何かを学ぶときは、自分一人で読み、考え、練習する時間と、仲間の中で聞き、話し、協力して何かを作り上げる時間の両方が必要です。

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。ここしばらくは、授業や研修の設計と実施について書いています。今回は「個別化教授システム=PSI」の最終回です。

新しい知識を自分にあったスピードで、しかも完全に理解する方法として「個別化教授システム=PSI」を紹介しています。その特徴は以下の4点です。
 (1) 講師は講義をせず、学習者は用意された独習教材を使って、自分のペースで学習を進める。
 (2) 1つの学習ユニットが完全に理解できたかどうかは、通過テストに合格することで保証される。
 (3) プロクターは、学習者10人程度に対して1人の割合で用意され、学習者から求められたときに、個別に指導する。
 (4) 講師は授業内容としての講義をしないが、動機づけのため授業内容に関連した短い話をすることができる。

前回は、動機づけとしての講師の話について説明しました。PSIにおいては、学習は独習教材に基づいて自分のペースで進め、わからないときはプロクターに援助を求めます。ですので、講師の話は学習を動機づけるという目的のためだけに行います。

以上のように、PSIは完全習得学習を実現するためには理想的な授業の方法です。しかし、この方法は現在の初等教育、中等教育、高等教育を通じて、採用されていません。その理由は、教室内での一斉授業と決められた授業時間という制約があるからです。個別に必要な時間だけ学習にあてるというPSIシステムと一斉授業のシステムとは相いれないものです。学校教育における一斉授業のシステムは強固なもので、21世紀になってもいまだに大きな変化が起こっていません。

確かに教室での対面授業には良い効果がたくさんあります。チームで学習を進めたり、プロジェクト学習をしたり、教えたり、教えられたりして協力することなど、対面によって学ぶことはたくさんあります。しかし、その一方で、自分のペースで学習した方がよりよく習得できることもたくさんあります。よく考えてみれば、自分が何かを学ぶときは、自分一人で読み、考え、練習する時間と、仲間の中で聞き、話し、協力して何かを作り上げる時間の両方の時間が必要なのです。

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何かを学ぶときは、自分一人で読み、考え、練習する時間と、仲間の中で聞き、話し、協力して何かを作り上げる時間の両方が必要です。

向後千春

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