スピードは本当に大事なのか?

とにかく事業はスピードだと。

早く、早く、と誰もが言ってる気がするけれど、本当にスピードはそんなに大事なのか、大事だとしたらなぜ大事なのか?、例外はないのか?

そういう事がもっとちゃんと考えられた上で、スピードを大事にするかどうかを決めた方がいいんじゃないかと思うわけです。

事業に取ってスピードが大事になる必然性ってのは主に二つの観点があると思います。

1)投資家の観点
企業が外部から出資を受けていれば、そこに投資家が存在してますし、オーナー経営者であっても、自分の資産を投資的な意味合いで自社の資本に繰り込んでいるなら同じ様な観点で事業を見る事でしょう。

そして投資家であるなら、この早く!というのはとても重要です。

投資家は運用資産をある期間内に何回転させたかによって期間収益が大きく異なります。つまり運用資産で安く買った株を高く売ることを同じ期間内に1回しかできないのと、3回できたのでは収益が大きく違ってくるわけです。

だから願わくば投資してから出来る限り早いタイミングで利益を確定出来るタイミングが来た方が嬉しいわけです。いろんなスタンスの投資家がいますので多少乱暴ですが原理的にはみんな共通してると思います。

そうすると投資家が経営者に対して要求する事は少しでも早く利益を極大化してほしいという事になります。とどのつまりは。

だから急ぐ必要が出てくる。

逆に言えば外部のいずれ利益確定して所有権を手放す事が前提の投資家が存在しない場合、事業が黒字で、社内の士気は高く、健全さを保つのに必要な成長性が維持されてれば、それ以上のスピードを出すかどうかは好みの問題だと考える事も出来ます。

2)競争戦略上の観点
競争が激しい市場で戦ってる場合には、競争戦略上スピードが大きなアドバンテージとなり得るため、スピード重視になる事には合理性があります。

早く作る、早く答える、早く立ち上げる事で競争相手によるマーケットの独占を阻止する。あわよくば自分たちが独占的なポジションを築く。

これを目指すのであればスピードを重視する必要は大いにあります。

でももし他社と競争する必要のない分野で仕事をしていたり、マーケットシェアが意味をなさない分野で仕事している場合には、急ぐ理由は本来存在していない事になります。

そして急いだ方がいい場合も、「なるはや」みたいな感じで出来る限り急いだ方がいいのか、大体このくらいまでにやっとけばどちらにしても結果に大差はないだろうみたいなこともあるはずなので、ただただ急げ急げというのもどうなんだろうと思うわけです。

この稿で何が言いたいのかと言えば、「スピード」を重視するというのは数ある戦い方の一つでしかなくて、相手によっては全く無意味だし、急ぎたくない人は急がなくて済む(外部の投資家を持たずかつ他社の競争が無意味になる様な)ビジネスをしたらいいと思うんですね。

僕は急がされるのが苦手だし、ずーっと頑張り続けるとかは無理なので、時々ダラダラしながらメリハリを付けながら頑張りたい方なので、スピードが遅くても死なないようなビジネスを心がけています。

大体の事は1週間後に出来ても、1ヶ月後でも、3ヶ月後でも生きてるうちに出来上がれば大差ないんですよ。逆にそれが生き死にを左右するようなポジションでビジネスをするくらいならやめたいというのが怠け者の率直な感想です。

急ぐのが好きな人と、急がなければいけない人(僕らもたまにそういう目に遭いますw)は急いだ方がいいと思うのですが、急ぐ必要の無い人に急がない奴はダメな奴と思わせないでもらっていいですかね(笑)。




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