億り人のキラキラ感染記録の話ーふもとっぱらキャンプデビューで瀕死ー

1億円あったって、楽しくないし好きなことがないと意味がないと立ち上がった私は、夫と子供という協力な助っ人を得て週末の過ごし方を試していたのだけれども。


ふもとっぱらというキャンプ場に初デビューした私は、そこでキラキラ感染にかかり、しばらく寝込んでいた。


眩しすぎて直視できない世界がそこには広がっていた。


事前に、ありとあらゆるテントを調べていた。


マニアックなエベレストにでも行くような本気テント各種、コットンテントに、アンティークのテント、国産のテント。


値段もある程度頭には入っていた。


そういったテントの感想は「たっかぁぁぁぁぁぁいっ!」


だったのだから。


雨のうんちゃらがどうとこ、風のうんちゃらがどうとか、室内の温度がとかいうのはよく分からない。


でも、遭難するわけじゃないのだからそこまでスーパー機能なものはいらないと思っていた私だったけれど、まさに画面の中で高いと叫んでいたテントがごろごろしていた。


そして、これまた高いと叫んだイワタニのアウトドア用のかわいい黄緑色のガスコンロや火のともるランプに、カステルメルリーノとかいうイタリア製の折り畳みテーブルや椅子。


キッチンスペースと思われる場所には、ストウブやル・クルーゼ、時々野田ほうろうも見かける。


はんもっぐ?で楽しんでいる人を見ると(アマゾンで3万円)と、頭の中で数字が出てきて恐れおののく。


車の上に荷物を積み込むための頑丈そうなケース、布っぽいのは2万円くらいだったけれど、あぁ、あれはまさかの七万円コース。


そして、それらを取り囲むのは。


キラッキラした夫婦、ファミリー、すごい人は一人!一人でテントの準備ができる人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


今までに関わってきたことがない人種の方々に囲まれて、私はくらくらしていた。


これが大人の本気か…好きなものには全力でいく大人の集大成がいまここに。


テント作りに手間取っていると、付近の人が手伝ってくれた。


お礼用に持っていったチョコを配っていると、お返しに夕食時におしゃれな串にささった焼きマシュマロやらまさかのウニをもらった、もらってしまった。


ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!そんなもののお返しになるようなものないぞぉぉぉぉぉぉ!


とにかくテント、車中を探して見つけ出したが私の非常食とらやのようかん…。


このやりとりのおかげで、人様の夕食時の様子をのぞけたのだけれど、とりあえず家で使う卓上コンロひとつで乗りきっちゃうぞと張り切っていた私は呆然とした。


火、使うの当たり前なんですね。


ファイヤーな感じの火を。


なんだかとってもロマンチックなキャンプに、かたや普段の延長の我が家のキャンプ。


夜泣きさせないように全力で子供のそばにいたけれど、不思議なことに夜泣きなし…うっうっうっよかったよかった、こんなところで泣かれたらいたたまれず、全力で目の前にある富士山にのぼりたい気分になるところだった。


その後も、近所の方々に散歩中にあいさつの延長から「これなんですか?」と聞くと私の知らない世界を楽しそうに教えてくれた。


いいなぁ~



と思ったまま、自宅にたどりついた時、緊張とキラキラ光線にあてられたのか、発熱した。


うわごとで「キラキラビームにこうさん」と言っていたらしい。



しばらく、あまりの世界の違いに胃もいたくなって週末を終えた。



その後の三連休やらは体調をくずして、でかけることはなかったけれどまた週末が近づいてくる。



今度は、うなされないようにしたい。

1億円の資産を持ったものの、特にしたいことや欲しいものももののみごとに消え去って、困りつつ焦りつつもがいている主婦でございます。