胸腔ドレーンの挿入方法について

こんにちは、田舎の研修医のkoheiです。

75歳の男性で呼吸不全を主訴に受診されました。胸部X線を撮ってみると以下のような画像でした。

気管も偏位しており、すぐに胸腔ドレーンを留置しました。ドレーンを挿入すると褐色の胸水を認めました。

今回は胸腔ドレーンの挿入について調べてみました。

まず、胸腔ドレーンの適応についてですが、気胸、大量の胸水、膿胸、血胸等があります。禁忌は凝固障害または出血性疾患があります。

適応がある事を確認し、必要であれば以下の手順で挿入していきます。

器具としては滅菌ガウン、マスク、手袋、ドレープ、通常のガーゼ、テープ、イソジン、10mLシリンジ(局所麻酔用)、1%リドカインなどの局所麻酔薬、2本の止血鉗子、強力な絹糸またはナイロン糸(例,0または1-0)、メス(No. 11)、胸腔ドレーン:太さは16~36フレンチ(Fr)まであり,用途に応じて使い分ける(気胸には20~24Fr;悪性胸水には20~24Fr;肺炎随伴性胸水,膿胸,および気管支胸膜瘻には28~36Fr;また血胸には32~36Fr)、水封式排液装置と接続チューブを用意します。

体位は患側を上にします。挿入する場所としは神経血管束の損傷を避けるためにドレーンは肋骨の上縁から挿入します。また、高さに関しては排出されるのが空気か液体かによって変わる。気胸の場合,ドレーンは通常,第4肋間,他の適応疾患では,第5肋間のそれぞれ中腋窩線上または前腋下線上に挿入します。

挿入部位に印を付けてイソジンなどの消毒液を挿入部位およびその周囲に塗布し、周囲にドレープをかけます。1%リドカインなどの局所麻酔薬を皮膚、皮下組織、肋骨骨膜(挿入部位の下の肋骨)、および壁側胸膜に注射します。この時かなり痛がるので十分に麻酔をかける必要があります。

皮膚に1.5~2cmの切開を加え鉗子を進めながら胸膜に届くまで肋間の軟部組織を鈍的に剥離します。経験上膿胸の時は非常に硬く、胸水の時は柔らかい印象があります。挿入部位の下の肋骨を同定し,肋骨を越えて胸膜腔に到達する。鉗子を閉じた状態で胸膜を突き破り(音が変わるのでわかります。)、そのままの向きで鉗子を開きます。この時穴が空いても焦らずに自分の指が入れられるくらいの大きさの穴を作ります。指を使ってその経路を広くし、胸腔の中に入ったことおよび癒着がないことを確認します。

胸腔ドレーンの遠位端をクランプし、別の鉗子でドレーンの先端をクランプしてこの経路を通して挿入し、胸水では背側下方へ、気胸では肺尖部へとドレーンの全ての穴が胸壁の中に入るまで進めます。

任意の縫合手技で,胸腔ドレーンを胸壁の皮膚に縫い付けます。僕の上級位は単縫合した後に何度かグルグル巻いて、もう片方も単縫合し、ちょっと上の方法にグルグルして固定していたので私もそうしています。

ドレープを除去し、圧迫ガーゼを用いて,テープでしっかりと固定する。ドレーンの体外に出ている部分をガーゼまたは患者の体にテープで別に固定します。

ドレーンを水封式吸引装置につなぐことで,ドレーンを介して胸腔に空気が入るのを防ぎ,排液が可能になります。

合併症としては皮下へのドレーンの誤挿入、ドレーンの閉塞、再膨張性肺水腫、皮下気腫があります。

胸水の量が減ってきたら(150ml /日)になったら抜去できます。

今日はここまでにし今度ドレーンのアフターケアについて勉強して行こうと思います。



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