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【アドラー実践】02 アドラー心理学の理論的枠組のユニークさ

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。
早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まりました。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いていきます。

前回は、21世紀におけるアドラー心理学の価値ということを話しました。一番自己啓発に近いところでアドラー心理学を使ったとしても、そこでは単なる人生訓以上の回答を引き出すことができます。それはアドラー心理学が理論的に作られているためです。アドラー心理学は生きる意味と人生を再定義することに成功しています。それはともすれば生きる意味を見失いがちな現代人にとって助けとなるでしょう。

21世紀におけるアドラー心理学の価値の2つ目は、心理学の基礎理論と土台としてのアドラー心理学の貢献です。アドラーが活躍した20世紀の初めは、ドイツとアメリカで心理学が独自の科学としてスタートしてまもないころでした。科学としての心理学は、その研究のモデルを物理学に求めながらも、人間を研究対象とすることからその方法やモデルについて様々な模索をしていました。

物理学を科学の模範として位置づけるということは、心理学においても、精密な測定法によってシンプルな原理や因果律を明らかにすることを目指すということです。そうすることで生まれて間もない心理学が近代科学の仲間入りをすることができると考えられていたのです。実際、心理学のメインストリームはその方向性で進展していきました。

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その一方で、アドラーは目の前にいる人々をよく観察し、会話をすることで、人間に対する洞察を深めていきました。そうした人間の見方についての理論的枠組は、アドラーののちの弟子や研究者によって、「5つの基本前提」という形でまとめられました。

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