2-教える技術19

【コーチング】01 教育コーチングの重要性

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。しばらくコーチングの話題で書きます。

10回にわたって、ワーマンの『理解の秘密―マジカル・インストラクション』を材料に書いてきました。

ここでいったんワーマンから離れて、コーチングについて書いていきたいと思います。

2008年に出版されたクリステンセンたちの『教育×破壊的イノベーション』では、伝統的な対面による教師主導のクラスを破壊していくものとして2つの段階があるだろうと予測しました。

ひとつめの破壊は、オンラインで提供されるコンピュータベースの学習によるものです。これは教室授業に比べると、時間的自由度(いつでも)と空間的自由度(どこでも)とレベル的自由度(難易度自由)が高く、個別にカスタマイズできます。またプログラム開発に予算がかけられれば高品質なコースが提供できます。

しかし、この自由度は学習者側でコントロールすることが前提条件です。一方で時間的・空間的な強制力が働かないので、学習者はそのリソースの一部を自己制御に割かなくてはなりません。したがってそれがうまくいかない大部分の学習者はドロップアウトするということになります。MOOC(大規模公開オンラインコース)のドロップアウト率が高いことはそれを証明しています。

そのあとの2つめの破壊は、個人指導ツールによるものです。教材やコースがオンラインによって自由になった条件下では、個人指導がなされればドロップアウトを下げることができます。ここでは指導者はどの教材やコースを使って、どのようなペースで進めていけばいいかを助言するだけでいいのです。すべてを教える必要はありません。またネットワークを使えば、常に対面している必要もありません。これをオンラインで行えば、MOOCに対してSPOC(小さくてプライベートなオンラインコース)という形態になります。

現在は、SPOCの入り口の段階に来ているところといえるでしょう。そこでのキーは個人指導ということです。個人指導をどのようにうまくやるかということがSPOCを成功させるか否かの分かれ道になります。もちろんそこでは、学習者をよく観察してその段階にあった課題を出し、それに対してフィードバックをするということが基本になります。しかし、それだけでもないような気がします。つまり個人指導がうまくできる人とそうでない人がいます。その要因はなんなのかをつきとめる必要があります。その鍵が「コーチング」ということにありそうです。

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