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トランペット教室

年に何度か「トランペットの教室に通いたい」と思う。

何故かと言えばトランペットを始めたのは22歳か23歳と遅いと言うか『晩学』だったので、そこに未だにコンプレックスがある。

で、吹き始めて2~3年で「ちゃんと習おうかな」と思い当時、高円寺に金管楽器のリペア店があったのだが、そこに相談したら

「じゃあ、小学校で教えている奴を紹介するよ。料金はビール1ケース(6本)で良いよ」

と言うのでビールを抱えて、そのお店に。

暫くすると「この子、もう吹けちゃってるから教えることないよ。あとは持久力とか吹ける曲のレパートリーを増やせば良いだけだよ」

と言われて終わった。

その後、新大久保の管楽器店の3階の『無料体験レッスン』に行ってみた。

何だか嫌な感じしか無かった。

その際、アンブッシュアを『正しい方向』にされて2ヶ月は音出しに苦労したし、あとはレッスン内容が

「発表会がある。その際にスティーヴィー・ワンダーを皆で合奏する。上手い人がリードをとって、そうじゃない人はバックで吹く」

と言うのがあって

「何で既にライブで演奏している俺が、いまさらスティーヴィー・ワンダーを吹かなあかねん。ってか、スティーヴィー・ワンダーも好きじゃねーよ!」

と思い、通わなかった。

「好きな演奏を好きなだけやりてぇんだよ!それだけなんだよ!」

と思い、その頃はレッスンを受けずに孤独にメトロノームだけが友達さ、と言う悲しい陰キャとして過ごすのである。

他にも理由があって当時はすぐに仕事を変えていたのでレッスン料を祓い続けられるかどうか分からなかったのもあるけども。

2017年にスランプになった。

トランペットのスランプと言うのは物凄くて『全く音が出ない』と言う状態になる。

これは他の楽器の人には分からない状態だと思う。
楽器って、大抵は叩くか弾くか擦れば音が出る。

トランペットのスランプは「最近、どうも調子が出なくてね」とかじゃなくて、ある日、突然、音が出なくなるのである。

それで北陽一郎と言う『渋さ知らズ』のトラペッタ-のレッスンを受けようか?と思った。

レッスン料は高いのだが、間違いない、と友人が言う。

悩んでいたら2ヶ月くらい掛かったけども治ってしまい(お酒の力で治った。tpはメンタル7割)結局、行かず仕舞い。

一昨日、「嗚呼、トランペット教室に通いたいな」と思った。

純粋に上手くなりたい。

だが、独学とは言え20年も吹いている(20年しか吹いていない)。だから、それなりに吹ける。

そんな私は『初心者コース』なのか『中級者コース』なのか。

行ってみたら「全然、なってない。小学生達と初心者コースに行け!」とか言われたら咽び泣く気もするが。
あと、私の最大のコンプレックスが

『楽譜を読むのに非常に時間が掛かる』

である。

トランペットは移調楽器なのでCメジャーの楽譜を渡されると困ってしまうし、そもそも楽譜を読むのが苦手だ。

高校時代、ピアノを習っていた頃は真剣にやっていたので、それなりに読めたのだが、その頃でも遅かった。

じゃあ、トランペット教室じゃなくて『音楽理論教室』とか『リトミック教室』になるのか?と延々と考えてしまい、やはり駄目な感じがしてくる。

器楽奏者で『楽譜が読めない』と言うのは、『人事課が日本語が苦手』とか、『時計職人だけど手先が不器用』とか、『飛べない鳥』とか、『医者だけど、グロが大嫌い』とか、『日本の古代史を研究しているけど、古事記を信じている』とか、『天皇が、国民の不幸を祈る』とか、『フェミニスト男子だが、ヤリチン』とか、『フェミニストだけど、ヤリマン』とか、『拒食症なのに、食い放題が好き』とか、そんな感じがする。

何か、底辺以下と言うか。

私は過去を呪っても仕方がないが、「もっと早くに初めてトランペットで音大に行っていれば・・・」と思う。

音楽大学、またはジュリアードとかバークリーとか、ある意味、専門学校みたいな処でも良いのだだが、そう言う処に進んでいたらモット違っていた気がする。

①徹夜麻雀

②エロ本の貸し借り

③学校帰りにミスタードーナツに行ってウィントン・マリサリスの悪口を言う。

④キース・ジャレットの『ケルン・コンサート』は大絶賛

⑤ロックを小馬鹿にしながらも家ではコッソリと『キング・クリムゾン』を聴く。

⑥好きな女子へのアプローチ方法を同級生と考える。

⑦童貞卒業

⑧文章が巧い同級生にラブレターの代行をしてもらう。

⑨外国人教師に教わりながら必死に練習。

⑩同級生と切磋琢磨。

⑪街角でトランペットで『ドラゴンクエスト』の序曲を吹いて投げ銭を貰い、呑み代にあてる。

⑫その際に女性に「トランペット、カッコイイわね」とか言われちゃってHする。

⑬賭けポーカー

⑭トランペット奏者同士、仲は良いのだが、そいつが居ない処では陰口を言う(俺の方が巧い、とか)

⑮楽器で留学するので英語ペラペラ。

⑯安いワインを呑みながら同級生と将来の夢を語り合う。

⑰その際、声楽家に進んだ恋人が『肉じゃが』を作ってくれる。

⑱ウィントン・マリサリスの悪口は欠かさない。

⑲練習に付き合ってくれるので孤独感ナッシング。

嗚呼、羨ましい。

クラシックとか音大とか、スクールと言うのは多分、こんな感じなんだと思う。
ウィントン・マリサリスの悪口を言いながら、ミスタードーナツでエロ本の貸し借り。

これぞ『青春』であり、これぞ『音楽生活』と言うモノである。

優れたプレイヤーはミスタードーナツとエロ本の貸し借りからしか生まれない。

私は独学で来てしまった。

最初は東高円寺駅の蚕糸の森公園で練習していた。

その後は四谷駅の近くの丘。

蚕糸の森公園の深夜に練習。

始めた頃は下手なので汗だくで練習して、冬場だと汗で寒くなり、インフルエンザで倒れる、というのが風物詩だった。

独学って孤独になりがちである。

深夜にミュートを付けて孤独に練習。

それは、それで良いのだけども、一度で良いから音楽で『THE キャンパスライフ』を体験してみたい。


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