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発達障害があった看護学生が合理的配慮で病棟実習を乗り切った話。


☆ケースA
・実技は人並み以下、座学は人並み以上の看護学生
・ADHD、ASDの傾向あり
・二次障害で抑うつ症状あり
・パニック発作を起こしやすい

<発覚までの経緯>
 大学入学してアルバイトを経験したことで仕事の覚えが悪く先輩にキツい言葉をかけられて希死念慮の中『大人の発達障害』を思い出し地域の発達障害者支援センターに相談、WAISを受ける。
結果報告書には自分の得て不得手やアドバイスなども書いてあった。

<初めての精神科、投薬>
 希死念慮の中クリニックの予約が運よく取れたので受診。あらかじめWAISの結果を持っていったのである程度希死念慮が薄れた頃に大人の発達障害専門に診れるDr.がいる病院へ紹介状を書いて貰い転院。
 転院先ではWAISの結果報告書の他に診断する為に親への聞き取り調査や作業テストなどした。
発達障害があるとのことで発達障害、特にADHDにアプローチできるコンサータとストラテラを処方された。
 また、臨床心理士とのカウンセリングを受けて実習をどう進めていくかも相談した。

<自分のトリセツをつくろう>
 誤魔化しながら基礎実習はクリアしたが3、4年の病棟実習では確実に危ない。合理的配慮をしてもらわないと多分クリアできない...
『合理的配慮』とは発達障害や身体的に不自由がある場合、実習や授業等において適切な配慮を受けられるというものである。
どうしたら合理的配慮を貰えるか...実習担当教員や実習先の担当者が『自分はこんなことができる/できない』を把握してもらわないと難しいと思い、紙に以下のようなことをまとめた。

①自分の特性:メモを取らせて欲しいなど
②自分の体調不良(発作)のサイン
③体調不良が起きたらどうして欲しいか
④自分が出来ること、頑張ればできること
⑤自分が苦手なこと、できないこと
⑥服薬状況

を実習の組み分け発表の前、できれば出来るだけ早くこのことを自分の担任に相談しておくのがベストだ。(組み分けもメンバーとの相性を見て考えてくれる可能性がある)
 また、実習担当教員が決まったら実習前に必ずこのトリセツを見せるようにした方がいい。実習先の担当者と相談してくれて受け持ちなども考えてくれるからだ。

このようにしてAは合理的配慮を受け、実習の難易度を少し下げて貰って出席日数ギリギリでなんとかクリアすることができた。

<看護学生がドロップアウトしてしまう要因>
 看護学生の中にもAのように自分の発達特性に気づかず入学してくる者は毎年少なからずいると私は考える。例えば、課題を締め切りギリギリだったり提出できない生徒。Aのように座学や課題では優等生でも実技になるとてんでダメな生徒などなど...
 私はこういう子にこそ早く学習支援や面談などを通じて合理的配慮が必要な生徒ではないか教員の方にも気にかけていただきたいと思う。
 Aは「発達障害では?」と自らアクションを起こした結果ドロップアウトせず卒業と看護師免許取得ができたが、みんながみんなAのように自分で気づけて行動できる子ばかりではないと思う。
 発達特性に偏りがあると感じた生徒には合理的配慮を受けてさえいればドロップアウトせずに卒業はできたんじゃないかと思う人もいる...

1人でも“この進路”を選んだことを後悔したと途中で挫折する子が少なくなることを願っている。

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