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ワシはなぜババア小説を書くのか

(なんでじゃろ)

ワシはふと考えた。
自分自身が考え、消化すれば良いだけの話だもんで、こうして書くのもどうかと思う。だが書いてみる。

初作『ジュディ婆さんの事件簿』を書き終え、鼻息も荒く『ニンジャスレイヤー』第3部を買い込んだのに、いつの間にか2作目『ダンジョンバァバ』を書き始めていた。またババアだ。なぜまたババアなのか。我ながら真剣に考えたことがなかった。「これならどうだ」と頭に浮かんできたアイディアがババアだった。ただそれだけ・・・と思っていたけれど、一度自分に向き合う必要があると考えた。

考えるきっかけになったのは、以下の投稿だ。

上記記事の中でも紹介されている、桃之字=サンの「装備している名言を確認する」、ディッグアーマー=サンの「武器は装備しないと意味がないよ!」を読んでいたワシにトドメを刺した「装備シタマエ」
名言・・・装備かあ・・・無いなあ・・・そうやってボンヤリしていた丸裸のワシはハッとした。
※上記記事は、決して「装備しろ」と押しつけるような内容ではないので誤解されぬよう

読んだワシはシビれた。
「なぜ小説を書くのか」
根本的なテーマについて、タイラダでん=サンが名言を引用しながら記した「答え」が非常にシンプルで・・・力強かった。
装備だ名言だババアだと語る前に、ワシはこのテーマについてすら深く考えたことが無かった。ワシはどうなんだ。ワシなりの答えが出せれば、その答えが己の装備になるのかもしれない・・・。

名言とババアのことはひとまず置いて、ワシは考えた。
「なぜワシは物語(小説)を書くのか」
まず最初に浮かんだのは、Noteでスキってくれる人や、Twitterでコメントをくれる皆さんの顔(アバター)だった。書いたら、貴重な時間を使ってそれを読んでくれる人がいる。感想をくれる人がいる。それだけで何だか嬉しい。
・・・だが、「人のリアクションでウキウキするために書いているのか」と問われると、真の理由はそうではないような気もしていた。

そんなワシに追い打ちがきた。
モヤモヤしていたワシは、以下の投稿で雷に打たれ、一度死んだ。
ワシはあの世で引き続き考えることにした。

ここで終わっても別に誰も悲しまない。
そうか・・・そうなのかもしれない。
「あれ? 最近あの(’3’)ってヤツ、更新しないな。ポックリ逝ったのかな。飽きたのかな」
その程度で終わるかもしれない。

「気になるところでやめやがってー! 続き書かないの!?」
と残念がってくれる人がいると嬉しいけれど、それも一瞬で、すぐに気持ちは別の作品に向けられ、忘れられていくだけのことかもしれない。
※だがワシは、スゲーところで「To Be Continued...」のまま打ち切りになったドラマ『フラッシュフォワード』や、「水の章...(ドドーン)」とかいって始まって水の章だけで終わってしまった映画『エアベンダー』とシャマランのチャレンジ・スピリットを決して忘れない

なのに、なぜワシは書いているのか。
血の池で背泳ぎしながら冷静に考えていると、プカリ・・・理由が浮かんできた。

逆噴射聡一郎「最後まで書け」

これはかなり大きい。
世間一般で言えば、ダメなものに執着し過ぎて沼にドップンコする前に、中止、撤退の見極めがダイジ・・・そういう考えもワシは理解している。
だけども、逆噴射小説大賞で「初めて・・・小説・・・の冒頭・・・書いてみました・・・」みたいなウブ=ワシは、どれかひとつでも最後まで書かないとせっかくの何かがパーになると思い込んだ。中途半端はダメだ。「物語を書く苦労」や「求められる能力」を身をもって知るには、冒頭400字だけじゃあダメだ。ラストまで駆け抜けて初めて「ワシは小説が書けます(品質はさて置き)」と胸を張って言えるんじゃないのか。そう思った。
特に『ジュディ婆さんの事件簿』がイメージ湧きまくりで妄想が止まらなかったので、ひたすら書いた。もともと文章を書くのは好きだったので、物語を書く行為そのものが楽しかったのも一因だ。けれど、やはり根底にあったのは「ワシは最後まで書かなければならない」だ。加えて、逆噴射小説大賞のお題が「その後の物語に続く、冒頭400字」だったので、「じゃあ最後まで書いてやろうじゃないか。これは小説大賞だ。キャッチ―な出だしだけで銃撃戦に挑んだワケじゃない。ワシは終わりまで書き切れるんだ(きっと)。見てろよコノヤロー」などと意地になった側面を引きずっているのかもしれない。
2作目の『ダンジョンバァバ』も、書き切ってこそ己の剣や盾、血や筋肉になると思い込んで。これは「おお、ワシも名言を装備していたのだ!」と言っていいのかもしれない。

