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【レビュー】魅せた下平サッカーの片鱗と伸び代【2022甲府×大分】

祝!開幕!!

こんにちは。こーちゃんです。根っからのトリサポです。

やっとこさ、開幕することができました。本当に良かった…。震災やコロナと開幕前から神様は試練を与えまくりですが、、、、

???「ねーねー、開幕から11連戦らしいよ」

…………

…………………

………………………ふぁ?!

ちょっと神様、試練与え過ぎじゃないですかね?

震災、コロナ、更には超絶ハードスケジュール…!これを乗り越えた先に「J1復帰」というご褒美がある!そう信じて応援し続けていきましょう!

てなわけで、開幕戦を簡単に振り返っていこうかなと思います。

正直、甲府のサッカーも面白かった。非常に見ごたえのある試合だったんじゃないかなって思います!

自分なりの開幕戦の気付いた点なんかをつらつらと書いていこうかなと思います。これが正解ではないので皆さんの中で「こんな観点があったんだ~」ってなれば幸いです!

拙い文章&甘い考察なんでそこんところは許してください( ;∀;)

スタメンと配置

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大分のスタメンはこんな感じ。予想通り4-3-3を採用。

GKは吉田舜。DFは右から小出、ペレイラ、坂、三竿。アンカーに下田。インサイドハーフ(インテリオール)の位置に町田と渡邉新太。右のウイングに井上、左のウイングに小林成豪。1トップはゴールの神様、呉屋。

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対して甲府の布陣はこんな感じ。前節と同じ3-6-1を採用。

GKは河田。3バック右から浦上、山本、野澤。中盤の底に松本、山田。右のWBに須貝、左のWBに荒木。トップ下は長谷川と飯島。1トップにリラ。

開幕戦からの変更は2名。石川→山田、関口→飯島。

押し込む甲府、剥がしたい大分

立ち上がり攻勢を強めたのは甲府。ボールが押し戻される程の強風が吹く中でロングボールを多用、素早いトランジションでこぼれ球を拾う事でリズムを掴んだ。

恐らく、立ち上がり5分もしくは10分はロングボールで相手を押し込もうというような狙い。大分守備側もどれだけボールが止まるか分からないが故に、ラインを低く設定せざるを得ないので、結果的にクリアした先で数的不利になってしまう。

こういう風の強い日は本当にロングボールを処理するのが難しい。風下でボールが伸びる時はもちろん、風上でボールが止まり意図せずバイタルエリアを空けてしまう…なんてこともある。現役時代それでやらかしたこともある。嫌な思い出。

完璧なほどのトランジションの早さと高いインテンシティで大分を押し込んでいく甲府。ただ、甲府も90分これを続けるほど無尽蔵のスタミナがあるわけでもなく、次第に大分がボールを持てる時間帯が増えていく。

4分のシーンは大分のビルドアップの中で前から来る相手をスピードを持って剥がしたい狙いが現れたシーンだろう。下平監督のビルドアップの原則はCB+GK+アンカーでボールを動かしながら相手のズレを生み出して前進するところにある。

左で密集した状態から右に展開する流れ。GKの吉田にボールが入ったところからスタート。

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吉田からの平行に近い横パスを受けたペレイラに対して甲府のシャドーが下田へのパスコースを消すような形でプレスをかける。それに連動して左WBも小出に対してプレッシャーをかける。すると、

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彼らの埋めていたスペースがぽっかり空くことになる。町田は相手ボランチを引き連れながらスピードを持って落ちてくる。ペレイラはそこに縦パスを入れるわけだが…

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アンカーの下田が縦パスと同時にアクションを起こし、ダイレクトの落としを引き受け、そのまま呉屋へ楔のパス。下田のアクションと同じタイミングで小出は追い越す動きを見せ呉屋からの落としを受ける。相手WBは町田を挟むか小出についていくかの2択を迫られアクションが若干遅れることになる。

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コントロールがずれてそのままボールを失ってしまったが、喰い付いてきた相手に対して連動して剥がす、崩すという流れが見えた。

CB+アンカー+GKで4vs2の局面を作りながら相手が喰い付いてきたら剥がして逃がして前進というシーンが今後もっと増えてきそうな、そんなシーンだった。

そんでもって12~3分からは大分がボールを握る展開に。

やはり、下平監督のビルドアップはしつこいほどCB間のやり取りを繰り返す。相手からするとかなりストレスだろうなと思っていたが、甲府も5-4-1をベースに、中盤より前を3-2もしくは2-3と変形しながら前からの奪取を試みる。

岡山戦ではシャドーを2枚とも上げて2-3のユニット(下図右側)を維持して前からのプレスをかけている印象だったが、今回はボールサイドのシャドーが出ての3-2で前からのプレスをかけていた。(下図左側)

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レーンの関係性と位置的優位で崩す左

大分の左サイドは多種多様なコンビネーションで崩しにかかっていた。

サッカーにおいて、レーンの関係性というのはかなり重要だと言われている。最近よく耳にする「5レーン理論」なんかはその最たる例ではないだろうか。私も大学のサッカー部時代はチームで5レーン理論を実践しようとしていた。実践できていたかは別問題であるが。

レーンで崩す際は主に大きく3つのルールがある。下図を見てほしい。

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ポジショナルプレーの考え方はまたの機会に説明するとして、最適な距離感でトライアングルを形成しながらコンビネーションで崩していくのがレーンでの考え方だと認識している。もちろん、選手がポジションを取り直したら空いたスペースを埋めて再度この関係性を構築する。

13~18分の大分の左サイド(成豪、新太、三竿)ではまさにこの関係性で崩したシーンが多く見られた。特に三竿のポジショニング、位置取りは的確過ぎたと思う。1試合を通して、前の2枚が張ったのであれば中のポジションを的確に取るし、張るべき時は張ってるし、まさに現代的サイドバックって感じだった。

