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どうしてこうなった

※本掲載記事は2019年9月25日時点のものです。

 先日、「AM4系RyZenの3000番台とTR4系でそれぞれ悩むところが……」なんて記事を書いたのですが、その直後(割とホントに直後)に、某所にて知り合った方から、「1950XとM/Bが完全にダブついてるんですが、もしご興味があったらいかがですか?」とご連絡を頂きました。最初の時点では、「さすがにそのセットを買えるほどお財布の厚みが無いので……」と一度は丁重に辞退したのですが、一度こんな話を貰ってしまうと気にするなというほうが無理なお話。結局その日一晩悩みながらベッドの中でゴロゴロしながら頭グルグルしていたのですが、そもそもこんなお話を頂くこと自体がそう滅多にある話でも無かったので、翌日になって「ちなみに昨日の件ですが……M/Bはどの型番でしょうか? あとは、お値段はおいくらで……」とおたずねした所、M/Bの型番とともに譲渡金額をご提示頂いた所、破格レベルではない破格のご提示だったので、その時点で気を失った後、意識が回復した時には発送等の手配が完了していました。価格が価格だったので、ちょっと公表できないレベルだったのですが、「中古ショップをどれだけ回っても絶対出てこないプライス」だった、とだけ記しておきます。

 さて、そんなわけでこちらも受け取り準備に入ることにしました。まずは既存のメインシステムをVR用のサブPCに降ろす為、PSUとケース、それからTRの冷却用として、以前より近隣のツクモ電気さんに中古で置いてあった、TR4専用のCoolerMaster製360mmのAiO水冷クーラー。棚に並び始めてからまるで売れる気配が無く、当日来店前に電話で確認した所、「開封と動作チェック以外は未使用、あまりに売れないので値段下がるかも」とまで言われていました。というわけで、今回用意したのは以下。

 PSUは元々800WのGOLD認証品を使用していたのですが、CPU向け4+4が1系統しか無かった事、どの道サブ機用に別途もう一台用意しなくてはならない事から、特価で10,000円程度に値下がりしていたThermaltake製を選んでみました。一次側・二次側含めキャパシタは全て日本製で、10年保証もついているので、それなりに信用出来るかな、といった感じです。電源とクーラーは同時購入したので、クーラー側を値切りに値切って合わせて18,000円くらいでした。ケースはAmazonで購入、現時点でメインPCで使っているM/BがATXサイズだったので、いままでMicroATXだったVR機から少しだけ大きくなりました。とはいえ外寸は割とスマートなので、机上に置いても思いの外邪魔にならず、水冷化等でVGAを1スロット化した後で、VGA下に擬似ホログラムのデコレーションをしたいと思っていたので、程よい大きさでした。フロントパネルとサイドパネルにARGBのLEDストリップが入って5,400円というコストパフォーマンスも魅力的です。

 さて、肝心のCPUとM/Bですが、CPUは前述の通り「AMD RyZen ThreadRipper 1950X」、M/BはASUSの「ROG STRIX X399-E Gaming」でした。

 CPUに関しては型番の通り、第1世代のTRから16コア/32スレッドのモデル、アーキテクチャも初代Zen系で、プロセスルールは14nm品です。ベースクロックが3.4GHzである点から見ても、第1世代RyZenの7系の中でいえば1700Xと同等のコアという事になります。第2世代の「Zen+」アーキテクチャでシングルコア/シングルスレッドの性能が向上し、相対的に第1世代はシングルスレッド系に弱いというネガティブはあるものの、1700Xが2つ載って動くという、かつての「マルチソケット・マルチCPU」に近似した環境が手に入ってしまった、というロマンさえあれば、多少シングルスレッドが弱かろうが気にすることはありません。ちなみに、第2世代、Zen+世代のRyZen7 2700Xとの比較としてはこのような感じに。ザッと見るためにCPU-Zで計測しました。

