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外出先でも本気モードで使えるモバイルディスプレイ:JAPANNEXT JN-MD-IQ133FHDR

全世界33.02億人のヤーポン絶滅学会の皆様こんにちは。今日も今日とてヤードポンド単位を目にしては発狂して(ぴー)を(ぴー)したりしていらっしゃるものと思いますが、皆様が目にしているディスプレイ全般はすべからくインチ規定です。大いに泣きましょう。そして神の許しを得るのです。お前は神を信じているのかって? たかが単位ごときに神を見てたまるもんですか。香月です。

さて、今回の JAPANNEXTアンバサダー 的レビューは13インチサイズのモバイルディスプレイをお借りしてお送りします。ウルトラワイドやら大型ディスプレイやらが多かった私のところでは珍しく小型・持ち運びタイプのモバイル系です。


見た目はスマートに収まった13インチ、ケース付属でサッと持ち出せる

さて、まずは外箱や外観をザッとみて行きましょう。本製品の最大の特徴となる点はパネルが「量子ドットテクノロジー(QLED)」というそのパネル表示方法にあるのですが、見た目はシンプルに仕上がっています。

常連のレッドブルさんとともに
箱を開いたところ。左にある充電器はUSB-Aタイプの一般的なタイプ
本体以外の内容物。こちらも最小限ながら必要なものはすべて網羅

外装箱は白い化粧箱で、側面部に製品型番が印字されたもの。上下に分かれるうち下側の箱は印字なしと、茶箱ほどでは無いものの最小限のシンプルなデザインです。その点は箱を開いてもあまり変わらず、ディスプレイ本体と充電器が最初に、ディスプレイ本体を取り出すとその下に付属品一式が収納された状態で登場します。先んじて付属品一式を並べましたが、充電器の他にUSB-CtoC、USB-AtoC、miniHDMItoHDMIそれぞれのケーブル、保証書や取扱説明書、そしてアーム取り付け用のネジといった具合。シンプルで最小限ではありますが、箱を開けてすぐに使えるくらいには必要なものが揃っています。ちなみに充電器は5V-2AでUSB-Aポートを持つもので、PD出力などは持たない一般的なタイプ。

さて、続いてディスプレイ本体を見ていきましょう。

ディスプレイ本体とスタンド機能付きケース
スタンド機能を使って立ち上げたところ
ディスプレイ裏面
ディスプレイの厚みは上下で段差のあるタイプ
ケースとはマグネットで固定

ディスプレイ本体やケースに関しても、ごく一般的なモバイルディスプレイと同じ特徴を持つタイプ。ケースはスタンド代わりに使用可能で、底面部にある2つの溝に合わせて角度が調整できます。厚みはディスプレイ上部と端子部で段差がある形状ではあるものの、全体的にかなり薄型で持ち運びに苦労する事はなさそうです。ディスプレイ単体で公称475g、ケースは同じく275gとなっており、サイズさえ収まるならカバンに入れても楽に持ち歩ける重量でしょう。

ケースはディスプレイ上部のマグネットで固定される為、必要な時に外したりつけたりする事が簡単に出来る仕様。そのためディスプレイ背面はスッキリした仕上げ。ディスプレイ下部に2箇所のネジ穴がありますが、これはモニターアーム等のVESAマウント向け。サイズは75*75mmで、左右2点留めにはなりますが、ディスプレイそのものの重さを考えても問題のない部分でしょう。逆にアーム側のガス圧などが強すぎる場合には、そちらを調整して使用する事になります。

映像入力端子部
OSDメニューコントロール、イヤホンジャック

端子部は「ディスプレイを正面から見た」状態で右側に各種入力端子、左側にメニュー操作や電源ボタン、イヤホンジャックといった配置。デスク設置のディスプレイとは違い、完全にディスプレイ側面に端子が出ているので、実際の使用時にはケーブルが横方向に飛び出す状態で使う事になります。この形状もモバイルディスプレイとしては珍しくない部分ではあるものの、個人的には端子部がもっと内側に入って、正面からみてケーブル露出が最小限になるような構造になってくれたら嬉しいなと思う所です。以下の写真にもありますが、ディスプレイ右側はある程度スペースが必要になります。

表面は光沢のグレア仕上げ
14インチノートPCと並べたところ

フルHDのディスプレイ表面はグレア仕上げでしっかり光沢仕様。好みが分かれるところではありますが、良く言えば発色が良い、悪く言えば環境光を反射しまくって見づらい、といった部分。ただ、今回の製品に関して言えば「発色が良い」という特徴を存分に活かしきる事が出来る、というパネルでもあります。

