婚活12日目

瑠璃が男性と話した内容は主にネコの事であった。
『猫は大丈夫ですか?』っと片っ端らから聞いていきその中でも4番11番16番の男性は特に猫の話には食いつきがよかった。

一回目のフリータイムを行っている最中にスタッフが順番に紙を渡していた。一回目の自己紹介タイムで印象がよかった人を三人まで投票することができる。その結果を記載した内容であった。

スタッフは瑠璃にも手渡してくれ開票してみると、16番の男性が自分に中間投票をしてくれていたのであった。瑠璃にとってこんなことは生まれて初めてであった。

1回目のフリータイムが終わり、瑠璃は16番の男性に視線を向けると小柄で物静かそうな女性と仲良さげに話していた。学校や職場でもよくある雰囲気であるが、話せない人にとってこの光景は少し辛い。

2回目のフリータイムが始まり瑠璃は16番の男性に視線を送るが、彼は休憩のつもりだろうか?会場を出て行ってしまった。おそらく、トイレかタバコのどちらかであろう。

2回目のフリータイムでは、またもや瑠璃は余ってしまった。扉がいつか開くのを待ちぼうけとなっていた。5分後、彼はパーティー会場に戻ってきた。周囲を見渡すと、空いた席に座り自分のプロフィールカードを再確認し始めた。

『今がチャンス!』

瑠璃は孤立している男性の元へ一歩また一歩と近寄っていく。後、8メートルと言う所まで来た。近づく足の歩幅が小さくなっていった気がしてならない。

ついに5メートルまで近寄り後一歩で声をかけられるってとこまで来たのだが、後ろから何かの気配を感じ振り向くと一人の女性に追い抜かれた。

「あのーお隣良いですか?さっきの猫のお話の続き聞かせてください♪」

ルンルン気分で彼女は16番男性の隣に着き瑠璃は取り残されてしまった。

早い者勝ち、どの世界でもこの言葉は存在する。
そして、三回目の最後のフリータイムの時間となった。瑠璃には誰にも話しかけに来てくる男性はいなかった。
最後の手段は自分から話しかけに行くしかなかった。
「それでは最後のフリータイム!スタート!」
頭ではわかっていてもそれを行動に移す事は容易な事ではない。

人間とは頭で想像する人で存在するわけではなく、行動したそのものが存在価値として生きていく。

16番の男性はウロチョロしながら声をかけられそうな人を探している様子であった。しかし、1番最初に話していた小柄な女性と対面で向き合い会話をし始めていた。

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