見出し画像

ウルトラワイドの激戦区「34インチ」の新作:JAPANNEXT JN-IPS34144UWQHDR

全世界3440*1440人の時速144km走者の皆さんこんにちは。およそ495万人ということで、ちょっとした都市ひとつにオリンピックも顔負けな陸上選手が集まっているようで何よりです。ウマ娘ですら時速70kmですよ。だからなんなの。わかんない。香月です。

さて、今回も #JAPANNEXTアンバサダー として、新製品をお借りしました。フラットパネルとしては久々の34インチウルトラワイド、144Hzに強化されて投入された製品です。


IPSパネル採用で144Hz駆動、激戦区に殴り込みの34インチウルトラワイド

14インチノートと並べて

登場当初は29インチの2560*1080px(FHD+)がメインだったウルトラワイド市場ですが、ここ最近はちょっと大きめの30インチ、そこからワンサイズ大きい34インチが主流になり、解像度もFHD+からUWQHD(3440*1440px)に拡張された製品が多くなりました。解像度やインチサイズだけでなく、ゲーミングディスプレイとしてはリフレッシュレートも向上し、200Hzのような高リフレッシュレート製品もあるなか、144Hzは「エントリーと高価格帯の中間」といった位置づけをしているメーカーが多いようで、こちらもまた激戦区になっています。

また、昨今の曲面ディスプレイブームもあるなか、本製品はフラットパネルとなっており、何かと好き嫌いが分かれる両者としてはいわゆる「従来型」、使い慣れたタイプのディスプレイということもあり、導入にあたっての心理的ハードルは低め、とも言えるかもしれません。

かくいう私も以前から34インチのウルトラワイドをレースシム環境で使用しており、仕様が一部違うながらもインチサイズ、解像度ともに同じタイプの製品を使用していた為、「現状維持でリフレッシュレートが上がったらどうなるだろうか?」といった比較対象にもなりました。

当該製品レビュー当時はメインPCで普段遣いするディスプレイだったのですが、その後色々と入れ替えが入って現在はレースシム向け、となったものの、100Hzと144Hzでどのくらい違いが出るかは気になる所。前回レビューの後から怒涛のディスプレイラッシュをした結果、165Hzや200Hzなどの製品も目にしており、色んな意味で「目が肥えた」状態になったので、使用感等も少し異なった見方になるかもしれません。

梱包はシンプル、必要なものは一通り揃った内容物

外装箱デザインも新しくなりました

さて、そんなわけで早速色々とみて行きましょう。外装箱は前回あたりから新しくなった、「X」イメージが大きくデザインされたものに変更となり、ディスプレイのイラストは無いながら、製品のスペックはパッと見て認識できるようになっています。今回の製品はフラットパネルという事もあり、そこまで厚みは大きくありません。手持ちハンドルが無いのはいつも通りといった感じで、量販店で気を失って購入する際には別途ハンドルを付けてもらうか、クルマで激突して積んで帰るのが良さそう。このままで電車で持ち帰るにはさすがにちと苦しいです。

上部にスタンドパーツ2点。上側の発泡スチロールを貫通するように梱包
下側左右のポケットに同梱物
今回は発泡スチロールを使用しないスタンド装着。開梱時に箱の中に下段の発泡スチロールが残ってしまっても安心
同梱物一式。ケーブルはDPケーブルとHDMIケーブルが1本ずつ

まずは開梱と同梱物一式から。スタンドは後述しますがシンプルな形状で2ピースタイプ、同梱品はACアダプタやペーパー類など必要最小限ですが、映像ケーブルがDPケーブルとHDMIケーブルそれぞれ1つずつ入っています。これまでの製品ではDPケーブルだけだった事が多いJAPANNEXT製品で、それだけでもありがたい事には違いなかったのですが、より使い勝手の良いHDMIケーブルも一緒に入れてくれたのはさらにありがたい所。ただし、ディスプレイ側の仕様上、HDMIケーブルでは最大リフレッシュレートが100Hzに制限されてしまう、というのは注意しておいたほうが良いでしょう。144Hz駆動ができるのはDP接続時のみ、となっています。

ディスプレイ表面。アンチグレアタイプ
ディスプレイ背面。若干丸みはあるものの、全体としてはスリムに
スタンド嵌合部分。乳白色の四角い枠はLED照明部
各端子。左から電源、HDMI2系統、DP2系統、イヤホンジャック。メンテナンスUSB端子は無し

ディスプレイ本体は3辺狭額タイプで、下辺部のベゼルもスリムなので全体的にスッキリした印象。というのも、現在使用中の34インチが4辺ともそれなりに太いベゼルのタイプなので、余計にそう感じた、という事で、ここ最近のディスプレイとしてはごく一般的といえば一般的なスタイルではあります。

使用中のもの(上)との比較
ベゼルが細い分、全体のサイズ感も若干小さめ

スタンドはシンプルな構造。コネクタ部分が少し目立つか?