よいこのくおんたむこうざ:「量子ドットテクノロジー」とは

JAPANNEXT製品ページより

本製品のパネル仕様としては「IPSパネル」と仕様書に記載されているのですが、同時におおきな特徴として「量子ドットテクノロジー」が謳われています。今の世の中、「量子」とつくものは「量子コンピュータ」だったり「量子テレポート」だったり、「とにかく難しくてやべぇやつ」みたいな雰囲気もありますが、今回もまぁまぁやべぇ仕組みです。従来のディスプレイとの違いは「バックライト」にあります。

従来型のディスプレイ模式図。価格.comマガジンより借用

従来の液晶ディスプレイでは、白色の光をバックライトとして照射し、液晶シャッターでその明るさを調整、最後にカラーフィルターで色をつけて表示、という方式です。過去には冷陰極管という、いわゆる蛍光灯みたいなのがバックライトだったものが、技術が進んで白色LEDに置き換わった、という流れこそあったものの、「バックライトは明るくても、シャッターやカラーフィルターを通るとどんどん暗くなる」という構造でした。さらに細かい部分は割愛しますが、色ごとの特性もあるためにこのロスが大きくなることから、「光(≒明るさ)のロスが大きい」というネガティブを持っていたのが従来型です。青いサングラスをかけると景色が青く見えるものの、視野が暗くなる、といった雰囲気に近い仕組みです。

量子ドットの様子。上がバックライト、下がディスプレイ表面。価格.comマガジンより借用

一方、今回の「量子ドット」に関しては、そもそもバックライトから大きく異なります。従来型の白い光ではなく、青色(図では「Blue Light」)の光を出した上で、量子ドットシートに照射します。シート上で青色の光を受けた量子ドットはそのサイズによって色が異なるものの、そこで光の(波長の)変換が行われ、それぞれの色を発色します。これがまたなかなか難しい仕組みのようなのですが、ザッと調べた限りでは「カラーフィルターで色をつけるのではなく、量子ドットそのものが各色の発光をする」という仕組みの違いで、結果としてフィルターを通すような光のロスがなく表示に至ることが出来る、というもののようで、先のサングラスの例えでいえば「そもそもサングラス(≒フィルター)をかけずとも、景色そのものが青い光で目に届く」といった具合に、フィルターを通すたびに光が暗くなるようなロスが発生しない、という事になります。結果として、色がはっきり表現できる為に色域が広く、またバックライトを煌々と光らせる必要もなくなるので低消費電力で明るく表示できる、というメリットに繋がってきます。

これらの点に関してあまり深く首を突っ込むと昼も夜も眠れなくなる緊急事態になってしまうのでかなり簡略化して紹介しましたが、つまりは「光のムダやロスが無いので、同じ明るさなら低消費電力になるし、各色の発色のバランスも取れるので広い範囲の色を再現できる」という特性を持ったのが量子ドットタイプ、と考えて貰えれば良いかなと。

難しい構造を意識する前に画面を見ろ:発色の良さはいきなり感じられるディスプレイ

暗いところは暗く、明るいところは明るく

頭痛がしそうな難しい話はともかくとして、実際にディスプレイを点灯させて様子を見てみましょう。発色具合のチェックでカラーパターンなども検討したのですが、この手のディスプレイで最も気になる点、かつ本製品の特徴たる「量子ドット」で影響が出そうなのが黒背景だろうとアタリをつけてチェックする事にしました。

完全に黒の部分は本当に黒。バックライトの漏れなども一切なし

Windows11標準の壁紙でテストを行いましたが、一番チェックしたかったのは写真の通りパネルの端となる角部分。明るさ調整は標準値のまま、USB-CのDPAltで接続した状態ですが、まずは「バックライトの漏れ」は一切ありません。従来型の白色バックライトの場合、製品によっては「そもそもパネルとフレームの隙間からバックライトが漏れる」という残念な製品が多い中、そもそも白のバックライトを出していない、青色LEDによるバックライトである事もあってか、そういった光の漏れは全くありません。また、輝度の関係で「完全に黒」となる部分でも「わずかに光っている」といった雰囲気もなく、黒は完全に黒。ここまで来ると、液晶を見ているというよりは有機ELパネルを見ているような感覚すら湧いてきますが、これが本製品の最大の特徴にして強みとなる部分になるでしょう。

仕様書の数字以上にコントラストの深みが強い印象
製品ページのカラフルな画像をブラウザで表示した所

さて、一方で本製品は「USB-C1本での使用時は明るさを抑えている」という記載があります。接続しているデバイスによって多少変わる所はあるのでしょうが、実際に手元で1本のみの状態と、2本目で電源供給した際の違いは以下のようになりました。いずれも輝度設定含めすべて初期設定状態です。

