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【校正版】ヒョーイザムライ 第1話 少年と侍
【あらすじ】「ひ弱な中学生に、侍が憑依した!」 中学生と侍の絆と因縁の物語。
中学2年生の男の子・勇は、山中で事件に巻き込まれ、命の危機に陥る。 死を覚悟した時、勇は偶然、石碑の札を破り捨てた。封印されていた一条兼定の家来が勇に憑依した。憑依した侍は、瞬く間に敵を屠り、窮地を脱する。 その後、勇と侍の奇妙な共同生活が始まる。 幼馴染の美人・雪の父は市長だった。条例廃止を求めて、市長に圧力をかけ
【小説】ヒョーイザムライ 一、少年と侍
-1569年- 月夜の暗殺「お主たち、誰の手のものじゃ?」
城内の廊下で、数人の男たちに前後を阻まれた侍は、驚くほどに冷静だった。今、短刀を抜いたところで、数人の手練れから逃れる術はないと悟っていたのかもしれない。
「不忠の罪だ!近江守、覚悟!」
侍の質問には答える気がなかった男たちは、眉一つ動かさずに叫ぶと同時に、前後から侍に踏み込んで、右袈裟一刀で切り倒した。
真っ赤な血しぶきが廊下に飛
【小説】ヒョーイザムライ 二、命の蝋燭
↑1話はこちらです↑
憑依した侍さんのおかげで男を撃退したけれど、ぼくはまだ、この状況が読み込めていなかった。
中村城の林の奥に存在する広場のようなこの場所はどこなのだろうか。
父はどこへ行ったのか。襲ってきた男は誰だったのか。
男に殴打されて激痛に襲われていたはずの体の痛みは、なぜ徐々に和らいでいるのか。自分の治癒力が急激に上昇している理由は一体何なのか。
一番の驚きは、目の前に白い初
【小説】ヒョーイザムライ 三、心を開けば
↑2話はこちらです(侍が中学生に憑依する物語ですので面白そうなら読んでみてください!)↑
前方にいれば、視界が悪くなり、後方にいれば振り返ったときに怖い。
そんな侍さんには、ぼくの右側に位置してもらうことにした。ここなら視界には入るが邪魔にはなりすぎない。網膜剥離の影響で、右目の視力が芳しくなかったのも好都合だった。
中村城を後にして、置き去りにした学生カバンを拾い、侍さんと一緒に家路を進ん
【小説】ヒョーイザムライ 四、土佐一条家と長宗我部家
↑3話はこちらです(侍が中学生に憑依する物語ですので面白そうなら読んでみてください!)↑
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「汲みてこそ水はやさしきものと知る 流れの末に逢はんとぞ思ふ」
渡された歌を詠んだお雪は、兼定の意を知り、歌を返した。
「谷川の水はやさしきものなるに 君が情けをくみて知らるる」
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-憑依の刻-
「お主は!平田村の
【小説】ヒョーイザムライ 五、お雪と兼定。その悲劇
↑4話はこちらです(侍が中学生に憑依する物語ですので面白そうなら読んでみてください!)↑
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「娘の名は………お雪。
先ほど出会った勇の幼馴染である雪は、そのお雪にそっくりだったのじゃ。」
大ヒット映画を意識したわけではないはずだけれど、侍さんの言い方は`あのタイトル`を意識させるものだった。もしかしたらぼくの`前前前世`は、侍さんなのかもしれない。
「なる
【小説】ヒョーイザムライ 八、イカロスの翼と身分差
↑7話はこちらです(侍が中学生に憑依する物語ですので面白そうなら読んでみてください!)↑ ↓1話はこちらです!↓
4人の男たちに囲まれた絶体絶命の状況の中、遠くから誰かの声が聞こえた。
「おい!お前ら何してんだ」
その声を聞いた4人の男たちは、少し気を緩めてその男に話しかけた。
「あ」
「お頭じゃねえっすか。」
「お頭はゆっくり休んでいてくださいって言ったのに。」
「そうっすよ。」
この
【小説】ヒョーイザムライ 九、憑依の刻 -弓の刀-
↑8話はこちらです(侍が中学生に憑依する物語ですので面白そうなら読んでみてください!)↑ ↓1話はこちらです!↓
その日の放課後、雪はいつにもまして上機嫌だった。
この日、雪は習い事がないようだったので、ぼくらは夕方まで時間をつぶした。
町に一つしかないマクドナルドで、雪と侍さんと3人で話をする。
侍さんの声は、ぼくしか聞こえないから通訳をしなければならなかったけれど。
時刻が18時を回って
【ヒョーイザムライ】 登場人物と各話あらすじ(1~11話)
連載中の作品は、途中から読みづらいですよね。
特に連載が続いて物語が複雑になるほど、ついていくのが大変なのです。
私も昔、週刊少年雑誌を読んでいた時に、そのような気持ちになっていました。
だからこそ、現在の状態や登場人物がわかる「あらすじ」が重宝されます。
この記事では、現在私が、note上で連載している「ヒョーイザムライ」の各話あらすじと、主要登場人物を紹介させていただきます。
元号の変
【小説】ヒョーイザムライ 十二、京都動乱・勇の血筋は
侍に憑依された少年の成長物語です!あらすじを読んでいただけますと、この話からでも読み進めることができます!
↓1話前の11話はこちらです(今回は、修学旅行で立ち寄った京都で...)↓
時の流れはあっという間だ。侍さんと出会ってから4か月が経ち、暦の上では皐月、5月になっていた。
3年生になって行われたクラス替えの結果、ぼくは雪と同じクラスになっていた。
侍さんの助言のおかげで、ぼくは自分
【小説】ヒョーイザムライ 十三、京都決戦・潜入!法垂窟
侍に憑依された少年の成長物語です!あらすじを読んでいただけますと、この話からでも読み進めることができます!
↓1話前の12話はこちらです(今回は、連れ去られたヒロインを救うため...)↓
木刀を握りしめたまま、ぼくはとにかく走った。走ることで、自分が侍さんを殺した一条兼定の子孫だという事実を忘れることができるかもしれないという淡い期待もあった。
しかし、それはただの現実逃避だった。走るだけで嫌
【小説】ヒョーイザムライ 十四、父の吐露と決戦の時
侍に憑依された少年の成長物語です!あらすじを読んでいただけますと、この話からでも読み進めることができます!
↓1話前の13話はこちらです(今回は、勇たちが暴力団との決戦に...)↓
一方、森の奥深くまで進んでいたトシは、男たちから怪しまれていた。
「おい、ボウズ、どこまで行くんだよ?」
「熊なんている気配がねえぞ?」
「お前、俺たちをどこまで連れていくつもりだ」
このあたりが限界か、と気付いた