小説「施設からの風」(11)

 (10)の投稿から2か月ほど経ち、久しぶりになりますが、大山さん(架空の人物、(1)を参照)の日記の公開です。

☆ ☆ ☆

2024年5月5日

 日記はちょこちょこつけてはいるのだが、○○君に公開までお願いするようなものは書けておらず、だいぶご無沙汰している。もっとも、最近は血圧が落ち着いているなど、そんなメモ程度の内容の日記を公開しても仕方がないのではあるが。それでも今日の日記は、彼にメールして、久しぶりに公開を依頼しようと思う。

 さて、今日は子供の日だ。今年は日曜日と重なったので、明日までゴールデンウイークだ。そのせいだろうか、今日は訪問客が多いような気がする。しかも、いわゆる子供連れが多い。もっともよく考えてみれば、この施設は80代、90代の方も多くいらっしゃるし、そういう方の子供の多くは高年者だろう。そうすると、訪問されている若い夫婦と小さい子供は、孫とその子供たちなのかもしれない。いやはや、あらためて長寿社会を実感する。
 自分の寿命を考えればこういう子供たちの将来は自分とは全く無縁ではあるのだが、それでももちろん興味はある。彼らが成長し、そして我々のような年代になった時、世界はどうなっているのだろうか。想像すらできないが、ともかくも力強く生きていってくれることを願うばかりだ。

 そして、夜は大河ドラマを見た。これは最近の楽しみのひとつだ。今年は、あの源氏物語を書いた紫式部が主人公だからというのが大きな理由だ。1000年も昔の世界がそのままテレビで再現されているとは思わないが、間違いなくそういう時代があったことを思いながら見るのは楽しい。そして、その彼女が書いた源氏物語がしっかりと現代まで伝えられて、今は現代語訳で読めるのだから、なんともすばらしいことなのではあるのだが。そういえば、2か月前は認知症のことをずいぶん書いたことを思い出した。認知症になってもしっかりと人生を歩みたいとその時思ったけど、とはいえ、さすがに源氏物語を読むのはつらいだろう。そろそろラストチャンスか、頑張って読んでみるか。

 しかし、こういう閉じこもった生活をしていると、ついついテレビでも見ようかとおもってしまうのだが、なんとかならないものか。おもしろくない、というよりも下らない番組が多すぎる。世間から遅れないようにと欠かさず見ていたニュースですら、重大ニュースをさしおいて、事件やスキャンダルの類を詳細に報道しているようでは、見るのもばからしくなってくる。昔のニュースキャスターは局の花だったろうし、もっと輝いていたと思うのだが。残念だ。

 さて、いろいろとりとめもなく書いてしまったが、だいぶ遅くなってきたので、眠ることにする。おやすみなさい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?