高カリウム血症について

こんにちは。これから出来るだけ経験した事を投稿していきたいと思います。

今日は高カリウム血症についてです。

今日経験した症例ですが、81歳の男性で食欲不振とめまいを主訴に受診されました。既往に慢性腎不全と上咽頭癌があります。口腔内は乾燥していて、血液検査を取ってみるとカリウムが6.5と高値でBUNの上昇があり、腎前性腎障害がありました。心電図ではテント状T波を認めており、すぐに治療が必要な状況でした。すぐにカルチコールの投与と生理食塩水の輸液、GI療法を開始しました。加療開始後に速やかにカリウムは改善しました。

本症例は脱水に伴う腎不全による高カリウム血症でしたが、他に原因はあるんでしょうか。以下に鑑別疾患と治療についてまとめてみました。

それでは、まず原因についてです。

まず、高カリウム血症をみたら本物の高カリウム血症なのか偽性高カリウム血症(白血球増加、血小板増加、採血時の長時間駆、採血時のシリンジ内陰圧過多など)なのかを考える必要があるようです。本物であれば、原因として多くは急性、慢性腎不全と薬剤であり、その他にはインスリン欠乏、β遮断薬、代謝性アシドーシス、高浸透圧血症、高カリウム性周期性四肢麻痺があります。

次に治療です。まず、①−③の治療を適宜行って下さい。①–③の治療はカリウムを細胞外から細胞内へ移動させることにより下げる事によって血清のカリウムを下げる治療です。①は数分で②は30分程度で効果発現します。

グルコン酸カルシウムを投与する。8.5%製剤なら5~10mLを3mL/分以下の速度で投与する。カルシウムの効果は30−60分で切れるのでカリウムが下がらない場合には繰り返し使用して構いません。

10単位を10%ブドウ糖液500mLに溶解。 1時間以上かけて点滴投与。この時に腎障害がある方が多いためインスリンの効果が遷延するので低血糖に注意して下さい。GIはUP TO DATEでは血糖値が250以上ならインスリンだけでも構わないと書いてありました。

③メイロン 1mEq/kgでゆっくりと静注やβ刺激薬の吸入

繰り返しになりマウが、①−③の治療はカリウムを細胞外から細胞内へ移動させることにより下げますが、total body potassiumは変わらないのでカリウムのtotalの量を減らすために④−⑦の治療を並行して行う必要があります。

フロセミドの投与。必要に応じて繰り返しますが、本症例もそうですが、脱水で腎障害が出ている症例もあるのでOUT OVERで腎障害を悪化させないようにしましょう。

⑤ケイキサレートあるいはカリメート30gを水50mLにとかして経口投与、あるいは30gを水100mLにとかして注腸投与 を行います。

⑥当然疑われる薬剤の中止。

以上でダメなら⑦透析が必要になります。

CKDの患者さんは日本で12.4%と多く、高齢者になる程割合も多くなっていきます。高齢化が進むに連れて高カリウム血症の患者さんが多くなる可能性もあるので救急対応が出来るようにしておく必要があると本症例から感じました。また、内服可能な程度のカリウム吸着性レジンで吸着できるのは、食事から摂取されるカリウムのごく一部なのでたとえカリウム吸着性レジンを内服しても、カリウムの摂取制限は必要であり、栄養指導が重要であるそうですので患者教育も忘れないように行っていきましょう。

最後まで読んで頂き有難うございました。

また宜しくお願い致します。



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