湘南の主導権と、松本のペース

2019,4,14 (日)


明治安田生命 J1リーグ 第7節 湘南vs松本

ハイライトはこちらから👇


過去の対戦成績(5勝4分0敗)からすると相性が良い松本をホームに迎えた一戦。
結果は1-1のドロー。後半開始6分に湘南が武富のリーグ戦今季4ゴール目となる得点で先制したが、後半38分に追いつかれ勝ち点1を分け合った。


両チーム基本システムは[3-5-2]と、今節もミラーゲーム(お互い同じフォーメーションで戦うこと)となった。

本記事では、ゲームの主な構図から、湘南のボール保持に関してを中心的にまとめた。少し松本目線の内容になってしまったが、両チームの意図を憶測しながら振り返る。


目次
1,システム
2,ゲームの主な構図
3,設計されたダイレクトプレー
4,得点シーン図解
5,まとめ


(注) 図解の「ボールの動き」と「選手の動き」の矢印が逆になってしまっています。閲覧頂く際に間違えないようお願いします🙇
1,システム

・両チームの基本システム

湘南 [3-4-3]
FW 菊地(65分 大橋) 山崎 武富
MF 杉岡 松田 齋藤 鈴木(87分 古林)
DF 大野(79分 小野田) フレイレ 山根
GK 秋元
松本 [3-4-3]
FW 中美(71分 永井) レアンドロ 前田(63分 杉本)
MF 高橋 宮阪 パウリーニョ 田中
DF 橋内 飯田 今井
GK 守田

両チーム守備時にWBがDFラインに入り5バックとなる可変システム(局面によってシステムを分けていること)を採用。


・守備時のシステム

湘南は後ろの5枚に対して武富と菊地が降りて[5-4-1]となるパターンであった。

(図の[5-4-1]は[5-2-3]のミス)
松本は湘南とは違い、2列目の前田と中美はボランチの横に並ばず、[5-2-3]に近い形の配置を取っていた。


2,ゲームの主な構図

・ゲームの主な構図

この試合では湘南が自陣ペナルティエリア〜ハーフラインにかけてからビルドアップ(相手の第1プレッシャーラインの突破)を開始し、それに対して松本がプレッシング(ビルドアップ阻害)→ボール奪取→カウンターというのが、主な構図だった。


・松本の狙い

松本は意図的湘南にボールの保持を許していた印象だ。

松本はボール奪取後、レアンドロペレイラがターゲットとなりボールを預ける。それをフリックし前田が2列目から抜ける。これが松本の中心的な攻撃となっていた。

この攻撃をするためには必須の条件がある。それは、湘南のDFラインの背後にスペースが無ければならないということだ。前田のスピードを活かしたこのスタイルでは、このスペースがないと話にならない。そのため松本からすれば、湘南が[5-4-1]になって守備の形をつくられると前田のスピードが活かせず、大きな攻め手を一つ失うことを意味していた。

そこで松本はDFラインの背後にスペースを作るため、意図的に湘南にボール保持を譲り、それを奪ってから攻撃に出るというゲーム展開になっていたのではないか。

ボールの保持、『主導権』は湘南に譲るが、そのかわり『自分たちのペース』で試合を運ぶことを優先していたイメージだ。

また、これも憶測に過ぎないが、湘南はセットオフェンス(相手が守備の配置についてから、それを攻略すること)のバリエーションが少なくあまり得意ではない。反町監督はそれも考慮した上で、あえて湘南にボール保持を許している場面が多かったのではないかと思う。

もちろん、松本の攻撃はこれだけではなく、WBの高橋の突破力を活かしたサイド攻撃が、特に湘南を苦しめていた。これに関してはマッチアップしていた鈴木の守備(個人戦術)に未熟さ、物足りなさを感じた。


・湘南のボール保持〜失うまで

(図中の直線矢印と、ドット矢印の示す内容が逆になってます)

湘南のHVの大野、山根にボールが渡った瞬間がプレッシング開始のスイッチとなっていた。

大野にボールが入ると、前田がプレッシングのスイッチャーとなり、カバーシャドー(背後のパスコースを切りながらのディフェンス→イメージがつかない方は以下のURLを参考に👇)

で大野に寄せる。それと同時に松本は全体的にボールサイドにスライドして、パスコースを制限し、スペースを無くすことで、湘南のボールロストに繋がっていた。


・湘南のビルドアップが上手くいっていたシーン

湘南のビルドアップでは、特に右サイドが攻略の鍵となっていた。

(図中の直線矢印と、ドット矢印の示す内容が逆になってます)