是非、見返す方がいれば三竿のポジショニングを見て頂きたい。

質的優位の右サイド

対して大分の右サイドは井上健太という特急快速ソニックを活かすためにシンプルに放り込むシーンが多かった。もちろん左サイド同様コンビや連携で崩そうとするシーンも見られたが、"スピード"というどうしようもない有意性を活かさない手はない。

スタートが遅れたのに、そこから相手をぶち抜いたシーンは正直笑ってしまった。20~25分以降相手のWBの荒木が若干ポジションを後ろに下げ気味で守備をスタートさせていたので、相手をピン止めするという意味でも非常に効果的だったと思う。

考えてみれば、今では日本代表には欠かせない伊東純也やリーグ屈指の快速ドリブラーである松尾など下平監督が指揮したクラブではウイングで開花した選手が多い。

今年のトリニータでもそういった選手に肩を並べるほどのアタッカーが出てくるのではないかと期待している。

失点、甲府の狙い

そんないい感じの狙いが見られる中で32分。右サイドでボールを失ったカウンターで失点。

失った後のトランジションのスピード感は完全に甲府の方が上、更に中継地点にアンカーの脇を使われたのが痛かった。アンカーの脇は4-3-3の「弁慶の泣き所」である。その弁慶の泣き所をすごい勢いで突かれた形となってしまった。流石の弁慶も大泣きである。

そのまま左サイド深く侵入を許し飯島→長谷川の法政大ホットラインで先制を許す形となった。

試合を通して甲府のビルドアップ、守備の意識や狙いは凄くハッキリしていたように思う。守備に関しては前述のとおりであるが、攻撃に関してはCBが持ち上がって疑似的な4-3-3を構築するような動きも見せていた。

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こんな感じ。この辺りも練度が増すとますます面白くなってくるんじゃないかなと感じる。おそらく、コンディション不良でまだまだ出てきていない選手もいるはずなので今後に期待したい。

そしてなんといっても長谷川。トランジションの早さやインテンシティの高さなど違いを見せつけていた。個人的にはこの試合のMVP。

そんなこんなで前半を折り返す。大分は風でラストパスのボールが伸びたり、若干のパスミスがあったり、トランジションやインテンシティで相手に上回られたりなど難しいゲーム運びとなったが、狙いややりたいことは明確に見えてくる、そんな45分だった。

後半、甲府の守備のポイント

後半、大分・甲府共に選手交代はなし。

後半の甲府の前線からの守備に若干の変化があったように見えた。

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少し極端な図にはなっているが、

「アンカーに入れさせず、焦れたところで嵌める。入ってきたら潰す。」

ここが甲府の後半の守備におけるテーマだったのではと推測する。密集・圧縮を繰り返し大分の最終ラインにプレッシャーをかけ続ける。

実際にペレイラの縦パスを寸断されたり、下田にボールが入った瞬間に鋭い出足で刈り取ったりと甲府の前線からの守備が機能していた印象。

そしてここからは両ベンチ選手交代で流れを変えようと動く。

64分、甲府選手交代。飯島→関口。守備の強度を落とさない狙いか。

72分、大分2枚替え。井上→増山、成豪→藤本。WGでの質的優位を取りに行く。2人とも個で勝負が出来るので、より明確に色が出せる交代だと感じた。

76分、甲府2枚替え。リラ→内藤、松本→林田。内藤は17歳。解説も言ってたけど、41歳と17歳が同じピッチに立つってすげぇ。甲府の未来も明るい。

81分、大分2枚替え。呉屋→長沢、新太→中川。セットプレーやロングボールのターゲット増加と中川投入でリンクマンを1枚増やす狙い。ロングボールを織り交ぜながらセカンドボールを回収し押し込みにかかる。

特に中川の投入は効いていたのではと感じた。アンカーが消されるのであれば、アンカー脇に顔を出し配給を行う。そうでなければ狭いスペースに入り込む。そしてセカンドボールを回収。町田とはまた違う良さがあると感じた。

甲府を押し込む中で86分、大分選手交代。町田→こばゆー。こばゆーをアンカーに配置し、下田をインサイドハーフに。セカンドボールの回収率を高めなお押し込む狙いか。

93分甲府選手交代。長谷川→石川。甲府はゲームを絞めにかかる。

しかし、94分ラストプレー。大分右サイド深くでのFK。GK吉田も上がり全員攻撃の大分。下田のクロスに吉田がそらして最後はペレイラ!!同点!!!風がなければ吉田のヘディングもゴールを越えてしまってたかもしれない。サンキュー風。

てなわけで、最後の最後に追いついてなんとか勝点1を持って帰ることに成功した。

最後に

2022年のオープニングゲームという事もあり、注目度の高かったこの試合。コンディションも調整できず、なおかつ風も強い。そんな中で勝点1を持って帰ってくれただけでも大満足この上なしという感想です。ただ同点後、勝点3を諦めずに一目散にボールをセンターサークルに運ぶアサヒの姿には心を打たれました…。

そして戦術的な面でいうと、下平サッカーのやりたいことが要所要所で見えたので満足しています。

私は戦術は「選手の思考を整理するためのコンパス」のようなものだと考えています。そういった意味ではめちゃくちゃ良いコンパスを手にしようとしている、そういった段階なんだなと感じました。これをものにできたらきっと今までよりもひと味もふた味も違ったトリニータが見れるとワクワクています。

このあとはお菓子カップで片野坂監督との再会、優勝候補の横浜FC、長崎との連戦などシーズン序盤にしては密度の濃い山場が待っています。

選手・スタッフ・サポーター一丸となって最高の結果を得たいですね!

では!!

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