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『バーフバリ 王の凱旋』の感想を外国人の食レポ風に書く

■日本:34歳男性
評価:★★★★★

僕はインド映画にあんまり興味がなかった。『バーフバリ 王の凱旋』を観るまではね。

この映画がはじまってから最初の五分で、ああ、僕の人生はここから変わってしまうんだということを、即座に悟った。そのくらい素晴らしい映画だった。

映画が終わってしまったとき、僕が何をしたか? 立て続けに『バーフバリ 伝説誕生』も観て、気付けば腕立てと腹筋を繰り返し、都内でまだかかっている上映館をネット検索しはじめていたんだ。自分でも驚いたよ。「ワォ!こんなことはじめてだ!」ってね。

そうそう、映画の内容もはじめてだらけだった。何が凄いって、まず数が凄い。人間の数、象の数、放たれる矢の数、そしてアイデアの数。さすが「0」を発明した国の映画だね。無は無限大でもある。そう、この映画は無限大だ。

もう、言葉にならないくらい、何もかもが凄いんだ。バーフバリは冒険をして、強くて綺麗な女の人と出会い、恋に落ちる。こんなにベタな話なのに、僕はずっと涙ぐんでいた。なぜかはわからない。インドはついに画面からLSDを照射する技術を開発したのかと思ったよ。それくらい、僕の心は揺れに揺れた。どうやらインドは心の4DXも開発したらしい。これは自信を持って言える。本当だよ。

ところで、皆が思うインド映画っていうと、大勢で歌って大勢で踊りだすイメージが強いんじゃないかな? オリエンタルな音楽が鳴らされてさ「ウェウェホォォオーイ! ウェアェエエェェー! パウッ!」みたいな掛け声が入ってね。僕もそう思っていたんだ。でも、演奏する規模がハンパじゃない。なにせ、音楽が本当に良いんだ。

どれくらい良いかっていうと、まるでラジオではじめてロックンロールに出会った10歳の少年のように、僕の耳のなかでは「マヒシュマティ国歌」がエンドレスで今も流れ続けている。仕事中でもトイレでも、ずっと流れているからちょっと困るんだけどね。でも、麻薬中毒者に麻薬のことを考えるのをやめろって言っても、無理な話だ。

まったく、自分の価値観がたった一本のインド映画の存在に左右されてしまうことになるなんて、思いもしなかったね。

興奮の出会いから一夜明けて、今日、夕方に起きて、再び『バーフバリ』を観ている。自分でもどうかしていると思うよ。でも、やめられないんだ。

今日は原稿の締切が迫っていたから、「バーフバリ」をもっと観たいという衝動を、どうにか抑えようと思ったんだ。でもそれは、ヘロイン中毒者が禁断症状に抗えないのと一緒で、結局また観てしまった。

そして、感動をメモしておこうと、このコラムを書いている。気付けば締切も過ぎているんだけど、そんなことどうでもいい。僕はマヒシュマティ王国の臣民なので、締切より王への忠誠を誓うべきだからね。

お読みいただきありがとうございます。御礼とともに、ここまで全く有用な情報が皆無であったことをお詫びいたします。 同じく有用でない情報が満載のTwitterはこちらhttps://twitter.com/SMI2LE