自民党と医師会

この度、とある事で大家さんに口利きをお願いした。当院の大家さんは自民党石巻支部幹事長だ。だから口利きはサクサクと効いたが、その直後、自民党国会議員秘書が当院に来て、ポスターを貼らせてくれないかという。まあそりゃ、口効いたんだからポスターぐらいお願いね、と言うことなんだろう。


私は渋った。そうですねえ、当院はなるべく政党色を出さないようにやってるんですが・・・。しかしこの程度なら、議員秘書は引き下がらない。会長さんからのご紹介ですので、という。それで私も「こりゃ本音を言わなきゃ引き下がらないな」と思い、本音をぶちまけてしまった。


「えーとですね。正直今、私自身が自民党に腹立ててるんです。パーティー券だか汚職だかはどうせ自民党だからと思ってますけど、今度の診療報酬大改訂、なんてことをしてくれたんですか!」


そうしたらその議員秘書殿しゅんとしてしまい「はい、実は私もそう思っています」。


岸田内閣はどうにかして解散総選挙に持ち込む腹だろうが、自民党の岩盤の筈の医師会、薬剤師会、看護師会が今回は面従腹背を決め込む。私ほど面と向かっては言わないだろうが、今年の診療報酬大改訂には医師も薬剤師も介護業界もすべて激怒している。だからこの関係は今度の総選挙では間違いなく「事実上のそっぽ」を向く。事実上というのは、ハイハイと言ってポスターぐらいは貼らせるかもしれないが、集票はやらないということだ。内心「勝手にしろ、どうとでもなれ」と思っている。


一番象徴的に医師会とその構成員である開業医を怒らせたのは、「従業員の給料アップのために初診料を60円、再診料20円上げてやる」とやったことだ。どれほど患者数が多い医療機関でも、初診料が60円、再診料が20円上がったところで、そんなものは米粒程度にしかならない。Ⅰ日患者100人診ているクリニックで、そのほとんどが再診だとすれば1日2千円収入増ということでしかないのだから、それで従業員の給料を上げろって


「お前の頭はたしかか?」


という話だ。


これは色々な大改訂の中では一部でしかないのだが、しかし非常に象徴的な出来事になった。「ふざけるんじゃない」という話になった。他にもあれやこれやあるのだが、この件は極めて単純で分かりやすいが故に、自民党の岩盤支持層であるはずの開業医、医師会が怒り心頭に欲してしまった。


無論、今医師会の政治力は武見太郎当時とは比較にならないほど小さい。しかしおそらく、同じような馬鹿げたことを自民党はあちこちでやっているのだと思う。だからあれやこれやの岩盤支持層が、今一斉に自民党にそっぽを向いている。表向き怒鳴りつけたら何を報復されるか分からないから笑みは浮かべているが、内心次の選挙で自民党を積極的に支持するつもりは、ほとんどの業界団体が持っていない。


岸田さん、早く解散しなさい。そうすればあなたは自民党の30年以上の悪政に終止符を打った総理として、長く歴史にその名を刻めますよ。

https://www.ayumino-clinic.com

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