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人の精子を笑うな。④

私が男性不妊検査を受けた当時、私の住んでいた区では、ほとんどが保険適用外になってしまう「男性不妊」の専門治療でなければ、補助金は出なかった。そして、それらの「男性不妊」の検査は5万円以上する事が多い上に全額補助金が出れば良いのだが、1万円しか出なかった。

「品川区だったらもっと出るんですよ」と男性不妊専門クリニックの人に言われ、23区内格差がある事を知る。それでも、補助金が出ない市町区村もあるそうなので、1万円出るだけでも良い方だそうだ。

2 助成の内容
(1)助成額東京都へ提出した特定不妊治療費助成事業受診等証明書、精巣内精子生検採取法等受診等証明書に記載された助成対象の医療費から、東京都で承認決定された助成額を差し引いた額のうち、治療1回につき治療ステージ等により次の表の額を上限として助成します。             治療ステージ等 助成限度額
A、B、D、E 50,000円
C、F 25,000円
精巣内精子生検採取法等 50,000円

しかし、5万円と0円じゃ大違いだ。この補助金はそもそも平等に5万円出してほしいところだが、そもそも、男性不妊専門治療自体が保険適用にならなければならないし、もっと専門の病院が増える事が大前提である。

補助金申請書に何度も登場する「不妊」という言葉がしつこい。お前に言われる筋合いはない、こっちは好きで不妊治療してるわけじゃないんだ。子供を増やして国力を増強したいのであれば、こっちに歩み寄れ。区役所で不妊治療の補助金を提出するのは何だか屈辱だ。男性不妊の治療を受けたら、もっとむしろ「ご褒美」として積極的に補助金を出すべきだ。

表情を変えずに淡々と事務作業をするのは少し若めの20代後半から30代前半の男性だった。精液検査を受けた事はあっても、男性不妊をフルで受けた事がある人は少ないと思う。男性不妊や補助金を検索していると、北区の音喜多議員の情報が検索で浮上する。

精液検査を受けるのは自由だが、精液検査において大きな問題が見られなかった場合、その情報の公開は自身の精子・精液・男性力を主張するツール以外の何物でもなく、精液検査の結果が悪く、男性不妊に困っている人にとっては、節操のない自慢にしか感じられない。良い精子で良かったですね。そうとでも言ってほしいのだろうか。最初に精液検査や男性不妊において取りくもうと思った初心や意思、つまり操(みさお)をきちんと一区切りする節(ふし)と書いて節操だ。男が生物的ライバルである他の男の精子の心配をするなんておよそ無理な事なのかもしれない。