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【教える技術】#10 「自分の使い方」を習得することが態度技能

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。早稲田大学エクステンションセンター中野校での「教える技術」講座の内容を連載しています。定期購読者が増えるたびに、感謝を込めてその日の記事を全文公開にしています。

前回は、自分自身への関わり方と世界への関わり方が態度技能であり、それはトレーニングすることができるということを言いました。自分への関わり方というのは、具体的には自分の思考と行動と感情の制御ということです。世界への関わり方というのは、具体的には、他者とのコミュニケーションと協力ということです。

前回紹介した、C. ファデル、M. ビアリック、B. トリリング『21世紀の学習者と教育の4つの次元』(北大路書房, 2016)という本では、こうした態度技能を教える時間は学校ではほとんど残されていないといっています。伝統的な教科内容を教えるので手一杯だからです。

とすれば、教科の授業時間以外のところで態度技能のトレーニングの時間をとるか、あるいは自分自身でトレーニングしていくということになります。

たとえば、バウマイスター『意志力の科学』(インターシフト, 2013)では、自己調整力を高めるための方法が数多く紹介されています。たとえば「やったことを細かく記録し、ふりかえる」「少しずつ変化させる」「誘惑を遠ざける」などといったコツです。

このようなコツを使いながら、自分でやろう(あるいはやめよう)と決心したことを実行に移していきます。それが続いてうまく習慣になる場合もあるでしょうし、また途中で挫折してしまったりすることもあるでしょう。しかし、このような挑戦を続けていくことで、次第に自分の行動をコントロールすることに慣れていきます。それは「自分との付き合い方」を習得することにほかなりません。

このように「自分の使い方」を習得すれば、生涯にわたって多くの意味のあることをなしとげることができるでしょう。これこそが態度技能をトレーニングすることの意味です。

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