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 青軸がTR1950X、紫が2700X(のリファレンスデータ)ですが、シングルスレッドでは15%程度遅れを取っているものの、マルチスレッドが冗談みたいな数値になっています。尚、リファレンスデータを1700Xに切り替えると、シングルはほぼ同等、マルチはほぼ倍と、順当な結果になりました。

 ※ベンチマーク計測の取り扱いについて:
各パーツの交換やアップグレードを行う際、それに適合したベンチマークテストは行うのですが、私の場合は一般的な「スコアが高いから高性能になった」という判断はせず、「そのパーツの設計・構成から妥当な数値が出るか否か」を見るために使用しています。妥当な数値が出ていればシステムとして安定している事を、数値が出なかったりバラついたりする場合には何らかの不具合、設定ミスがあると判断している為、「性能評価試験」ではなく、「正常動作確認」の名目になっています。

 さて、そんなわけで少し時間が巻き戻り、荷物一式が手元に到着したあたりです。とりあえず箱を開きました。

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 出ましたドーン!いつもPCショップでショーケースに入っているのを眺めては指を咥えてヨダレ垂らしていた、あのThreadRipperが目の前に! CPUの外装は隣のM/Bの箱と比べて頂ければお分かりの通り、すんごいデカいです。AMDの本気具合が伺えます。尚、第2世代TRではさらに横方向にも大きくなりました。

 一方、M/Bは事前にお知らせ頂いていた通り、ASUSの「ROG STRIX X399-E GAMING」。フォームファクタはE-ATXですが、横幅はフルサイズのE-ATXより若干短い為、最近の5インチベイが無いケースや、シャドウベイがケース背面・底面にあるタイプのモデルであれば導入自体には問題ないと思います。私はThermaltakeの20周年記念モデル「Level20」シリーズの中で、間違いなく色んな意味で巨漢であろう「Level20 XT」を使用しており、E-ATXでもすんなりサクッと入ってくれます。

 ……2019/09/25時点でAmazonにて18万の値がついています……限定モデルとはいえ、これはちょっと酷いプライスですね……私はヨドバシカメラで2万円でした。

 さて、このM/Bですが、どうやら日本国内での流通量はそこまで多くは無いらしく、日本語のレビューらしいレビューも見当たりません。AmazonでもUSのレビューが引用されている感じで、正直な所どの程度のスペックか判断するのに難儀しました。現行のASUS製品としてTR4対応品は、公式サイトによれば4種類あるのですが、フラッグシップにあたる「ZENITH」シリーズではなく、「STRIX」シリーズという事で、ミドルクラスのボードになるようです。ZENITHの2つと、STRIX、PRIMEの2つで見た目上違う点はPCIeスロットとCPUソケットの位置関係で、ZENITH2つが一本目(最上段)のPCIeスロットとメモリスロット・CPUソケットとの位置が非常に近いのに対し、STRIXとPRIMEは一般的なM/B程度には離れています。実際にケースに設置した際にも、VGAを挿した時にはケース拡張スロットの2段目と3段目を使用する、これまた一般的なスタイルで、恐らく最上段の拡張ブラケットを外す必要があるZENITHよりは扱いやすいものと思います。

 ただ、CPUソケット上部のVRM周りに関しては、ZENITHの「Alphaではないほう」のモデルとSTRIX、PRIMEの3つでほぼ共通らしく、VRM周りまで一気に冷やすための水冷用モノブロックも共通で使用可能になっています。

 単純にCPU周りを中心に、縦長に作られているモノブロックである為、Alphaでも使えそうな気はしますが、M/B側のボード写真を見る限りでは上部VRMのヒートシンク形状がかなり異なっているので、ちょっと厄介かもしれません。そういう意味では安牌なボード選択をされていたようです。

