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ドローン少年逮捕をどう受け止めるべきか

小寺・西田の金曜ランチビュッフェ 36号(2015年5月29日発行)より

どうも最近、本メルマガがドローンマガジン化しているような気がする。話題に事欠かないような状況になってしまっているのでどうしたものか、というところなのだが、今回のお話はドローンに関係するようでいて、実はあんまり関係ない話である。

すでにニュースなどでご存じかと思うが、善光寺御開帳の際にドローンを墜落させ、その後も国会議事堂前でドローンを飛ばそうとして厳重注意を受けるなどしていた15歳少年が逮捕された。彼が浅草・三社祭を「中継する」とネットの生放送で発言したことから、警備を強化させたため、威力業務妨害ということである。

この件を巡って、メディアから取材や出演依頼が来た。一番早かったのはUst Todayで、5月25日の放送でこの問題を整理した。一番新しいところでは5月27日に朝日新聞からの電話取材で、翌28日朝刊には掲載されていた。記者さんに20分ぐらい細々と背景を説明させていただいたのだが、結局使われたのが「未成年が動画配信で多額を稼ぐ仕組みは、労働の対価ではなく健全でない」という一文だけだったので、そこだけ見た人には誤解もあるようだ。今回はこのコラムを通じて、どういう文脈で語った言葉なのかも合わせて説明していきたいと思う。

今回の逮捕そのものについては、正直この威力業務妨害という罪状は、万能過ぎるのではないかという懸念も抱く。脅かされたということにして、別件逮捕の手段のように使われているのではないか。このあたりは、弁護士先生や法律の専門家のご意見も伺いたいところだ。

ネットがらみで威力業務妨害での逮捕という案件が乱立したのは、2008年のことである。以前子供向けのインターネット読本を作成したときにまとめたものがあるので、簡単にご紹介しておく。

・2008年に起きたネットの書き込みによる逮捕・補導

この年の6月、秋葉原連続殺傷事件が起こっており、これもネットの書き込み後の犯行であったことから、警察は特に厳しく対応するようになった。当時ネットでは、どこまでの書き込みなら逮捕されないかのチキンレースみたいなことが流行ってしまい、結果実際に逮捕されるというアホな循環が起こっていた。

顕著なのは最後の、いわゆる「小女子逮捕事件」である。漢字で書くと意味がわからないかもしれないので一応説明しておくと、「こおなご(小女子)」は一般的にはいかなごと呼ばれている、今ぐらいが一番美味しい小魚である。それを小学校で、と書いたことで、小学生女子という意味にも取れるように仕掛けたわけだ。

この事件を最後に、警察をおちょくるとロクなことにならないというのを多くのネット民は学んだはずなのだが、さすがにこの時の話は15歳少年は知らないだろう。

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