新シーズン開幕から引きずる守備の課題

2019,4/6 (土)

明治安田生命J1リーグ 第6節 湘南vs磐田


仙台、清水とリーグ戦2連勝中の湘南は、ホームBMWに磐田を迎えた。
磐田は開幕5節、未だ勝利が出来ておらず、さらに湘南のホームでは20年間勝てていないという、、、

湘南にとってはかなり好都合のようにも感じられるが、磐田はそんな状況をひっくり返してきた。

結果は0-2で磐田のリーグ戦初白星。

試合のハイライトはこちらから👇


(YouTubeより、Jリーグ公式チャンネルから引用)

磐田戦は課題がいくつか残る試合となったが、今シーズン開幕から改善されていない課題があり、この試合でもその事象がみられ、そこから失点してしまった。本記事では、それを中心にまとめていく。

内容は以下の通り。


目次

1,両チームのシステム
2,試合の主な構図
3,開幕から引きずる守備の課題
4,湘南の攻撃
5,まとめ


1,両チームのシステム

・両チームの基本システム

左が湘南、右が磐田。
両チーム[3-4-3]のミラーゲーム(両チームが同じフォーメーションで戦うこと)となった。
お互い守備時はWB(ウィングバック)がDFラインに降りて5バックになる可変システム(局面によって形を変えるシステム)であった。


・メンバーによるタスクの違い

湘南は前節から、CF(センターフォワード)の山崎が指宿に変わった。 
指宿は、ポストプレーというタスクは山崎と変わらない。ただ、山崎はスピードもあり裏に抜けるプレーがタスクの1つとしてあるのに対し、指宿は別のタスクがある。それは、高さ(195cm)を活かしたフリック(ワンタッチで攻撃方向にボールをそらすこと)、そしてクロスに対する起点となることだ。

しかし、この試合では指宿に対して山崎用のタスクを求めたパスが出る場面がいくつかあり、無駄なボールロストが散見された。

縦パスを通すのに、グラウンダーがいいのか?それとも頭に当ててフリックさせるのがいいのか?また、ロングボールを蹴るにもDFラインを超えるボールがいいのか?受け手にピンポイントなボールがいいのか?、、、

この各選手に求められるタスクの違いによる、パスの種類の使い分けがしっかりと出来ていなかった。そして、それに対する各選手のポジショニングも対応できていなかったように感じる。

前線にボールが収まらないシーンが続いたのはこれが原因だったと思う。


2,試合の主な構図

・試合の主な構図

左が湘南、右が磐田。
この試合では主にこの図の配置が主な構図となっていた。

磐田が後ろから組み立て、(この時、ボランチの森谷がDFラインに加わる)それを湘南がプレッシングでボールを追いかける。
後ろが4枚になった磐田に対して、田口へのパスをケアしながら指宿、(梅崎or武富)の2枚でプレスをかけていた。

鍵となっていたのは湘南の右サイドだった。
ボランチの森谷がDFラインの左に入り、その分LCB(左センターバック)の高橋が高い位置を取る。それにより、森谷にプレスをかける武富からの2度追いを封じていた。さらにここから大久保がワイドのレーンに出て、小川が内側のレーンに入ったりなどの変化をつけて、ボールの前進をはかりそれに湘南が対応するというのが主な構図となっていた。


・試合の立ち上がりはロングボールによる陣取り合戦

試合の立ち上がりでは、ロングボールによる陣取りゲームが行われた。
両チームのCFの(湘南は)指宿、(磐田は)アダイウトンに対してロングボールを蹴り、全体を押し上げ、陣地を取るゲームとなっていた。
「湘南も磐田も出来るだけ相手の陣地でプレー」
をしたかったのだと思う。磐田は裏へ抜けてもスピードがあるアダイウトンに上手くボールが収まっていた。一方で湘南は、指宿にボールが入ると即時プレスをかけられ、そこに対してワンタッチではたけるサポートが無く、ボールが収まっていなかった。

そのため磐田ペースで試合が動き始めた印象だ。


3,開幕から引きずる守備の課題

・守備での課題

ここから本題に入る。

湘南の守備に関して、何度も言及してきた課題がある。この試合では、それが原因で失点し、さらに言うとそれが原因で負けたと言っても過言ではないと思う。

その課題は、『DFラインのスペース管理(横のスライド)』である。

可変システムで5バックとなる湘南は、5バックでのタブーをおかしてしまっていると思う。
DFラインに5人も選手を配置しているにも関わらず、WBが釣り出されると「WB-R.LCB間」のスペースが空き、横のスライドやボランチによるカバーなどによって埋めることなく、簡単に使われてしまうのだ。

下図は今シーズン第3節の鹿島戦の私の記事から引用したものだ。

WBが釣り出され、2列目から飛び込んできたレオシルバにこのスペースを使われて決定機を作られたシーンだ。

(詳しくは以下のリンクからご覧下さい。)

このように、湘南は開幕からこのスペース管理の課題が改善されないままそこを突かれてピンチを招いている場面が毎試合みられる。

湘南の一番の課題と言えるだろう。


・この試合での失点シーン

図はこの試合の失点シーン(71:25からのシーン)である。

サイドチェンジから大久保が斜めに入ってきて、そこに松本から縦パスが通った。この大久保にはボランチの松田がしっかりとついていき、ボールサイドのマーキングは対応できていた。

