堀江貴文氏・峰宗太郎先生covid-19について(薬編)


堀江貴文氏(以下、堀)
峰宗太郎先生 予防医療普及協会顧問・米国国立衛生研究所 アレルギー感染症研究所 博士研究員(以下、峰)

堀:発生から時間が経ち沢山の人たちを検査し治療を行ってきたがその中で、
新型コロナウイルス(COVID-19)の持つ特徴などが分かってきたが、
アビガンが取り沙汰されているが治療薬等の最新の状況を教えてください。

峰:現在アメリカで注目されているのはレムデシビルです。
レムデシビルとはギリヤード社開発のエボラ用に開発された薬です。
これはウイルスが増えることを抑える薬です。
臨床試験は進んでいるが、まだはっきりとした結果は出ていない段階。
正式な発表が出るまではどのぐらい効き目があるかがわからない。
コントロール群(臨床試験において偽薬と新薬を投与した2つの実験群を置き偽薬を与えられた方が対照実験)との比較ができていない。
コントロール群の比較がない論文は出ていて警戒した人は多いがそれが薬の成果かはわからない。

堀:この状況下でレムデシビルを投与していない群との比較調査というのは倫理的にやりにくいのでは?

峰:倫理的な問題が生じてはいるが、
アビガンもレムデシビルも本当に効果があるかわからない仮説からなので、
しっかり検査をするという建前もあるので倫理的にはクリアされていると思います。

堀:では重症化してる患者さんにもそういった治療薬を投与していない場合もあるという事ですか?

峰:そうですね。薬が効くか逆に薬を使うせいで悪化する可能性もあります。
アメリカの大統領が一時期推奨していたクロロキンとヒドロクロロキンがありますが、
この両薬も臨床試験が行われましたが、ブラジルで投与した方が多くの方が亡くなったので試験が中止になっています。
そのような危険性もあります。

堀:レムデシビルとアビガン類似している薬ですがどのような違いがありますか?

峰:基本的に作用する酵素は同じです。
RNAを増やす機能を持っている酵素を阻害する薬ではありますが、
若干効くポイントが違います。
レムデシビルは拡散は増幅していくのにそっくりな形をしているので、
そこにはまり込んで増やさないようにする形です。
アビガンも全く同じようにはまり込むが、
そのチェーンが伸びるのを防ぐ薬で、チェーンターミネーターといわれています。
結局のところ拡散が伸びて複製されるのを止めるという点で同じことをします。

堀:拡散されることRNAが増殖、複製されるのを防ぐところは同じではあるが、
多少効き方が違うって事ですか?

峰:そういう事ですね。

堀:それ以外に役に立ちそうな薬はありますか?
僕も最近ニュースを追っていますが、
例えば肺胞の表面に炎症が起き静脈が詰まり酸素が取り込みにくくなる、
というお話も聞きますが、そういった所に作用する薬等はありますか?

峰:はい。
抗ウイルス薬(ウイルスをブロックする薬)の探索を中心に進んできましたが、
今は炎症を抑える薬や血栓を抑える薬等を投与すると、
特に重症な人で予後が改善されるのではないかと着目されています。
例えば炎症を引き起こす分子の中でインターロイキン6というものが多く出ているという報告があれば、
これを抑える薬(抗体製剤)を使った試験もされています。

堀:今のところこれが決定版ってなるような感じではないんですか?

峰:そうですね。
まだこれが決定版という報告はされてないですね。

続く