グレーゾーンの考え方を受け入れる

グレーゾーンと言っても「犯罪なのかどうか」という意味でのグレーゾーンを受け入れようという訳ではなく、「物事を白か黒かの二分の考えだけでなく、その中間もあるし、それが解であることさえあるよね」ということもあると、念頭に置いておいた方が良いという意味。

誤解されないようなもっと良いタイトルあるだろうな、と思いつつ、パッと思いつかなかったのでそのまま気にせず書いてみる。

なぜ白か黒に二分したがる?

自分自身も大学生くらいまでは「物事はきっぱりと白か黒に分けられないケースが多々ある」という価値観を持っていた覚えがある。

自分自身、大学ではマクロ経済学を学んでいたこともあって「小さな政府が良いのか、はたまた大きな政府が良いのか」など答えのない二項対立論争を考えることが多かったから、という要因もある。

ただ、ビジネスの世界に入ると多くの人とのコミュニケーションが必要になる中で「白なのか黒なのかハッキリしないと仕事が進めにくい」というケースもある。白なのか黒なのか、ハッキリされた方がコミュニケーションや意思決定が明確で、後の揉め事も少ない。

そして何よりも、関係者が思考停止のまま、機械的に意思決定出来てしまうので、脳への負担が少なく圧倒的に楽である。

そんな中で自分自身も、白か黒かハッキリしたいし、他人にもハッキリしてコミュニケーションして欲しいと望んでしまう事が増えてしまったように思う。

組織の評価基準

例えば営業組織の評価基準については、基本的には営業数字という会社が多いと思う。その方が、世間的にも受け入れられている考え方で説明責任も少ないし、評価側と評価される側の認識の齟齬も小さい。

ただ、人の評価が本当に営業数字だけで良いのかと思う部分もある。組織の成長に対して、多様な人材がそれぞれの得意な方法で (Can)、やりたいこと (Will) をやってそれぞれの貢献の仕方がある中で、本当に営業数字だけで組織への貢献が図られて良いのか。

数字はそこそこでも、他の人が仕事しやすいような職場環境の整備だったり、落ち込んでいるメンバーへの声がけだったり、ノウハウ共有の勉強会の主催だったり、色んな組織への貢献の仕方があって、これら「定性」部分を説明責任果たせる形で、明確に示せる方法がないので営業数字だけを見るという企業が多いと思う。

※個人的には、この辺りも有効に評価できる HR Tech のサービス出てきたら面白いなと思う。VR空間での仕事が当たり前になり、その空間内での従業員のすべての行動ログが取れるようになると評価できる可能性もあるのかなと思ったり・・

ちなみにGoogleだと、この定性部分の貢献は直属のマネージャーが評価する。それもそのマネージャー1人の勝手な判断にならないよう、その実例も含めた貢献を他マネージャー陣も含めた評価ミーティングでプレゼンし、客観的に受け入れられる評価なのかチェックする。

グレーゾーンの考え方をどう認識し、受け入れるか

ではどうしたら、グレーゾーンの存在を認識しやすくなるか、考え方を受け入れやすくなるかというと、視点を一段、二段上げてみることかなと思う。

部分的な事を考えていると、どうしても自分の立場や感情が邪魔をして大局が見えにくくなる。そこで一旦現状を離れて、少し高い視点から眺めてみると、グレーゾーンが存在することも見えてくるし、その考えを受け入れやすくなるかなと思う。

ちょうど読んでいた二宮尊徳の本がヒントになった。

尊徳が凄腕なのは知られていた一方、農民出身である彼をいきなり大抜擢することは難しく、誰もが認める実績を上げるべく、ある時荒れた土地の復興を命じられた。

その土地の働き手の中に、ある老人がいて、いつも根堀りの仕事ばかりをしていた。他の人が休憩している時もその手を止めることはなく、自ら選んだ仕事に満足に続けている。村人たちは意にも介さないものの、尊徳は彼をよく見ていた。

いつものように一人ひとりの評価に応じて報酬を与えるとき、一番評価が高かったのはその老人だった。彼はいつもの賃金の300倍という大変な金額を得た。

尊徳曰く、「だれもやりたがらない仕事を、ひと目を気にせず、この村のために心から役立とうとしている。あなたが根を取り除いてくれるおかげで、障害物がなくなり、他の作業がとてもはかどった」

老人は「袖を絞るほど」号泣したという。

これ以降の話は本にはなかったが、老人はより高い忠誠を尊徳に誓ったであろうし、個人の成果だけでなく組織への評価が評価体系に組み込まれることが他の人の貢献も今後生み出していったのではと思う。

尊徳がこの村のリーダーとして俯瞰の視点を持っていて、集団全体の利益に与することに主眼を置いていたからこそ、そういった曖昧な部分にフォーカスした報酬付与が出来た。

ちょっと集団や組織内の評価の話に寄ってしまったが、家族でも社会でも、白か黒かだけではなくグレーゾーンもある、という観点を持っておくと、視野が広がるような局面はあると思う。

例えば就活論争の1つのベンチャー就職か、大企業か、とか。何も考えてないと、そのままの二項対立で考えて議論してしまうけど、俯瞰して、「幸せな人生とは」という視点で考えると「ニッチ市場で安定している中小企業」など、二項対立上にないものも浮かんでくる。

取り留めもなく書いていたら長くなってしまったけど、最近何かにつけて、白黒はっきりさせたがる自分がいて、これは脳の負担を軽くしたいがための思考停止だったなぁと自戒を込めて。

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