つづいてはスタンド使用時の雰囲気について。

スタンド部分は2ピース構成
ディスプレイに固定する側にスタンドを組み立てる為のネジが取り付け済み。これを一旦取り外して……
ベース部分をはめ込んで、先程取り外したネジで固定
2つのパーツを繋いだら、ディスプレイ背面の嵌合部に上側を引っ掛けて……
下側をパチンとはめ込んで固定。ロックラッチはスタンド側
スタンドをはめ込むと、LED部分がスラッとした雰囲気に
背面LED点灯状態。過度な主張が無いスマートな雰囲気
スタンド装着状態の正面から。高さ調整や左右首振りは無し
チルト上向き。公称で+15°
チルト下向き。公称-5°

スタンドは高さ調整や左右首振り等の無いシンプルなもので、全体の殆どは金属製でした。ディスプレイとフラットになる黒い部分のみプラスチックでしたが、内側には金属の台座があるため、黒い部分は化粧カバーのような扱いです。ただし、ロック機構周りはラッチも含めプラスチックになっており、肉厚ではありますが無理なはめ込み(斜めに入れる、半固定状態で荷重をかける等)は注意したほうが良いでしょう。基本的にはマニュアルにある通り、「スタンド嵌合部の上側を先にはめ込んで、そのまま下側をはめ込む」という流れであれば、問題なく固定、使用できるものです。その他、スタンド側には特筆するような機能は無く、シンプルで使いやすいものです。

背面LEDはON/OFFのみ。単色固定機能は無く、カラーグラデーションのみ
14インチノートPCと並べた所
ケーブル差込部を正面側から。左がHDMIケーブル、右が電源ケーブル
ケーブル取付部を背面から。こちらでは左が電源ケーブル、右がHDMIケーブル

背面LEDに関してはON/OFFのみの仕様で、OFFで消灯、ON時はカラーグラデーションのみとなり、単色固定やフリッカーなどの点灯は出来ません。

ケーブルの差込部に関して、高さがかなりギリギリの位置になるため、配線方法やコネクタの大きさによっては正面から見える状態になります。HDMIケーブルやDPケーブルはコネクタ部の小さいものを選べばなんとかなりそうですが、電源ケーブル(ACアダプタ)に関してはどうしようもなく、どうしても正面から見えないように隠すためにはかなり無理をして曲げて配線する事になりそうです。ボディやスタンドが黒いので、設置場所の後ろ側が暗めの壁などであればそれほど目立たないのですが、明るい壁などであれば気になりそうな所。

ちなみにACアダプタですが、数回のテスト(連続1~4時間の範囲)で、それなりに熱を持つような状態でした。触れないほど熱くなるという事はありませんが、風通しの良い場所、机についているケーブルダクトの中に入れるのであれば金属パネルに触れるような所など、ある程度放熱できる場所に設置してあげるような工夫をすると良いかもしれません。

さて、スタンド周りはここまで。今回のテストではアームに吊って使用する為、組み換えを行います。

JAPANNEXTお決まりの「スタンドネジ」取り付け

アーム取り付けの際にはJAPANNEXTではお約束の「スタンドネジ」を4点に取り付けてからアームに固定します。VESAマウントは100*100mmサイズ。写真の通り、背面LED部の乳白色パネルが丸見えになる状態なので、アーム側の固定プレートによってはかなり露出する状態になります。また、今回の製品では一見すると100*100mmの一回り大きい四角形の凹みに囲まれているので、スタンドネジ無しでパネルに取り付けられそうですが、こちらもアーム側のパネル形状に依存する事や、メーカーとしてスタンドネジ使用を前提としている事もあるので、ここは素直に従っておきましょう。無理に直接固定すると、ディスプレイ側の各部にダメージを与えてしまう可能性もあります。

HDRはソフトウェア依存ながら描画性能は良し、リフレッシュレートは「実戦的」

やはりレースゲームとウルトラワイドは相性が良いです

取り付けが完了した所で、実際に動作させてみましょう。今回も例によってレースシム環境に設置し、「Forza Horizon5」と「Assetto Corsa Competizione」の2つでテストを行います。