しかし、ためを作った大久保からオーバーラップ(味方を外から追い抜いてサポートすること)した松本に再びボールが入り、これに対して、WBの杉岡がついていったがかわされ、そこからドリブルで簡単にゴールエリア手前まで侵入され、シュートを打たれて失点をした。

一対一を簡単に置き去りにされてしまった杉岡にも問題はあるが、この失点の一番の原因は明らかに『スペース管理のミス』である。

図をみていただくとわかる通り、この場面でボールにプレスをかけている杉岡(WB)とその隣にポジションを置く小野田(LCB)の間に膨大なスペースが出来てしまっていた。そのため、杉岡がかわされるとドリブルでゴールエリア手前まで運ばれてしまったのだ。

ただ、これに関しては小野田だけに言えることではないし、周りの声かけも無かったのか気になるところではある。

開幕からずっとそうだが、5バックでピッチのスペースを幅広くカバーしているにも関わらず、WBがワイドに釣り出された時にDFラインは横のスライドをせず、スペースが生まれてしまう。これは5バックで一番やってはいけないミスだと個人的に思う。そしてそのスペースに受け手が飛び込んできたり、この試合のようにドリブル突破に活用されたりしてしまい、決定機を作られてしまうのだ。

この試合のこの場面で、小野田はLCBではなく、CB(5バックの真ん中)のポジショニングを取ってしまっていた。
杉岡がかわされてから松本がゴールエリア手前までボールを運んでくるまでの間の小野田のポジショニングは下図の通り。

小野田は中央を固めてシュートに備えるといったポジショニングをとっていたと考えられる。ただ、失点でもそうであったように、これだけゴールに近ければ、あまり角度は無くても十分シュートは狙えるし、ディフレクションによるエラーはつきものである。


・小野田はどうポジショニングするべきだったのか?

私は、この場面で小野田はペナルティエリアの侵入を防ぐポジショニングを取るべきだと思う。シュートを打たせずかつ、ゴール前にマイナスのボールを出させないようにするためである。

そもそもサイドチェンジを受け、大久保にボールが入るタイミングには上図のポジショニングは取っておくべきだと思う。そして、それに応じて、他のDFラインの選手も横のスライドをしてスペースを埋めることが必要である。

DFラインの隣の選手に連携したスライドをし、選手間のスペースを作らないことが、5バックでは必須だと思う。

また、このスペースを埋めるということはプレーの選択肢を減らすことにも繋がるが、さらには相手の判断の時間を削ることにも繋がる。サッカーとフットサルをイメージしてもらうとわかりやすい。フットサルはサッカーに比べてピッチ内の人口密度が高い。その分スペースが狭く相手のプレスが速いためプレーを考える時間が少ないのだ。

この『WB-R.LCB間のスペース管理』がこの試合での課題であり、今シーズンの湘南の課題でもある。

この試合を解説していた戸田さんもyotubeの解説動画で近いことを言及されていたので、是非ご覧下さい。
以下のリンクよりご覧いただけます👇


4,湘南の攻撃

・この試合での狙い

この試合では左サイドの杉岡を起点にした攻撃が散見された。

小野田や、松田から杉岡にパスが出ると、杉岡はワンタッチで縦のスペースに蹴り込むか、CFの指宿に当てるというシンプルな攻撃がみられた。

しかし、梅崎が速いタイミングで走り込んでしまい、スペースが埋められてしまうといった場面や、杉岡にマークがしっかりとついている状況で、この攻撃に入ろうとしてやり直すという勿体無い場面が何度かあった。

ただ、11:20など、松田が2列目から飛び出して受ける動きは、マークを曖昧にしボールサイドで数的優位を取ることができ良い形を作れていた。

また、指宿がボールを保持し、杉岡のところに入ってきた梅崎が受けて、それを松田→武富と後ろからどんどん追い越していくといった、いつもの湘南の形(53:50のプレー)もみられかなり効果的な攻撃となっていたが、指宿(CF)に良い形でボールが収まるタイミングでのサポートが上手くいかず、そういった指宿を起点とした攻撃はあまりみられなかった。


5,まとめ

この試合では、細かいパスミスであったりプレスをどっちがかけるか曖昧になったりと、連携面でのミスが目立っていた。

また、個人的に指摘し続けていた守備での課題『DFラインのスペース管理』でのミスで試合を決められてしまった。

ただ、開幕から出場停止をくらった選手、負傷した選手が多く出た中、サブとして控えていた選手がそれぞれ持ち味を出して勝利をもたらしていたことは、湘南にとって非常に良い流れだと思う。

あまり良い表現ではないが、チームの底上げというのがしっかりと出来ているように感じる。

まだリーグ戦始まって6節なので、1つの負けに下を向かず、逆にこの敗北をバネにして次節の松本戦に臨んで欲しい。

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緑と青の解体新湘

J1リーグ所属、湘南ベルマーレのマッチレポートを書いています。
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