「ブラック・ボックス」裁判 尋問の記録その1

事件番号、裁判官等

東京地方裁判所民事第25部
平成29年(ワ)第33044号 損害賠償請求事件ほか
原告兼反訴被告 伊藤 詩織
被告兼反訴原告 山口 敬之
裁判長 鈴木 昭洋
裁判官 石田 佳世子
裁判官 窓岩 亮佑
書記官 田村 文久

口頭弁論(書面の陳述等)

裁判長「裁判所の構成が変わりましたので弁論を更新します。
弁論準備手続の結果を陳述します。
調査嘱託の結果を陳述します。
乙第6号証から乙第44号証までを取り調べます。
乙第38号証につきましては原本が提出されていますので原本確認をします。
(原告訴訟代理人原本確認)
今回は本人尋問を行いますが、お二人に尋問の前に宣誓をしていただきます」
原告訴訟代理人(以下「原代」)「二人並んで宣誓をするのはちょっと・・・」
裁判長「それではそれぞれの尋問の前に宣誓を行うこととします。
(原告本人への確認と宣誓)
(虚偽の発言には過料の制裁がある旨の注意)
原告本人への尋問は原告側の本尋問が60分、被告側の反対尋問が110分となっています。それでは尋問を行ってください」

原告本人尋問(主尋問)~飲食店までの言動等

原代「原告は、平成27年4月4日に被告と性交渉はありましたか」
原告「はい」
原代「原告はジャーナリストを志望していましたか」
原告「はい」
原代「乙第1号証の1、平成27年3月25日就活メールを示します。このメールを送った理由は何ですか」
原告「フリーランスで仕事を2年間やっていましたが、海外のメディアで働きたいと思ったからです」
原代「被告からどのような返事が返ってきましたか」
原告「TBSでインターンを募集しているというメールが返ってきました」
原代「原告は他のメディアに応募していましたか」
原告「はい。CNNからはインターン採用の連絡をもらっていましたし、共同通信にも応募していました」
原代「甲第1号証の2、3を示します。ビザのことについて触れ、『来週東京にいる』『会いたい』『はい』とメールのやり取りがありますが、これは4月3日に恵比寿で会ったときのメールのやり取りですか」
原告「はい。TBSのワシントン支局で働くためにはビザが必要と聞き、TBSでビザ取得の支援もできると聞いていましたので詳しく聞きたいと思いました」
原代「午後6時41分に『終わりました。どうやって恵比寿へ?』というメールが届いていますが、そのメールを受け取った後どうしましたか」
原告「靖国神社で行われた奉納相撲の取材がありましたのですぐに恵比寿に行くことはできませんでした。一旦原宿の自宅に帰って恵比寿に向かいました」
原代「恵比寿に着いたのは何時ぐらいですか」
原告「午後8時すぎです」
原代「そこで被告と会ったわけですね」
原告「はい。串焼き屋で会いました」
原代「他に人はいましたか」
原告「被告が『集合』という表現を使っていたので、他にも人はいるかと思いましたが被告と二人きりでした」
原代「何を食べましたか」
原告「串焼き5本、モツ煮、ビールコップ2杯、ワイン1~2杯です」
原代「乙第39号証を示します。マル1の写真ですが、ワインは上の一升瓶ですか」
原告「はい」
原代「二人で選んだものですか」
原告「女将さんが差し出したものです。飲みきれないので隣の人にもふるまっていました」
原代「注文は誰がしていましたか」
原告「被告です」
原代「ビザの話はありましたか」
原告「いいえ。被告は誰と話したとかこの店は初めて父と飲んだ店だというような話をしていました」
原代「他にはどのような話をしましたか」
原告「私は社会部で働きたいと考えていますが、政治部で働くとなればどのような仕事をすることになるのか聞きました」
原代「その後はどこに行きましたか」
原告「寿司屋に行きました」
原代「その時原告は酔っていましたか」
原告「コートを忘れて取りに行ったりしていたので酔ってはいなかったと思います」
原代「移動中はどのような話をしましたか」
原告「タクシーから見える店を指して被告がどのレストランに著名な誰々と来たという話をしていたと思います」
原代「乙第39号証写真13を示します。寿司屋の写真ですが、どこに座りましたか」
原告「一番奥のカウンターです」
原代「(写真を指差しながら)ここが被告が座った席ですね」
原告「はい」
原代「原告は何を食べましたか」
原告「寿司は食べていません」
原代「手酌で日本酒を飲んだりしていましたか」
原告「いいえ」
原代「それはどうしてですか」
原告「格式の高い店だったので緊張していましたから手酌で飲んだりはしなかったです」
原代「どのような話をしましたか」
原告「店にさかなクンが来ていたのでそれが話題になっていました」
原代「直接さかなクンと話したのですか」
原告「いいえ」
原代「被告とはどのような話をしましたか」
原告「被告の書いた文春の記事についての話をしました。ただ、私は読んでおくように言われていたのに読んでいなかったので、被告の話にうなずいていたぐらいでした」
原代「ビザの話はしましたか」
原告「いいえ。仕事内容の話ばかりで会話をリードできる雰囲気ではありませんでした」
原代「それはなぜですか」
原告「対象となった記事の話が難しかったからです」
原代「その店でトイレには行きましたか」
原告「2回行きました。1回目は女将さんに黒い鞄を持ってもらって行きました。2回目は目まいを感じましたので席に鞄を置いたままトイレに行きました」
原代「トイレではどのような状況だったのですか」
原告「目まいがきつく、その後記憶が残っていませんでした」