左が1本、右が2本。明らかに明るさが変わります
ケーブルはこんな感じ

この写真で左が1本のみ接続、右が2本目に電源供給(USB-AtoCケーブル使用、PCのUSB-A端子より電源供給)の状態ですが、接続をしただけでこれだけ違いが出てきます。1本の時点でも発色はしっかりしていた印象でしたが、2本目を繋いで明るさが変わった瞬間、「こっちが本気か!」と感じる表示になったのには驚きました。グレアパネルゆえにメリハリが強いディスプレイではあるのですが、かなりのものです。

……と、ここまではすべて明るさも初期値でしたが、ケーブル1本の時点でOSDから明るさを最高輝度にしたらどうなるのかと思いたち、試してみたのが以下。

ケーブル2本と同じ程度の輝度に

ケーブル1本で最高輝度に設定した所、2本の時とほぼ同じといえる明るさになりました。この状態で電源用の2本目を繋いでも明るさが変わらなかったことから、環境次第ではケーブル1本で使用していても最高輝度で使用する事自体は出来るようです。今回はノートPC側のUSB-C端子がDPAlt対応である事と、相応に安定した電力供給が出来ていた為と思われますが、接続するノートPCやタブレット、スマートフォンの仕様によっては明るさが伸び切らない可能性もあります。尚、miniHDMI接続に関しては別途USB-C電源の供給が必要である為、HDMI+USB-Cの2本接続で動かす環境に関しても同様の結果でした。

さて、このケーブル2本接続に関して、今回のテスト中に気になる挙動がありました。というのも、

  • USB-C1本(DPAlt)接続の状態から

  • 2本目(電源供給)を繋ぐ時には輝度が上がる以外に変化は無し

  • その状態から電源供給のUSBケーブルを外すと、1本目のケーブルが繋がっているにも関わらずディスプレイの電源が落ちる

  • 再度DPAltのケーブルをつなぎ直すと電源が入る

このような挙動があり、一度2本のケーブルを繋ぐと、そのあとで片方(電源供給)のケーブルを抜くと電源が落ちるという状態に。その際、ノートPC側でもディスプレイ認識が切れる為、マルチモニタ状態で使用していた場合には一度PC側のディスプレイ一枚の状態になる、という挙動です。ケーブルを変えたり、接続ポートを変えたりと試しても同様であった為、そもそも仕様、もしくは環境依存なのかもしれません。いずれにせよ、ケーブル1本で明るさを調整して、もし不安定であれば2本目をつなぎ、使用中はそのままにしておく、といった使い方であれば問題は無いため、事前に接続状態や輝度、ブラックアウトなどの挙動をチェックしておくのが良さそうです。

出先でも色具合に妥協せずに使える次世代型モバイルディスプレイ

持ち運ぶのにも気軽な13インチ、詰め込まれた技術と性能は本気モード

さて、今回は「量子ドットテクノロジー採用」という次世代型の13インチモバイルディスプレイをいじくり倒してきました。13インチのモバイルディスプレイは既に手元にあったのですが、いかんせん明るさは妥協されたものであったり、色具合に信用はおけない「とりあえず映る」というものだっただけに、本製品ではどうなるかと楽しみにしていたのですが、新しいテクノロジーを採用したという部分が「使っていてわかる」ほどに主張が強かったのは面白いものです。いかんせん「新技術でっす!」と謳っていても実感することが難しかったり、そもそも「何変わったかわからん」というものが多いなか、「目で見てわかる」という本製品はそういう意味での新鮮さも感じました。これくらいパキッとした表示をしてくれるなら、グレアパネルも悪くないかもと思わせるくらいに、メーカーが「これでどうだ!」と殴りかかってきた感も。

その他、モバイルディスプレイとして全体的にネガティブがあるわけでもなく、新しい技術を盛り込みながらも使いやすさはそのまま、という路線はやはり良いもので、付属品も「箱出しでそのまま使える」という必要なものが揃った内容。製品自体の作りも安っぽさは感じられず、販売価格が執筆時点でおよそ3万円の製品としては、「表示や発色は価格以上、その他の作りも合格点」といった感じで、この点でもJAPANNEXTらしい製品です。

「モバイルディスプレイ」という製品の枠ではありますが、私は手持ちの13インチをデスクトップに繋いでサブモニタ用途に使っていたりして、「デカいディスプレイ増やすのはスペースが辛いけど、もう1画面欲しい」といった用途にも良い感じ。いかんせん発色が優秀なので、「サブ画面にウィンドウ移したら色がガタガタでガッカリ」といった心配もなく使える点でも、本製品は幅広く使う事が出来そうです。持ち運びはもちろん、デスクトップ使用でも良い製品なので、「どうせなら良いやつを増やしたい」という方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

モバイルディスプレイでも4Kクラスの高解像度が欲しい、という方向けにも製品が出ています。量子ドット系ではありませんが、今後は量子ドット系で4Kクラスも出てくるのでしょうか。なかなか期待が高まります。