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【教える技術】職場や組織におけるインストラクションの意味

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。しばらくワーマンの『理解の秘密―マジカル・インストラクション』を材料に書いています。

職場のインストラクションは、より大きな文脈の中でなされなければならない。これは職場だけでなく共同体全般においても言えることだろう。

まず、組織としての目標を設定する。そして個人の目標と組織の目標をできるだけ一致させる。こうすることによって、「〜しなさい」という命令の形を使わないで、自然な形でインストラクションを出すことができる。個人の目標が組織の目標に沿ったものであれば、個人の意思を曲げてすることがなくなるだろう。したがって組織も命令することなく指示を出すことができる。

この点で言えば、まず組織としての目標を設定し、それを個人として理解してもらうことが必要だ。これがインストラクションを出す前の前提条件となっていなければならない。そうでなければ、個人はそれぞれの意思に反したことを渋々やっていることになり、それはインストラクションが機能している状態とはいえないからだ。

組織内における個人間の競争を抑制する。競争はいつも健全とは限らない。個人間の競争を奨励するとチームワークがうまくいかなくなる。チームワークがなくなると個人はあえてリスクをおかそうとはしなくなる。失敗してもフォローしてくれる人がいないので、失敗しそうなことはやらなくなる。そうして創造性は失われることになる。そうならないためには、個人間の競争を抑制し、メンバー間の情報の共有と助け合いを奨励するべきである。

メンバーが自分の仕事に誇りを感じるようにする。メンバーが組織の目標と自分の仕事を理解していれば、必要なインストラクションは最小限のものになる。インストラクションは不十分な状況の中で仕事をきちんとこなすために必要なのである。

インストラクションは管理や支配の方法ではなくて、送り手と受け手の両方を解放するものである。メンバーに仕事をしやすくさせ、インストラクションを出す方には時間のゆとりを与える。最終的にはインストラクションをそれほど出さなくても良いメンバーを育てるべきであり、それが優秀なメンバーを育てることの意味である。

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