見出し画像

小さいことは積み重なる

”塵も積もれば山となる”
1つ1つは大したことなくとも、積み重なれば大きなものとなる、ということわざだと誰にも知っている。
良い積み重ねの例としては、勉強だったり、日記だったり、努力だったりするのだが、悪い積み重ねも同様に存在していたりするのだ。

(なんでこんなところにトイレットペーパー…?)
私は洗濯機の上の棚に並ぶ、洗剤、漂白剤、柔軟剤、使いかけのトイレットペーパーを眺めて思う。
ちなみに、洗濯機置き場のとなりがトイレであり、トイレットペーパーのストックもトイレの個室の中に置いている。
決して、洗濯機の上の棚に普段から置かれているものではない。
にもかかわらず、なぜか新品でもない使いかけのトイレットペーパーが置かれている。
こんなことをするのは、私でなければ一緒に住んでいる夫しかない。
とりあえず、こんな棚に置いてあっても使わないので、使いかけのトイレットペーパーを手にとり、トイレに設置する。
やる分には、大した手間ではない。
手間ではないのだが、こう、モヤッとするのだ。
そう。
10秒あれば終わるなら、そこまでやれよ、と…

田村由美先生の『ミステリと言う勿れ』という作品がある。
最近ではドラマ、映画にもなった有名な作品だが、第1話で大筋とは全く異なるが、こんなくだりがある。
最近お子さんが生まれた刑事が主人公に「最近、嫁の機嫌が悪い」とこぼすのだ。
刑事という職業柄、全部は手伝えなくとも、ごみ捨てはやっていると…。
そこで主人公は刑事に言うのだ。
「ゴミ捨て…どこからですか?」
と。
刑事は”どこから”という言葉に、家からゴミ捨て場までと答える。

「ゴミ捨てって家中のごみを集めるところから始まるんですよ。
分別できてなかったらして
袋を取り換えて
生ゴミも水を切って
ついでに排水溝も掃除もして
ゴミ袋の在庫があるかチェックして
そうやってやっと1つにまとめるんですよ。
そこまでが面倒なんですけど。」
(ゴミをゴミ捨て場までもっていくだけで)
「それで感謝しろって言われても
奥さん
身体がしんどいんじゃないんですか」

田村由美. ミステリと言う勿れ 1巻. 小学館. 2018年出版. P25
https://flowers.shogakukan.co.jp/work/300/

実際のところ、ここまでごみ捨てにタスクがあるかといわれると家庭によりけりとは思うが、ここまで言われた刑事が舌を巻くコマがあることから、きっと刑事の奥さんは、ほかのことでも苦労しているだろうことは想像に難くない。
ちなみに、この刑事の良いところは、後日、主人公に言われたとおりにごみ捨てという家事を実行して、奥さんを感動させている。

要は、一口に家事と言っても、やることは1つではない、ということだ。
ごはん作り1つとっても、
・献立決め
・必要な食材の確認
・足りない食材の買い出し
・調理
(家事をあまりしない人が思う”料理”はここまでを指し、ここで工程が終了する)
・調理器具の片付け
・食後の食器洗い
・食卓の片付け
日常的に家事をしている人は、ここまでが「ごはん作り」という家事だ。
よく育児書などに書かれている、家事を教えましょう、というのはここまでのことを指しているんだろうと私は思う。

そんな日常的な家事に加えて、文頭のトイレットペーパーのようなイレギュラーが発生すると、イライラもするというものだ。
そして、不満や怒りが完全になくなることはない。
塵を片づけないでいるとそのまま山となるように、本当に小さな不満や怒りが積もると”山”となる。
限界を超えれば、当然”爆発”もする。
爆発した私に、夫は、
「言ってくれれれば、手伝うし協力もする。いきなりキレられるとどうしていいかわからない」
という。
何がダメか、何をしてほしいのか。
そんなことを言われても、たくさんありすぎて答えられないのが正直なとkろだ。
だって、1つ1つは本当に対したことない”塵”なのだ。
余裕があれば、『仕方ないなぁ』と済ませられるようなこと。
だが、きっと忘れている事柄もあるけど、塵としては確かに存在しているのだ。
で、なんとかその”塵”の中から、これが嫌だった、あれをしてほしいというと、夫はこういうのだ。
「そんなこと?」
しかも、(そんなに怒り出すようなこと?)と言いたげなきょとん顔で。
これぞ、まさに『火に油を注ぐ』行為であり、怒りケージが上がるというものだ。

何を積み上げていくか。
理想のスタイルを手にするために、運動や食事に気を付けたり。
資格をとるために、勉強したり。
子育てで忙しいパートナーの代わりに家事したり。
いない相手に文句を言っても仕方ないと我慢したり。
いくら言っても直らないから黙っていたり。
いずれにせよ、積み重ね、山を作るのであれば、負の感情ではなく、プラスになるような事柄にしたいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?