小林よしのりさんの「ブラック・ボックス」裁判に関する認識について(その2)

TBSからの山口敬之さんへの処分について

 山口敬之さんは後にTBSのワシントン支局長を解任されることになります。山口敬之さんに対してはワシントン支局長を解任されることがうすうすわかっていたのに伊藤詩織さんの採用面接を行うことはどうなのかという批判がなされていました。山口敬之さんの本人尋問ではこのような批判への反論となる本人の認識が示されていました。
 山口敬之さんがワシントン支局長を解任されローカルタイム営業局に異動となったのは、週刊文春に記事を提供したのが理由で伊藤詩織さんと会ったときに東京に滞在していたのはそれに対するTBSの聴取を受けるためでした。その記事について補足すると韓国軍がベトナム戦争中にサイゴンに慰安所を設けていたというものです。
 話を戻しましょう。本人尋問で示された山口敬之さんの認識はこうでした。

週刊文春に提供した記事はTBSでボツになったもので、社外活動届を提出して行ったものである。平成27年3月30日から4月4日まで東京に滞在したのはその記事に関するTBSの聴取を受けるためのものであった。聴取は人事のコンプライアンスに関するもので賞罰を審査するものではなかった。社外活動届を提出して行ったことに対してまさかTBSがワシントン支局長解任などという処分を行うということはまったく予想できないものであった。

滞在するホテルに伊藤詩織さんを連れて行ったことについて

 伊藤詩織さんを滞在するホテルに連れて行ったことについて、山口敬之さんは本人尋問でこのように述べていました。

オバマ大統領のイラク枠組合意という大きなニュースがあることはわかっていたので一刻も早くホテルに戻ってパソコンでニュースをチェックしたかった。伊藤詩織さんが東京に住んでいたとは知らず、履歴書には神奈川県の住所が記載されていたので神奈川県在住だと思っていた。神奈川へタクシーで送り届けると明日日本を発つのに時間が相当遅くなることやニュースのチェックを一刻も早く行いたいという気持ちと伊藤詩織さんを駅まで送り届けただけでは吐しゃ物によって窒息するおそれもあると考えホテルに連れて行った。後から考えてみれば駅などで交通費を渡して帰すという選択肢もあったしホテルに連れてきたことは誤っていたと思う。

どんな事情があったとしても、採用権限のある男性が就職志願の女性をホテルに連れて行くのはいかがなものかという批判はあってもいいしあるべきだと思います。しかし、最初からその目的でホテルに連れて行ったと断定するには論拠が少し足りないように思います。