。
 同教会は1886年9月17日、神戸・旧居留地で創立。1923年に現在地に移った。終戦直後には音楽会を数多く開き、市民に安らぎを与えた。95年の阪神・淡路大震災では、高さ38メートルの塔など赤れんが造りの建物が全壊。仮設テントで礼拝を続けた。
 「以前、ここで音楽を聴いた」という人ら国内外から約10億円の寄付が集まり、2004年にパイプオルガンを新設して再建。この日、神戸市出身のオルガン奏者松浦光子さん(40)がバッハの宗教音楽など10曲を奏でた。牧師(83)は「東日本大震災が起き、社会が不安定な時。これからも市民の心のよりどころでありたい」。

(2011年9月19日付朝刊より)

パイプオルガンはふいごを使って空気をパイプに送り、音が鳴ります。バッハの時代は人力でしたが、今は電動です。
ピアノのように鍵盤があり、足ペダルも使いますが、音の鳴る仕組みはリコーダーと同じです。
正面に見えるパイプだけでなく、その裏側にも大小のパイプが備えられ、多彩な音色を奏でます。

パイプオルガンの構造や仕組みを解説する催しも開かれていました。

啓明学院中・高
チャペルのパイプオルガン
歴史学び演奏満喫
制作者による構造解説も

 神戸市須磨区横尾9の啓明学院中学校・高校で9日、チャペルに置かれるパイプオルガンの魅力をひもとくイベント「オルガン解体新書」が開かれた。住民ら約90人がオルガン奏者の演奏に耳を傾け、講話で楽器の歴史や構造も学んだ。
 同校チャペルには、2010年からパイプオルガンが置かれ、年数回コンサートを開いている。参加した住民らから「パイプオルガンについてもっと知りたい」との要望が寄せられたことから企画した。
 イベントでは、パイプオルガンを制作したオルガン制作者松崎譲二さんが、キリスト教の礼拝と関わりが深いオルガンの歴史を解説。「低音から高音まで幅広い音域が出せるパイプオルガンは『楽器の女王』とも呼ばれる」などと紹介した。
 その後、オランダやドイツでの演奏経験もある奏者の坂倉朗子さんがバッハ作曲の「フーガ ト短調」などの演奏を披露。来場者たちは重厚で荘厳な音色に聴き入っていた。

(2017年9月10日付朝刊より)

パイプオルガンを備えた公共施設も兵庫県内にはあります。
宝塚市のベガ・ホールには1468本のパイプを使ったオルガンがあります。

姫路市のパルナソスホールにも約2500本のパイプを使ったオルガンが設置されています。
プロジェクションマッピングされた際の写真です。

パルナソスホールではパイプオルガンを実際に触れることができる体験会も開かれています。

パイプオルガン体験会参加募集
パルナソスホール

 パルナソスホール(姫路市辻井9)のパイプオルガンに触れる1日体験会の参加者を、姫路市文化国際交流財団が募集している。実際に弾き、音が出る仕組みを学ぶ。2022年度は計3日間の開催を予定し、今月26日の参加希望を6日まで受け付けている。
 同ホールオルガン奏者の長田真実さんが指導する。対象は小学生以上で、経験不問。

(2022年6月1日付朝刊より)

市民に親しまれるパイプオルガンですが、巨大な楽器だけに維持するのにも費用がかかります。
鳴り物入りで導入されたものの、一定期間が過ぎると、高額の維持費などを理由に方針を見直す動きが全国の公共ホールで出ています。

伊丹市のサンシティホールのオルガンも財政難から譲渡が決まりました。

伊丹市立サンシティホール
パイプオルガン 活躍の場海外へ
ベトナム・ハノイの教会に譲渡
引き取り手探し2年、ようやく

 伊丹市の老人福祉センター「市立サンシティホール」(中野西1)にある大型パイプオルガンが、ベトナム・ハノイの教会へ無償譲渡される方針が固まった。市は同ホールの大規模改修を前に、メンテナンス費の負担などを理由に廃止を決定。約2年前から譲渡先を公募し、ようやく引き取り手が見つかった。毎月の演奏会などで荘厳な音色を響かせてきたパイプオルガンは、海を越えて再び活躍することになる。
 とんがり屋根のユニークな外観を持つ同ホールは1990年に建設され、パイプオルガンは93年に設置された。市の姉妹都市として交流のあるベルギーで製造された特注品で、同ホールのシンボル的存在として長年親しまれてきた。
 楽器は高さ約7メートル、パイプは1696本で、伊丹市地域高年・福祉課は「音楽専用ホールや教会以外で、この規模の大きさはあまり見られない」とする。阪神・淡路大震災でパイプの一部は破損しているが、こまめなメンテナンスを繰り返し、毎月の無料コンサートなどで多くの人を楽しませてきた。
 しかし設置から30年近くが経過し、ホールの大規模改修が必要となる中、市は2020年度に「高齢者福祉の事業に重点的に取り組む」として、パイプオルガン事業を廃止。楽器一式の無償譲渡先を公募したものの、楽器の解体や輸送費などが負担となり、手が上がらなかった。楽器撤去を前提として、21年度に予定していたホールの改修も延期を余儀なくされた。
 昨年11月、関係者の紹介を通じて、大分県の教会に所属するベトナム人の司祭から「古里の教会ではあまり見られないパイプオルガンを設置したい」と申し出があり、同12月下旬に譲渡候補に決定。教会は「ハノイ カテドラル聖ヨセフ大聖堂」で、ハノイで最も古い歴史を持つという。
 来年はベトナムと日本の国交樹立50周年の節目でもあり、同課は「市民から長く愛された貴重な楽器を有効に活用していただけたらありがたい。ハノイは観光地としても有名なので、日本人が訪れた際に目に触れる機会にもつながれば」と期待を寄せる。輸送費や修繕費などにかかる約20万ドル(約2300万円)は教会側が負担するという。
 パイプオルガンの無償譲渡に関する議案は開会中の市議会で審議され、譲渡が決まれば6月末までに移設工事が行われる。

(2022年3月11日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。神戸・阪神間のパイプオルガンを中心に紹介しましたが、兵庫に多いのは、西洋の文化を取り入れてきた神戸港とも関係があるように感じています。オルガンだけでなく、兵庫ゆかりのオルガニスト(オルガン奏者)も多数おり、海外でも活躍しています。

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