かんぽ生命不正の穴埋めは国民が負担する? 郵政民営化のツケ。

吉本興業の闇営業に続き、かんぽ生命の闇営業・・・ならぬ不正営業で大騒ぎになっています。

もちろんこれは契約者に不利益をもたらす不正な営業活動ということで大問題なのですが、かんぽ生命に入っていない人は「大問題だけど自分には関係ないや」と思っている人が大半なのではないでしょうか。

ですが、これ、そんな簡単な問題ではありません。

それどころか、かんぽ生命の不正によって生じる損失に私たちの税金が使われる可能性すらあるのです。 

1) そもそもかんぽ生命ってなんでしょう?

若い人はご存知ないかもしれませんが、かんぽ生命というのは昔は日本郵政公社(現・日本郵政株式会社)の一部門でした。

今もそうですが、郵便局というのは地方の小さな町にまであります。

その地元密着型の機能を生かして、簡易保険事業を営んでいたのです。

現在のようにインターネット取引が盛んでない状況では、民間保険会社もなかなか地方にまで保険事業を展開するのは難しかったので、その穴を埋める役割もあったわけです。

郵便貯金事業もありましたので、貯金と保険という金融事業を郵便局の人たちに一括して担ってもらえるというのは、顧客にとっても非常に利便性の高いサービスだったのです。

 それが小泉政権時の郵政民営化に伴い、緊急事業が日本郵政から分社化。今の「株式会社かんぽ生命保険」という独立した会社になったというわけですね。

 

2) かんぽ生命と日本政府の関係

今回の不正発覚によってかんぽ生命の株式が下落したのは当然ですが、それが大株主である日本郵政の株式にも影響が出ています。

(現在でもかんぽ生命の株式の90%近くは、元々本体であった日本郵政が持っています。)

で、さらに、その日本郵政の株式の57%を実は日本政府が持っているのです。

 

いわば、「孫(かんぽ生命)が不正をやらかして、親(日本郵政)に非難が集まったら、さらにその祖父(日本政府)も糾弾される羽目になった」という感じです。

 

3) かんぽ生命の不正が東日本大震災の復興と関係??

問題なのは、実は日本政府は東日本大震災の復興財源の確保のために、日本郵政の株式を2022年度までに売却しなければならないということです。

今年の秋にも売り出す予定だったのですが、孫(かんぽ生命)がやらかしたことで、その親会社である日本郵政株式の売値が下がってしまい、財源確保ができなくなるかもしれないということです。

 もしそうなると、当てにしていた復興財源と実際の売却代金の差額を国民の税金で穴埋めするということになる可能性が出てきます(っていうか、多分そうなるでしょう)。

ただでさえこの秋には消費税が上がりそうだというのに、さらにかんぽ生命の不正によって生じる復興財源の補填まで税金で! ってことです。

 これは実際に日本郵政の株式がどれくらいで売却されるか次第なので、今のところ「その可能性がある」というシナリオでしかありません。ただ、ひとつ気になるのは「なぜこのタイミングでかんぽ生命の不正が明らかになったのか?」という点です。

 

4) なぜ今頃不正が発覚したか?

ある日経新聞の記事を引用しますが

「8日に発覚した保険料の二重徴収や無保険の問題については、かんぽ生命は14年ごろから調査をしていた。一部の顧客には新契約の取り消しや旧契約の復元などの対応をしていた。

こうした対応はかんぽや郵政の経営陣も認識していた可能性がある。植平社長は10日の会見で「顧客に不利益が発生している現状は直近の調査で判明した」とし、問題の認識は売り出し後だったと説明した。」

 2014年頃から今回の不正問題の内部調査は進んでいたようです。

2014年ってもう5年前ですよ・・・。

5年間も内部調査を進めて、しかもその過程で一部の顧客にはこの問題に対する対応をしていたにも関わらず、今頃「不正発覚」??

うーん・・・何か妙だと思いませんか?

 

5) 郵政民営化の糸を引いていたアメリカ

これはあくまで「私の個人的推察」に過ぎないことを予め断っておきます。

そもそも郵政民営化が進められた理由は、小泉政権の時でした。

当時はバブル崩壊後の不景気の中。

その頃はとにかく公務員へのバッシングが凄まじく、日本郵便に対しても同様に「大した仕事もしてないくせに、高額な給料もらいやがって! 公務員許せない!」みたいな逆恨みが世の中で蔓延していました。

 

この郵政民営化も、その憂さ晴らしを「規制改革」とか「既得権益の打破」といった美辞麗句で装って、国民全体で行ったという「負の歴史」だと私は考えています。

 

しかし、その裏で糸を引いていたのは実はアメリカでした。

これは関岡英之氏が明らかにしてらっしゃいますが、アメリカから民間保険会社の市場開放要求があったのです。
保険は一度契約をとれば長期にわたってコンスタントに保険料が入ってくるため、とても安定した収入源となります。

その市場を当時は日本郵便の簡易生命保険が圧倒的シェアを持っていた訳です。

 

ただ、それは先程も書いたように地元密着型の郵便局が対応してくれるという消費者側の利便性に加えて、郵便事業の赤字を補填するために、ゆうちょと同じく日本郵便が管轄していたものです。

考えてもみてください。

郵便事業なんて基本赤字運営に決っているのですよ。

都市部ならまだしも地方へ行けば行くほど利用者は減ります。しかし、地方だからと言ってないがしろにする訳にはいきません。

全国津々浦々を郵便事業によってつなぎ合わせるということは、国民全体にとって利益となるものですから、「そこの地域は儲からないからやめた」という訳にはいかないのです。

だからこそ赤字ででも運営できる国家が運営する。

ただ、ずっと赤字上等!で運営し続けるわけにもいきませんから、ゆうちょや簡易生命保険と一体化させることで「どんぶり勘定」で上手く収まるようにしていた訳です。

 それを「既得権益だ」「規制緩和が必要」「官から民へ!」と騒ぎ立てて、分離独立させたのです。

アメリカの金融機関としては、「よっしゃ、これでうちらが買収できる!」と大喜びだったはずです。

ただ、民営化していきなり外資に売却という訳にはいきませんから(そこまで露骨なことをしたら、いくら何でも国民から怒られる)、一旦日本政府が株式を保持して冷却期間をおいてから民間へ売却という運びでした。

 そして、いよいよ民間事業となったかんぽ生命と日本郵政の株式が売却されるとなったこのタイミングで「不正発覚」??

そして、株式の売却額が減少???

「さっさとこっちに寄越せ!」と思っている外資にとっては、購入金額が下がる訳ですし、不正発覚で買い控える投資家も減るでしょうから、超ラッキーなんでしょうが・・・。

 

うーん・・・何かすんなり納得できませんね。

本当だったらもっと早く露呈して、その不正問題処理にちゃんと時間をかけて、「民営化の弊害」について、改めて議論すべき話なのではないでしょうか?

 何か裏がありそうにしか思えませんが、あくまで個人的推察ですのでww

信じるかどうかはアナタ次第ですww

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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