Windows側で動作モードを144Hzに
簡易テストでもしっかり144Hz動作を確認
HDR設定も必要に応じて設定

まずは下準備として、Windows側でディスプレイのリフレッシュレート設定を「144Hz」に指定。都合4段階の選択が可能ですが、なにか問題が発生するような事がない限りは最大である144Hzで良いでしょう。いつも使用している簡易チェックツール「UFO Test」でもしっかり144Hzで検出されました。また、HDR対応ゲームやソフトウェアを使用する場合には、同じくWindows側でHDRをONに指定。基本的には設定はこのくらいで、ディスプレイ側のOSDメニューは特に操作していません。万が一色々いじってしまった後でうまくリフレッシュレートが検出されない場合は、ケーブルがDPケーブルか(HDMIケーブルは100Hzが上限)を確認の上、一度OSDメニューから「リセット」を行って、初期状態に戻して試してみましょう。同様にHDRに関しても、初期状態で対応可能でした。また、HDRに関しては「HDR対応のソフトウェア以外(Windowsデスクトップ環境等)ではSDR動作」という点はWindows自体の仕様である事、その状態であってもHDR動作をONにすると、ディスプレイ側のOSDメニューで明るさやコントラストなどのメニューで設定変更が出来なくなる点も注意です。

Forza Horizon5の様子:AMG E63S
暗めのボディカラーでも造形はしっかり
Forza Horizon5の様子:日産 240SX
おめめ
白黒のコントラストはかなりしっかり

まずはForzaHorizon5での様子。この項も含め、全てディスプレイをカメラ撮影(Xperia 5 III)したもので、スクリーンショットはありません。白系の映像がちょっと苦手だったのようで、後3枚の写真では少しノイズが入ったように見えますが、ディスプレイでの描画はしっかりしています。

まず前2枚のメルセデスAMG。ガンメタリック系の暗いボディカラーですが、影がごっちゃになって溶けるような事も無く、どちらもしっかり主張してきます。ガンメタの光が当たっている部分、ガンメタの暗い部分、クルマ前方のエンブレム周辺(シルバーメタリック)とその後ろ(フロントグリルの黒い部分)とで立体感もしっかり再現。

後3枚の240SXに関しても同様で、白いボディでも光の当たってる面とそうでない面、影になってる面でしっかり陰影が表現されており、ピラー部分からリアハッチにかけての黒い面も同様に陰影がはっきりと表現されています。ちなみにこの仕様、過去に私が乗っていた180SXとカラーリングやバンパー形状もほとんど同じ感じで乗っていたので、AMG以上に「おぉー」とかなった部分でした。何年前に乗ってたかは悲しくなるので考えないことにしています。

上出AMGのインカー視点

実際のドライブ視点に移っても、HDRの陰影表現はしっかりしており、質感も感じられるくらいに良い感じです。HDR設定にすると前述の通り明るさもコントラストも一切調整が出来なくなるので、ゲーム側の表現だけでなく、ディスプレイ側の性能、表現力が重要になるのですが、その点では本製品でもしっかりした性能を持っているようです。

一方のリフレッシュレートに関してですが、過去に複数のディスプレイをテストしてきた結果から考えても「144Hzらしい描画をしている」といった印象。この後載せる別のゲームでも同様ですが、大きな動きはもちろん、「段差や縁石に乗り上げた」といった小さい、細かい動きもしっかり表現している為、「クルマを運転している雰囲気」がより一層強く感じられます。自前機材として100Hzのディスプレイを常用していたのと比較しても、「全体全部」とは言わずとも、細かい点の動きや表現が変わる為、人によっては「言語化出来ないけどなんかすごい」といった非常に細かなブラッシュアップに繋がっているのは間違いないでしょう。

Assetto Corsa Competizioneの様子
上とこの写真はHDRがONの状態。なんとなく黄色みがかってる?
HDRをOFFにした状態。んー、変わらない

一方でAssetto Corsa Competizioneに関しては、色味に関する評価がちょっと変化。というのも、ゲーム側でHDRに対応はしているのですが、ONにしてもOFFにしても、どちらも「黄色っぽい」という印象が拭えない状態に。ゲーム自体のHDRだけでなく、Windows側、ディスプレイ側すべてのHDRをOFFにしても変わらなかったので、ゲーム側の色表現による所が大きそうです。最終的にディスプレイの色味やコントラストを調整してようやく自然な具合になったので、少し古めのゲームタイトルでは「相性」というよりは「ソフトウェア側の色表現の限界」のような雰囲気が出る可能性はありそうです。このような時には無理にHDRを使わず、HDR無効状態でプレイする事も検討してみましょう。今回のディスプレイに関してはHDR無効(≒従来と同じ描画)でもしっかりとした色表現が出来ている他、より色合いを詰めたければさらに色味やコントラストの調整ができるので、そういった意味では本製品の地力はかなり高く、度量も広いと感じました。