② 自分が書きたいから書く

引き続きあの世でアレコレ考えブツブツ言っていると、隣で奴隷バーを押していたサラリマンからツッコミが入った。
「いやいやチミ。最後まで書かなければ・・・だと? それなら・・・書き出さなければいいさ。最後まで書く必要も無くなる。1作目でやめとけばよかったんだよ・・・」
確かにそうだ。書かなければいいのだ。
ではなぜ書くのか。先にも述べたように頭の中の物語をアウトプットする行為そのものがタノシイ・モードだ。文章を書くのは好きだ。何かを創り上げるのも好きだ。つまりワシは、誰かのためではなく、ただ単に「小説を書きたい」が我慢できないから書いているのだ。もちろん、読んでくださる皆さんのリアクションはサイコーの燃料になり、燃料が無ければパワーユニットは動かない。「誰も読まなくても書けるの?」と問われると、今はまだ「YES」と言い切れる自信はない。だが、パワーユニットそのものは、ワシがワシのために書く自己満足で構成されている。むつぎはじめ=サンは先述の記事をこう締めくくっていた。
「ここで終わってしまったら、悲しむでしょ。あなた自身が」
その通りだ。この言葉には「書きかけの作品を途中でやめたら」だけでなく「小説を書く行為そのものをここでやめてしまったら」という意味もこめられている・・・勝手にそう捉えたワシはチカラがみなぎり、奴隷バーを超高速回転させて竜巻を生み出し、それに乗ってこの世に戻ってきた。自分自身のために。

「で、なんでババアなの」

やっとこの記事の冒頭に戻ってきた。本題に辿り着くまでに何名もの読者が去って行ったかもしれない。3人くらい残ってくれていれば嬉しい。

あの世からこの世に戻ってきたワシは、温かい風呂に浸かりながら考えた。
あの世で「書く理由」は整理できた。
「自分が小説を書きたいから」そして「書いたら最後までやらねば」だ。
だが、「なぜババアを書くのか」・・・その答えはまだ出ていない。
『ジュディ婆さんの事件簿』を書き終えた後に勢い余ってスタートした『ダンジョンバァバ』。またババア・・・そう、気づいてみればまたババアが主人公だ・・・。

ババア・・・。
REALに溢れているお婆ちゃんとは違う。
ババアは渋い。老齢。地味だが味わいのある存在。どこか得体の知れない存在。ハードボイルド。クール。強い。そういった存在の口から発せられるシビレる言い回し。・・・つまりぶっちゃけジジイでもいい。ワシは、ジジババだからこそ映える、刺さるものがあると信じている。次点で言えば、ハードボイルドなシブメンでもいい。冷徹な中年女性でもいいかもしれない。ワシは、心の底からそういうヤツが好きなのだ。個人的には、その中でもババアが一番バシっとハマる気がしている。

なぜそういうヤツが好きなのか。
ワシはこれまでのワシを振り返り、「まあ小説書いてもそういう内容になるよね」と納得した。
今はすっかり離れているけれど、格ゲーで言えばシブイ(イロモノ含む)キャラばかり使ってきた。だいたい武器が剣じゃなくて、髪型がノーマルじゃなくて、被り物していることも多く、デブデカ系かマッスル系かヤバイ系かジジイ系だ。
一方で、主人公キャラは避けてきた(豪血寺一族を除く)。女性キャラも使ってきたが、意識的に避けてきたキャラがいくつもいる。SNKで言えばアテナ、舞(その豊満な胸の揺れ具合には多少の魅力を感じた)、ナコルル、リムルル、ユリ、クーラ(惜しい。もっとサイコ冷徹系なら)、チャムチャム、ムイムイなど、など・・・そういうタイプを避けてきた。嫌いなワケじゃない。ただただ、そういうカッコイイ・カワイイにはそこまでゾッコン(死語か?)になれないだけの話だ。
MMORPGやキャラクリできるRPGでは、必ず男性を選んだ。ファンタジーなら人間とエルフ以外を選んだ。人間しか選べない作品なら必ずジジイを作った。ドワーフが選べれば必ずドワーフを選んだ。ドワーフは渋い。味わい深い(ドラクエ10のやつは除く)。
漫画やアニメもそうだ。好き嫌いなく摂取する方だけども、ナヨナヨとかキャッキャする作品はあまりグッとこない。真の男や女たちがハードに、シリアスに、バチバチとしのぎを削る作品が大好物だ(バトル作品である必要はない)。
※なお日本男児の教科書である『魁!! 男塾』は別次元で最高である。

さんざん列挙したが、要するに「大好物」が主流から外れているのだと思う。そして、ワシはその「大好物」が足りず、飢えているのだと思う。
世の中のエンタメは、カワイイで溢れている。ハンサムで溢れている。好きだの嫌いだのサワヤカだので溢れている。アニメで言えば「今期・・・またこういうのばっかり・・・」ワシはそうやってガックリしたことがある。
※ただ実際に観ると「おもしれええ」となる作品もあるから油断できない

一方で、口の悪いクールなババアはどうだ? ハードボイルドなジジイはどうだ? あちこちでメインを張っているか? 無くはない。だが多くはスパイシーなサブキャラとして使われる程度ではないか? そもそも出てこないのではないか?・・・なに? 需要が無いから仕方ない?・・・それではワシは飢えてしまう・・・。
確かに万人受けしないかもしれない。ババアが表紙の小説、コミック、Blu-rayなどがビジネスSUCCESSするのは今はまだ難しいのかもしれない。
だがそういう(ワシの知る限りの)現状に対してワシは、ワシが好きなもので挑みたい。そう思ったのだ(たぶん)。そしてあわよくば、世界に47人くらいは存在するであろう同類のニーズを満たせたらいい。さらに欲を言えば「こういうのも悪くないね」と間口が広がるといい。
そしてそしていつの日か・・・キレッキレのババアが主役のエンタメがもう少しだけ増え・・・それを摂取したワシが刺激を受け・・・さらにまたワシは自分なりに書きたいババアに磨きがかかり・・・ワシは書く・・・そういうババア・サイクルがまわりはじめたらいいなと思う。
いや、ワシが動かずとも・・・このまま高齢化社会が進めば・・・おのずと主人公もババアやジジイになるのかもしれない・・・?(何言ってんだコイツ)

おしまい

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