対談

救急という視点から見たドローンの未来

今月からの対談は、小寺が担当する。であり、現在は国際医療福祉専門学校の講師をされている、小澤 貴裕さんにお願いすることにした。

実は小澤さんと知り合ったのはつい最近で、5月に開催されたEngadget主催「第3回クワッドコプター選手権」のアドバイザーという形でご一緒させていただいたご縁だ。当時からドローンを具体的に何かの役に立てようということを模索していたのだが、そこに具体的な解とビジョンをお持ちだったのが、小澤さんだった。

救急あるいは救命という視点でドローンを考えられないか、そういうお話しを伺っていく。

■救急隊員とは何か

小寺:まずですね、小澤さんの略歴からお伺いをしたほうがいいかなと思って。

小澤:はい。私はもともと工業高校の機械科出身なんです。大学を受験したんですけど、けっこうすべりまして。で、昔ボーイスカウトをやっていた関係で、応急処置をちゃんとしっかりやりたいな、と思って、救急救命士の専門学校を見つけて、進学したのがいちばん最初です。

小寺:なるほど。僕も昔ボーイスカウトでしたけど、たしかに応急処置とかいっぱい学ぶんですよね。

小澤:で、卒業後、病院でちょっと働いて、そのあと千葉県の消防に就職して、10年現場活動をして。その後、東京の専門学校1校目、この千葉の国際医療福祉専門学校で2校目という形で、教員でやっております。

小寺:消防署には、救急隊員としてお勤めだったということですか。

小澤:救急隊員と消防隊員が兼務というのが地方は主流で。要は火災になったら消防隊で出る、救急があったら救急隊で出る、という。グレーの服と、青い服と、両方着てる感じでした。

小寺:なるほどね。それで、お持ちの資格としては何になるんですか。

小澤:資格としては、私は救急救命士の資格をとってから入りました。内部ですと、救急救命士の資格のほかに、救急標準課程という、消防の中で総務省が認定する救急隊の資格というのがあります。

小寺:あれ、総務省が認定するの?

小澤:そうなんですよね。そこが面白くて。

普通の救急隊は総務省のほうで、救急救命士は厚生労働省になってます。もともと搬送途上に悪化しちゃう人を手当しないと死んでしまう、ということから作られたのが救急隊という制度で。で、その中の標準課程というのは、そもそもの位置づけが緊急避難だったんですよね。一方で歴とした法的裏付けをつけてできたのが救急救命士の制度。

で、私は専門学校で救命士の制度を利用して資格をとってから入所した感じでした。

・ドローンの救急利用研究の第一人者、小澤 貴裕氏

小寺:なるほど。では、この国際医療福祉専門学校のお話を伺いたいんですけど。ここに来る子たちって、何をめざしてる子なんですか。

小澤:基本的にはやっぱり消防で救急救命士という上級の資格をとって働きたい、という人が8割。で、その他の医療機関とか、民間搬送会社といいまして、緊急走行はしないけれど、病院間の搬送等にその資格を役立てたい、という人が残り少し、という感じですね。

・千葉市にある国際医療福祉専門学校。救急車は学校所有のもの

小寺:基本は、資格をとってそっち系に就職するための学校、ということですね。

小澤:そうですね。で、通常はだいたい3年以上の学校が多いんですけど、うちは2年間でという、短期路線になってまして、スケジュールはけっこうタイトですね。

小寺:なるほどね。ここって千葉とはいっても、千葉市からけっこうありますよね。ここに通ってくる子たちって、地方から来る子もわりといるんじゃないかと思うんですけど。

小澤:今はインターネットなんかで比較をして、自分に合った学校を選んで、という方が多いですね。うちの学校を選ぶ子たちの多いところは、やっぱり短期養成、2年制、というところ。

あと特徴としては、海上保安庁の救難隊員とか、現役の隊員の方が毎年4名ずつ資格取得のために入ってまして、学内に常に8人いる状況でして。

小寺:ガチ本物ですね。

小澤:本物の人たちを見ながら育ってもらう、というのがうちの学校の校風ですね。

■ドローンに行き着いた経緯

小寺:小澤さんと僕が知り合ったのは、Engadget主催の第3回クワッドコプター選手権というイベントで、だれかサポートしてくれる人ということで手を上げていただいたということなんですが。

それ以前から、小澤さんはドローンを救急医療で使えないかということを試行錯誤されていた。そもそも、ドローンをこういう医療行為に使おうというアイデアというか、最初に思いついたきっかけって何なんですか。

小澤:実はFacebookで、救急救命士の教育に使えるようなアプリを紹介するページを作ろうと思いまして。自分の学校でも1人1台iPadを配ってる環境になったんですけど。

調べていくうちに、東京のお茶の水内科の五十嵐(健祐)先生という――内科のドクターなんですけど。その人が、「いいアプリを作ったんで紹介してくれませんか」みたいな、接触がありまして。見たところ、スマートフォンの位置情報で救援を求めてる人に対して、近くのフリーの人が助けに行く、という。

小寺:それってHeartRescueのことですか?

小澤:HeartRescueです。

・心停止などの緊急事態に対応 一時救命処置をサポートするアプリ――「HeartRescue」
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1407/10/news007.html

で、そのアプリを実際に普及させる上で、そうは言っても応急手当できない人が集まってもしょうがないよね、じゃハンズオンみたいな感じで興味ある人を募って、無料で心肺蘇生の講習までやろうか、という話になりまして。

で、一緒に昨年、何回か、コースという形でやって。それをやってる中で、位置情報がサーバでとれてるんだったらば、GPSの緯度経度がとれてるんですよね、という話になって。じゃ、そこにドローンで行ったらいいんじゃないの、というのが最初の始まりですね。

小寺:その時に小澤さんは既にドローンは使ってた?

小澤:いや、使ってなかったですね。持ってもいなかった。実際にそうは言っても……という感じだったんですけど、ある時似たような事例がオランダとかドイツとか、オーストリアとかで出始めて。

小寺:ドローンを救急に使う、ということ?

小澤:そうですね。AED(自動体外式除細動器)を運ぶドローンのニュースがちらちら出てて。で、いずれも大学の院生とかの研究のレベルで、実用段階までは行ってなさそうだったんですけど、ちょっと焦りまして。

せっかくこっちも考えてるんだし先にやられちゃうのはもったいない、という話になって。で、五十嵐先生と話してたら、五十嵐先生が一機目を買ってくれまして。

小寺:おお!

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