念のため、過去に撮影した類似のデータも確認したのですが、Assetto Corsa Competizioneに関しては多かれ少なかれ暖色系が強めに出ていたような印象で、今回のテストでは芝生が画面の多くを専有しているサーキット(鈴鹿サーキット)だった事も起因しているものと思います。実際に、HDRがONでもOFFでも、舗装部分の陰影に影響はあまり見られず、クルマの暗い部分も綺麗に描画されています。カメラの特性もあるかもしれませんが、いずれにせよ一世代、二世代前のタイトルだとこんな事もあるかも、と納得できる範囲です。

一方のリフレッシュレートに関して、やはり市販車よりも挙動が細かくなるレースカーに関しては、100Hzと144Hzの差は大きくなります。縁石を踏んだ、というのはレースカーに関しては「大きな挙動」の範囲になり、フラットなアスファルトの上でほんの少しハンドルを切った時のクルマの挙動変化が見えると、車外カメラの視点でも「あ、今そこでハンドル戻したな」といった情報がモロに伝わってきます。ドライビングだけでなく、リプレイでの分析や反省会でも、このような小さな、細かな挙動のピックアップは貴重な情報になりうる事もあり、これらの再現性の高さは「実戦的」とも言える点かもしれません。

総評:「144Hz」のリフレッシュレートは「最低ライン」か、もしくは「余裕を持ったヘッドルーム」か……悩んだら検討候補に入れられる「中級者おすすめ」な製品

全体通して「抑えすぎない、やりすぎない」雰囲気

さて、今回も #JAPANNEXTアンバサダー としてお借りした34インチウルトラワイドディスプレイをあちこち弄り倒してきました。全体的な雰囲気としては、「湾曲はしてないけどウルトラワイド、背面LEDはあるけどおとなしめ、HDRや144Hzの性能はあるけどぶっ飛んでない」といった感じで、総じて「中級者が手に取りやすい」といったバランスの製品に仕上がっている、といった印象でした。元々のパネル自体、色表現はしっかりしており、HDRもソフトウェア側が上手に描画してくれれば表現力は充分。PS5やXboxでも最大で120Hz、かつPCゲームでも120Hz以上を常時出そうとすると相応にスペックが必要になってくることを考えると、「144Hzモデルなら今後PC側をスペックアップしてもまだ戦える」といったディスプレイ性能。こういった「これまで『とりあえず』のディスプレイでプレイしていた環境からワンステップ上がってみる」という中級帯のプレイヤーに向けて、かなり寄り添っているようなバランスの製品だ、という感想でした。

一方でパネルが湾曲タイプではなくフラットタイプである点も、従来環境からアップデートするに当たって違和感を感じづらい部分でもあり、また1台のPC環境でビジネス/ゲームが混在するような環境には導入し易い製品であろうかと思います。ウルトラワイドで縦が1440pxという高解像度も、デスクワークになると大きなメリットになります。

価格帯としても、記事執筆時点で公式にて44,980円とかなり攻めたプライスタグとなっており、他メーカーの多くが5万円を超える中ではかなり存在感が強いというのも、手が出しやすい強み。安価だから性能や品質が微妙、という事もなく、解像度、リフレッシュレート、HDR含めたパネルの発色、さらに言えば製品そのものの質感も充分以上で、手元に届いてガッカリするような事はないでしょう。この点は日本メーカー製ならではの良い点です。

これまで私がテストしてきた同社製品はいずれも「なにかが尖った仕様」というものが多かったので、そういった製品から見るとかなりスタンダードなディスプレイだなという印象はありましたが、それゆえ多くのユーザの環境に馴染みやすいものだとも感じました。「ゲーム専用環境でやりまっす!」という方はもちろんなのですが、これまでごく一般的なディスプレイや「古いTVを流用してました」といった方からのアップグレードには特にちょうどよい製品である事は間違いないでしょう。こうしたスタンダードに近い、キワモノとの中間に位置する製品は「なにか足りない」といった製品も少なくない中、一通り欲しい機能を詰め込んできた点を評価しつつ、ゲーマーとしてステップアップを考えているプレイヤーにはぜひ検討してもらいたい製品です。