 その他M/Bの機能としても、比較的AM4系ボードでいうミドルハイ付近の機能を持っているような印象で、NICはIntelチップの1Gbps、WiFi側は802.11acに対応した最大867MbpsものとBluetooth4.2が使用可能なコンボカードがあり、バックパネルにUSB2.0端子は無く、内部ピンヘッダのみ、ゲーミングボードではもはやお約束のLED制御機能も当然アリです。若干特殊なのは、やはり電源周りがかなりシビアなのか、バックパネル側のVRMヒートシンクに小型のファンが搭載されており、CPU上部とはヒートパイプで接続されています。ThreadRipperの中でも比較的下位に属する1950Xの時点で、TDPが180Wという大飯食らい(AM4系は65W~108W程度)な為、電源部分は特に強化してある、といった印象です。一方のチップセット側は大型のヒートシンクで覆われており、M.2接続のSSDを同時に冷やしながらもファン無しのパッシブクーリングになっています。チップセット自体はX399で、現行の第2世代でも同じものを使っているので、今の時点でバージョン差異は無く、第2世代に差し替えても制限なく使用可能です。ただ、先日のニュースで、AM4版16コアモデル「RyZen9 3950X」の発売が9月から11月に延期され、その11月に第3世代TRが発表されるとの事で、PCIeのバージョンを引き上げる為にチップセットはほぼ間違いなく新型に置き換わるものと思います。
(余談ですが、PCIeのVer.3とVer.4でハードウェア的な違いはほとんど無く、一定の要件を満たしていれば、BIOS更新のみでVer.4に引き上げることが出来る製品もあります。実際に第3世代RyZenが出た直後のX470系M/Bで3000番台対応BIOSに更新した際、そのままVer.4の速度でNVMeSSDが動いた、という事例もありました。当然ですが、メーカーの動作保証外ではあります)

 さて、ヴォルギン大佐の如く箱を空けた後は、まずはCPUから手にとってパッケージを舐めるように眺めます。と、ここである事に気づきました。

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み、未開封……

 「使おうとして使わずに持て余している」とは聞いていましたが、せめて開封済み、場合によってはM/Bへの装着までは行っているであろう、と思っていました。それがいざ手にとって見るとこの状態……一瞬ビクッとなりました。「新しいパーツで一番最初に楽しいのは封切り」というお楽しみまで頂いて、ありがたい事ばかりです。じっくりゆっくりペリペリと開封を行いました。

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 既に旧世代製品で、あちこちで散々記事が出ているので、今更ではありますがパッケージの写真をいくつか。周囲の封印を兼ねた紙テープを外すと、パッケージが上下に割れるように分割し、裏面の「UNLOCK THE POWER」というなんとも中二病心をくすぐる文字が刻印された部分をひねることで、パッケージ内部の固定が解除されます。内容物としてはCPU本体、M/B固定用トルクレンチ、汎用的な円形水冷クーラーを固定する為のブラケット(Asetek製、及びそのOEM向け)と、ステッカーやペーパー類が幾つか。クーラーは同梱されていない為、別途用意する必要がありますが、TDP180Wの石を冷やすとなれば巨大な空冷クーラーか、大人しくAiO水冷クーラーを別途用意する事になります。

 正直な所、CoolerMasterの上記空冷クーラーも考えたのですが、「ロマンより安定性」という事で今回は前述の通り水冷に。ちなみにこの空冷クーラー、重量なんと1kg。私の環境のように「M/Bを平置きする」タイプのケースならともかく、一般的なミドルタワー等の「M/Bを縦置きする」タイプの場合、バックパネルや各固定部分がどれだけしっかりしていても結構怖いです。ちなみにCoolerMasterはAM4シリーズのRyZenリテールファンの供給も担当しているようで、本製品もAMDと協力しての開発だったとの事。TDP250Wの2990WXも冷やしきれるとの事で、とんでもないバケモノである事は間違いありません。

