億り人の今、住んでいるに至るまでの家
34歳の主婦、億り人と呼ばれる条件を満たしたけれど私は今、賃貸の家に住んでいる
しかも都会でもなく、京都駅まで電車で片道約20分くらいの地方在住
の中にある、大きくも新築でもない築20年くらいの中古の一戸建ての家
100万円のお金が貯まった時、私はワーゲンバスに夢中だった
お金を貯めたら、ワーゲンバスで夏は北海道や高原、冬は全国の温泉地を回りながら暮らしたいと思っていた
「それには最低でも300万円はいる、待っててワーゲン」
と、心踊っていたけれど300万円を越えるとこう思った
もし結婚して子どもが生まれたらそんな生活は現実的じゃない気がする築50年以上の1000万円くらいの家を買って、自分で家を直しながら暮らそう
うんうん、物を大事にできる素敵な大人だぞとニヤニヤしながら、賞味期限が20日過ぎた豆腐を捨てていた
1000万円まで資産が増えると、古くてもいいから50坪くらいの家が欲しいと思うようになった
2000万円もするような家だと、家は古いけれど駅から徒歩20分くらいでそこそこ広い家が買える
きっと私は、ベランダが狭いわ~とニマニマしながら家族の布団を順番に干しているに違いない、きっといい母にも妻にもなれる
そして2000万円くらいのお金を貯めた時、私は家巡りがブームだった
ハイテンションで色んな家を見に行って、たどり着いた答えは
「やっぱり家は5000万円くらいかけないと、いいなって思わない」
と、5000万円を貯めて、夢みたいな家を買うことを夢見ていた
このへんで5000万円と言うと、元々中古住宅希望だったので駅から徒歩15分前後、70坪前後で築30年から20年くらいの家が買えそうな価格
きっとそんな家に住めたら、庭にハーブなんて育ててみたり、センスのいい家具やらに囲まれて、これまたセンスのいい音楽を流して暮らしていると思っていた
そして5000万円を越えるまでは、賃貸でと思っていたけれど、次はこう思ってしまった
「7000万円くらい出せたら、京都市内の一等地と呼ばれるような場所に50坪くらいの家が買えそうだなぁ」
きっとそんな家に住めたら、京都市内で私は洗練された人間になって、子どもの進学だって選択肢が多くなるし、和菓子やさん巡りをするのもいいかもしれない
ところが7000万円の資産になるとこう思った
「1億円もするような家に住んだら、私は幸せで楽しくて充実した人生を送れているって思えるかもしれない」
私は静かに1億円を稼いでいった
すると、なぜか憑き物がとれたかのように頭の中が空っぽになってしまった
あれ?幸せだと感じてはいる気がするけれど何でこんなにお金貯めたんだっけ
それに洗練されるとかセンスのいいなんて言うのは、高い家に住めばついてくるわけじゃない気がする
和菓子好きだっけ?
ハーブ育てるって、虫苦手じゃなかったっけ?
教育の選択肢って、ビル・ゲイツはたしかどこで生まれたかよりもこれからは何を学んだかが重要になるとかいってなかったっけ?
物を大事にできる人って、食べ物を大事にできるんじゃないかな?
てんてんてん
結局、私は何が好きで、何がしたいんだろう
と、ぐるぐる回った結果、2000万円ほどの資産を作った時から住んでいる賃貸の家に住み続けている
駅から徒歩25分、築22年、55坪、角地、駐車場1台付きの130平米に屋根裏付きの家、毎月12万3000円
今はもっと自然の近くに住みたいと思うようになった
1億円の資産を持ったものの、特にしたいことや欲しいものももののみごとに消え去って、困りつつ焦りつつもがいている主婦でございます。