星の味

 紀元1世紀ころ、シーザーの北征により、ワインは北欧ガリアのビールを貯蔵していた木の樽と出会い、現在の樽熟成のかたちができました。
 それまで、地下に埋めた600ℓもあるような大きな土器の甕に入れ貯蔵されていたワインがやっと、樽の木肌ごしに呼吸ができるようになり、その中で熟成が進みました。

 それから、ワイン文化はヨーロッパ中に広がり、17世紀になるとイベリア半島のコルクの木肌から作られた瓶の栓が広く使われ始めました。
 ちょうどそのころ、シャンパンに代表される発泡ワインが登場します。醸造に成功した修道僧ドン・ペリニオンは声を弾ませ、こう叫んだと伝えられています。

『星のような味だ!』

 ガラスや陶器の瓶の中で、そのワインはさらに眠り、緩やかに発泡し、熟成を続けられるようになったのです。

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