右サイドでは、松本のファーストプレッシャーが前田ではなく中美になるため、プレッシングの強度が下がる。また、山根の突破力もありボール保持に関しては比較的余裕があった。

さらに、フレイレ、山根、鈴木がボールを保持したタイミングで菊地と山崎が松本のボランチわきでボールを受けることが何度かあり、それは決定機の創出に効果的にはたらいていた。

冒頭でシステムについて説明したように、松本の守備時の配置は5バックの前のラインがボランチの2人だけのため、手薄になっているところを上手くつけていた印象だ。


・湘南得点後の流れ

湘南は後半の立ち上がりに武富のゴールで先制したが、それ以降は耐え凌ぐ展開となった。

山根がこう指摘しているように、ボールをクリアに近い形で前線に放り込む場面が増え、それまでとは打って変わって耐え凌ぐ展開となった。

90分間の時間をどう使うべきであったのか、、、

後半の中盤から終盤にかけて失点の多い湘南にとって、ゲームの運び方というのは1つの課題となっている気がする。


3,設計されたダイレクトプレー

両チームのダイレクトプレー(頭上を越える高さのロングボールで前線の選手にボールを送る攻撃のこと)には、それぞれ異なった狙いがあった。


・松本のダイレクトプレー

松本のダイレクトプレーに関しては、
“2,ゲームの主な構図”で触れたように「レアンドロ→フリック→前田」の形が狙いとなっていた。

レアンドロがフリック出来なかったり、前田が抜け出せていない場面では、レアンドロがキープをして、中美、パウリーニョ、宮阪らがサポートに入り、左WBの高橋に預けて別の攻撃へと切り替えていた。


・湘南のダイレクトプレー

(図中の黒矢印はボールの動きで、緑矢印は湘南の選手の動きです)

湘南のダイレクトプレーは、セカンドボール(競合いや、クリアなどでこぼれたボール)を拾うよう設計されていた。

図のように、ロングボールのターゲットは山崎。そして、ボールは松本のボランチ付近に落ちるよう供給され、それをボランチの背後から山崎が少し降りて競るという形が散見された。

そこで、鍵となっていたのがボランチの松田と齋藤、そして2列目の武富と菊地の4人だ。

図をみてわかるように山崎が競るタイミングで2人、2人で山崎を挟み込み、セカンドボールを狙っていたのだ。

これを拾うことで一気に相手陣地に押し込み、攻撃に繋げるというのが湘南のダイレクトプレーの狙いだった。


4,得点シーン図解

後半6分、湘南は武富のゴールで先制した。鈴木のスローインから明確な狙いがあり、スローインからゴールまでの流れが非常に面白かったため、図解することにした。


・狙いと各選手のタスク

スローイン時の配置は図の通りであった。ペナルティエリアの手前にスペースを作るため、菊地と齋藤が松本のボランチ2人を矢印方向に引きつける。

そこにうまれたスペースへ松田が入ってくるが、警戒されないようにレアンドロにマークをついているフリをしている。


次の展開で、松本のボランチ2人をうまく引きつけ、そこのスペースで松田が受ける。

このタイミングで松本は、ボール保持の松田に対して前田が横から寄せ、宮阪が前に出てプレスをかける。


宮阪のプレスをキックフェイントで右側にかわすことで、前田からのプレスを無効化する。

そして、ゴール前の山崎に預け、山崎がボレーでポストをはじき→右サイドかれこぼれ球を狙っていた菊地がまたまたポストをはじき→最後は武富が頭で合わせた。

菊地と齋藤のスペースクリエイト、松田のマークをついているフリから一枚かわしてのパス、そして山崎のシュート、菊地と武富のこぼれ球の回収と、
各選手のタスクがしっかりこなされ、完成度の高いセットプレーであった。


5,まとめ

反町監督と曹監督の師弟対決となった一戦。試合後、2人で楽しそうに試合を振り返っている姿が印象的だった。

内容に関しては、ボール保持で湘南が主導権を握っているようにみえていたが、実際には松本は自分たちのペースでゲーム運びが出来ていたのかもしれない。

「主導権を握る」こと、「自分たちのペースで試合を運ぶ」こと、両者は似ているようで全くの別物ということがわかる試合だったと思う。


それと最後に、図解の矢印を間違えてしまいすみませんでした。


 次節は19日(金)のアウェイ川崎戦。

アクセラレーション!!





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緑と青の解体新湘

J1リーグ所属、湘南ベルマーレのマッチレポートを書いています。
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