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M/BとCPU、一部付属品

 AMD製CPUはこれまでほとんどでPGA(CPU側にピンがあるタイプ)だったのですが、TRではLGA(ボード側にピンがあるタイプ)が採用されています。TRの上位にあたるEPYCでも同様で、EPYCの場合ソケットがSP3と別物になっているのですが、形状自体はTR4と同様らしく、本製品のソケット部にも「SP3」の表記が見られました。ソケット部の製造はFOXCONNとLOTESの2社が担当しているようですが、本製品ではLOTES製ソケットが使われています。FOXCONN製のソケットは固定ネジが甘い(長さが短いのか、かなり押し込まないと締まらない……らしい)ようで、ちょっと安心しました。

 CPUの取り付けはCPU付属レンチを使い、ソケットに書かれている番号順にレンチでネジを緩め、跳ね上がったガイドレールからカバーを外した上でCPUをスライドさせて装着、取り付け直前にLGAピン部分のカバーを外し、ガイドレールを倒してラッチで固定後、外側のフレームを倒し込んで再びレンチで順番通り固定、といった具合。普段Intel系のCPUを使用して自作している方にはおなじみな固定方法なのでしょうが、私はこれがLGAソケット初体験だった為、なかなか緊張しました。付属レンチは無くすと後々とってもとっても面倒な事になりそうなのと、元々使用中のパーツに関しては梱包箱を全て取っておきたい性分なので、CPU以外をパッケージに戻して保管スペースへ。

 メモリに関しては全8スロットあり、クアッドチャネルに対応しているのですが、手元には4本しか用意が無かったので、各チャネルに1本ずつの装着になりました。その後、事前に一応バックアップを取った上で元PCに装着していたM.2SSDをヒートシンク下に装着、ケース内に戻してから、CPUグリスを塗布したのですが、これまでの製品では「CPU中央に米粒大にグリスを落として、あとはクーラーの圧着で押し広げられるようにする」という方法だったものの、今回のクーラーは4点のネジ止めだった為、充分なグリスの広がりが得られる自信が無かったので、可能な限り少量をヒートスプレッダに落として、ヘラで全面に広げてクーラーを装着しました。クーラー装着部は一応プラスネジの溝が切ってあるものの、手締めで問題なく固定出来る設計であった為、手締めで固定してから軽くクーラー(のウォーターブロック部)を手で揺すって、しっかりと固定された事を確認する流れになりました。

 使用したグリスはこちら。熱伝導率が12W/m・Kとなっており、オーバークロッカーならずとも自作PCユーザーがここ数年でどんどん御用達している、いわゆる「クマさんグリス」と同等の性能を持ったグリスです。それでいて量も多くお得な製品。もっと安いグリスはいくらでもあるのですが、一般的なシリコングリスなどではさすがに不安になったので、シリコンも混ざってはいるもののナノダイヤタイプという事と、「とりあえずメーカーが謳っている数値」から本製品を選択し、現在自宅で動かしているPC全てに使用しています。

 とまぁここまで来ると、後は片っ端から配線して、BIOS起動をテストして、そこから実環境テスト、となるわけですが、どの部分でもこれといったトラブルは発生せず、元々使っていた環境の入っているM.2のSSDでそのまま環境移行が行えました。Windows起動後、旧環境の各種ドライバを全て削除した上でドライバの入れ直しは行いましたが、出来るだけ早い段階で完全なWindowsの再インストールを行う予定です。

 さて、ひとまず今回はこのあたりで。実は現在、このPCと別のPCを使って、HDDのデータレスキューを行っている真っ最中なのです。詳細は後日に譲りますが、AMD製チップセットで使用可能な「StoreMI」という、SSDとHDDを合わせて高速化するシステムを組んでいたのですが、それを今回の移行に先立って解除した際、ファイルシステムが飛んだらしく、4TBのHDDでまるまるデータが見えない、という、正直ちょっと勘弁して欲しい状況に陥っているのです……。データ飛びのレスキューは過去なんどもやっているので、100%と行かずとも必要なデータの救出は可能かと思いますが……万が一全部飛んだ場合、 #VRChat 関係の制作データが全部電子の海に消えてゆくことになります……嗚呼、神よ、と言いたい所でしたが、私は完全な無神論者でありました。